
何十年も探し求められた「アインシュタイン」のタイルがついに発見されたそうだ。
それは13の辺を持つジグソーパズルのような図形で、どれだけ並べても、絶対に同じパターンが繰り返されることはない。
数学の世界で「非周期的モノタイル」と呼ばれるこの形状の発見は、数学の歴史の革新的発見(ブレイクスルー)と称されている。
この図形の不思議さとすごさ、面白さを説明していこう。
非周期的タイルとは何か? 「アインシュタイン」とは言っても、あの天才物理学者アルベルト・アインシュタインのことではない。ドイツ語で「1つの石」のことで、つまりは1枚のタイルであることを意味するものだ。
これについて、発見者の1人であるカナダ、ウォータールー大学のクレイグ・カプラン教授は、「私たちは史上初の本物の”非周期的モノタイル"を紹介しています」と声明で述べている。
「非周期的タイル」とは何か? それは平面を隙間なく、かつ重ならないよう敷きつめたとき、どのように並べても規則的な繰り返しパターンが現れない形状のタイルのことだ。
たとえば、床を正方形のタイルで、隙間がないように敷きつめてみるとしよう。するとどこまで行っても縦横に同じパターンが繰り返されている。
その証拠に、ある部分をコピーして、それを平行に移動させてみよう。そこには必ずピッタリ重なるパターンがある。これが同じパターンが繰り返されるということだ。
こうした繰り返しパターンがないのが、非周期的タイルだ。
先ほどと同じように、どこかをコピーして、平行に移動させても、ピッタリ重なるパターンは絶対にない。
ちなみにこうしたことを考察する数学分野のことを「タイリング」や「平面充填問題」という。
[画像を見る]
コンピューターで生成された画像は、中央の影付きの「帽子」(濃い青) の周りに同心円状に配置された、新たに発見された形状を示している / image credit: Smith et al. (2023)ついに発見された「アインシュタイン」 数学者が最初に非周期的タイルを発見したのは、1966年のこと。それは2万426種のタイルで構成されたものだった。
その後の研究で、タイルの種類は92種、次に6種へと減っていき、1974年に2種のひし形でなる非周期的タイルが考案された。
これは物理学者として有名なロジャー・ペンローズが考案したことから、「ペンローズタイル」と呼ばれている。
が、これが高い壁となった。2種のタイルで構成されたものなら見つかったが、たった1種だけで非周期的に並ぶ1枚、すなわち”アインシュタイン(1つの石)”が見つからなかった。
そんなもの本当にあるのかと思いたくもなるが、それがついに発見されたのだ。
カプラン教授らはコンピュータ・モデリングを駆使して、そのアインシュタインが繰り返しパターンを作らず、それでいて表面を隙間なく敷きつめられることを証明。
その結果を『arXiv』(2023年3月20日投稿)で閲覧できる査読前論文で紹介している。
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13角形の図形を、重なりや隙間なく無限に並べ、決して繰り返さないパターンを作ることに成功 / image credit: David Smith、Joseph Samuel Myers、Craig S. Kaplan、Chaim Goodman-Strauss ( CC BY 4.0 )
それは根気のいる作業だったようで、研究チームの1人であるアーカンソー大学のチャイム・グッドマン=ストロース教授は、「100万分の1の探し物ですよ」と語っている。
References:Scientists discover pattern that never repeats with 'einstein' tile / At Long Last, Mathematicians Have Found a Shape With a Pattern That Never Repeats / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2023/03/06)13面体を13角形と変更して再送します。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
それは13の辺を持つジグソーパズルのような図形で、どれだけ並べても、絶対に同じパターンが繰り返されることはない。
数学の世界で「非周期的モノタイル」と呼ばれるこの形状の発見は、数学の歴史の革新的発見(ブレイクスルー)と称されている。
この図形の不思議さとすごさ、面白さを説明していこう。
非周期的タイルとは何か? 「アインシュタイン」とは言っても、あの天才物理学者アルベルト・アインシュタインのことではない。ドイツ語で「1つの石」のことで、つまりは1枚のタイルであることを意味するものだ。
これについて、発見者の1人であるカナダ、ウォータールー大学のクレイグ・カプラン教授は、「私たちは史上初の本物の”非周期的モノタイル"を紹介しています」と声明で述べている。
「非周期的タイル」とは何か? それは平面を隙間なく、かつ重ならないよう敷きつめたとき、どのように並べても規則的な繰り返しパターンが現れない形状のタイルのことだ。
たとえば、床を正方形のタイルで、隙間がないように敷きつめてみるとしよう。するとどこまで行っても縦横に同じパターンが繰り返されている。
その証拠に、ある部分をコピーして、それを平行に移動させてみよう。そこには必ずピッタリ重なるパターンがある。これが同じパターンが繰り返されるということだ。
こうした繰り返しパターンがないのが、非周期的タイルだ。
先ほどと同じように、どこかをコピーして、平行に移動させても、ピッタリ重なるパターンは絶対にない。
ちなみにこうしたことを考察する数学分野のことを「タイリング」や「平面充填問題」という。
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コンピューターで生成された画像は、中央の影付きの「帽子」(濃い青) の周りに同心円状に配置された、新たに発見された形状を示している / image credit: Smith et al. (2023)ついに発見された「アインシュタイン」 数学者が最初に非周期的タイルを発見したのは、1966年のこと。それは2万426種のタイルで構成されたものだった。
その後の研究で、タイルの種類は92種、次に6種へと減っていき、1974年に2種のひし形でなる非周期的タイルが考案された。
これは物理学者として有名なロジャー・ペンローズが考案したことから、「ペンローズタイル」と呼ばれている。
が、これが高い壁となった。2種のタイルで構成されたものなら見つかったが、たった1種だけで非周期的に並ぶ1枚、すなわち”アインシュタイン(1つの石)”が見つからなかった。
そんなもの本当にあるのかと思いたくもなるが、それがついに発見されたのだ。
カプラン教授らはコンピュータ・モデリングを駆使して、そのアインシュタインが繰り返しパターンを作らず、それでいて表面を隙間なく敷きつめられることを証明。
その結果を『arXiv』(2023年3月20日投稿)で閲覧できる査読前論文で紹介している。
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13角形の図形を、重なりや隙間なく無限に並べ、決して繰り返さないパターンを作ることに成功 / image credit: David Smith、Joseph Samuel Myers、Craig S. Kaplan、Chaim Goodman-Strauss ( CC BY 4.0 )
それは根気のいる作業だったようで、研究チームの1人であるアーカンソー大学のチャイム・グッドマン=ストロース教授は、「100万分の1の探し物ですよ」と語っている。
References:Scientists discover pattern that never repeats with 'einstein' tile / At Long Last, Mathematicians Have Found a Shape With a Pattern That Never Repeats / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2023/03/06)13面体を13角形と変更して再送します。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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