ベテルギウスに予期せぬ増光。爆発の準備をしているのか?
 オリオン座にある恒星「ベテルギウス」は、誕生からわずか 800~1,000 万年しか経っていないが、寿命が近づいており、超新星爆発を起こしてその一生を終えることが予想されている

 ベテルギウスは、2019年の大規模な減光現象が起きた後、その輝きは大きく揺らいでいる。

 特にここ数週では50%以上も明るさが増しており、いよいよ爆発の兆候なのでは?ではと天文学者らや、天文ファンがその行く末を固唾を飲んで見守っている。


 「その時」はいったいいつとなるのか?私たちがそれを見ることができる可能性はあるのか?天文学者らの見解を見ていくことにしよう。

ベテルギウスの爆発は今後1万~10万年以内と予測 ベテルギウスの異変が注目されるのは、今回が初めてではない。たとえば2019年末から2020年にかけては異常なほど暗くかげり、いよいよ大爆発間近ではと大きなニュースになった。

 星の最後の瞬間を目撃しようと待ち構えている天文ファンには残念だが、今生きている人がベテルギウスの大爆発を目にできるチャンスはあまり高くないようだ。

 ベテルギウスの明るさ・色・大きさ・推定年齢といった手がかりから、おそらくこの星は今、ヘリウムを核融合して炭素が合成されるプロセスにあると考えられている。

 核融合で合成される物質は、やがて酸素、ケイ素、鉄と続く。だが、ここまで来るとそれ以上核融合は起こらない。ケイ素や鉄の原子核が、非常に安定しているからだ。

 そのためベテルギウスはエネルギーを得られなくなり自重で崩壊、ついには大爆発を起こす。

 そして、このベテルギウスの最後の瞬間は「もうすぐ」ではある。だが、それはあくまで天文学的宇宙的なスケールでの意味だ。

 フラットアイアン研究所の天体物理学者ジャレッド・ゴールドバーグ氏によるなら、「もうすぐ」とは今後1万~10万年以内のことであるという。
つまり、今生きている人たちはおそらくその瞬間に立ち会えない。

[画像を見る]

望遠鏡から見た赤色巨星ベテルギウス。この星はいつ最後の瞬間を迎えるのだろうか? / image credit:Credit: ESO/Digitized Sky Survey 2. Acknowledgment: Davide De Martinベテルギウスが爆発すると何がおきる? しかし、その瞬間がやって来れば、きっと現在の天文ファンたちが羨むようなスペクタクルが起きる。

 超新星の最初の前兆は、星の崩壊時に放出される幽霊のようなニュートリノの洪水だ。これが突然地球に降りかかり、世界中の検出器で検出されるだろう。

[画像を見る]

ニュートリノ検出器 / image credit: Roy Kaltschmidt, Lawrence Berkeley National Laboratory

 その直後、高エネルギー光子が星の破片から飛び出すと、ついにお待ちかねの宇宙の壮大な花火ショーの始まりだ。

 「ほんの1週間の間に、ベテルギウスが通常の1万倍から10万倍も明るくなるところを見られるでしょう」とゴールドバーグ氏。

 爆発の威力にもよるが、その時ベテルギウスは満月の4分の1から半分ほどの明るさになるという。それは昼間にも見えるし、夜になればその光で影ができるほどの明るさだ。

 一部では、それによって人類が滅亡するとまことしやかに囁かれるが、そのような心配はないようだ。ベテルギウスは遠方にあるため、爆発による被害は出ないらしい。

 そうは言っても、心理的には大きな影響を与えることだろう。


 アメリカ創価大学の天文学者ブライアン・ペンプレイス氏は、「空が劇的に変化し、誰の目にも明らかになれば、世界中が大騒ぎになるでしょう」と語る。

 たとえば、古来より超新星を凶兆とされることがあったが、似非科学やフェイクニュースが蔓延る現代において、ベテルギウスが爆発すれば、どのような荒唐無稽な説が流布されるのかわかったものではない。

 少なくとも、この劇的な天文ショーが「文明全体の天文学への関心を再燃させるかもしれません」と、ペンプレイス氏は予測する。

[画像を見る]

ベテルギウスの予期せぬ最近の増光は何が原因なのか? ベテルギウスは変光星(正確には半規則型変光星)に分類され、かなり周期的に明るさが変わる。

 人類はこのことに数千年前から気づいていたようだ。なにしろオーストラリアのアボリジニや古代ギリシャ人もこれに言及しているくらいなのだそうだ。

 現代この周期は400日程度とされている。ところが最近ではこの変動がもっと激しく、130日程度であると、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのアンドレア・デュプリー氏は説明する。

 この周期の異常は、先述した「大減光」が関係しているようだ。2019年後半~2020年前半にかけてベテルギウスが一時的に暗くなったのは、大量のガスと塵が放出されたことが原因であると考えられている。

 「この現象は、恒星がガスや塵を大量に放出するために起こると考えられています。そうすると、そこに色々なものが入ってきて、掻き回されます」とデュプリー氏。


 この時大きく乱れたプラズマと磁場が生じ、これが400日の周期から予測される以上にベテルギウスを明るく輝かせている可能性があるそうだ。

 デュプリー氏によると、この予想外の明るさは、”バランスの悪い洗濯機”がガタガタ動いているようなものなのだとか。

 「一番上の層がなかなか元に戻れないでいるのではないでしょうか。いずれは400日周期に戻って欲しいところですが、今は苦労しているようですね」

References:Betelgeuse's Brightening Raises Hopes for a Supernova Spectacle - Scientific American / written by hiroching / edited by / parumo

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
編集部おすすめ