
最近では日本でも洋式便座が普及し、掃除のしやすさなどの観点から、自宅では立ちションから座りションへと変更した男性も多いはずだ。
では男性の座りション率が最も高い国はどこだろう?
ヨーロッパ8カ国、カナダ、アメリカ、メキシコ、シンガポール、オーストラリアで調査したところ、1番多かったのはドイツだそうだ。
なにしろドイツには「座ったままおしっこをする人」を意味する「Sitzpinkler(ジッツピンクラー)なる言葉まである。
だが、ドイツが座りション大国になったのは比較的最近ことだという。
以下では、そんなドイツ人男性のトイレ事情について見ていこう。あわせて日本での座りション比率も見ていこうじゃないか。
ヨーロッパで一番男性の座りションが多いドイツ 最近イギリスの世論調査会社「YouGov」は、男性のおしっこの仕方について13カ国(ヨーロッパ8カ国およびカナダ、アメリカ、メキシコ、シンガポール、オーストラリア)で調査を行なっている。
それによると、ドイツは13カ国中でも特に座りションをする男性が多いことがわかった。
ドイツ人男性で「毎回」座っておしっこをする人は40%、「ほとんど」座っておしっこをする人は22%で、じつに3分の2近くの男性が座りション派「Sitzpinkler(ジッツピンクラー)」だったのだ。
ちなみに2位は、スウェーデン男性で50%(「毎回」22%、「ほとんど」28%)、3位はデンマーク男性で44%だった。
一方、13カ国でもっとも少なかったのはイギリス、ポーランド、メキシコだ。これらの国で、毎回座っておしっこをする男性はそれぞれ9%、10%、6%でしかない。
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ドイツ人男性のほぼ6割が座りション派 / image credit:YouGov
また、アメリカやイギリスなど、座りション率の低い国でも、55 歳以下の若い世代に関しては、座りション派が多い傾向にあるという。
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ヨーロッパの国々での座りション率の割合 / image credit:Euronews, via Reddit/Europeドイツで座りション派が進んだ背景座りションを促す装置「トイレのお化け」 なぜドイツではこんなにも座って用足しをする男性が多いのだろう? 彼らは昔から座る習慣があったわけではない。
「Big Think」誌によると、このような流れの象徴とも言えるのが、2004年に発売された「WC-Geist(トイレのお化け)」なる装置なのだそう。
このお化けのようなデザインの装置を便座の下に設置しておくと、便座を持ち上げた時に、「便座を倒して、座って用を足してください」というメッセージが流れる。
お好みでアンゲラ・メルケルやヘルムート・コールなど、歴代首相の声にすることもできるのだとか。
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衛生面と健康面、両方の理由で座りション推進 ドイツでおしっこの仕方に関する男性の意識改革が進んだのは、2000年代前半以降のことだ。
それ以前、男性にとってシッツピンクラーは、「弱虫」のニュアンスがあるどちらかといえば侮蔑の言葉だった。
だがその頃、特に集合住宅のような共有施設では、男性に座って排尿するよううながす標識が掲げられるようになる。
そして今では親たちが、自分たちの子供に座っておしっこをするよう躾けるようになっている。
その背景には、衛生面と健康面の2つの理由がある。
衛生面はわかるだろう。立っておしっこをすると、盛大に飛び散ってトイレを汚してしまう。自分で掃除をするならまだしも、それを放置する人もいるのだから問題視されるのも仕方がない。
では健康面とはどういうことか? それは座った方がおしっこがスムーズに出るのだという。
2014年のレイデン大学医学センターの泌尿器科の研究者による調査では、座って排尿することで、排尿時間が短縮され、尿の最大流量が増え、排尿後の残尿量が減ることが示されたという。
特に前立腺肥大などの排尿障害がある男性だと、座った方が膀胱からより多くのおしっこを排泄できるのだそうだ。
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2000年代後半より、ドイツのトイレにはこんなステッカーが張られ、男性に座りションをうながした / image credit: immi.deドイツでは、立ちションが原因で裁判沙汰になったことも 座りションの本場ドイツであっても、おしっこの仕方を強要されることに抵抗を覚える男性もいる。
ドイツ人男性の10人に1人は絶対的シッツピンクラー(つまり、いつも立っておしっこする人)で、2015年にはおしっこの仕方をめぐって裁判沙汰にまでなっている。
デュッセルドルフで開かれたその裁判は、敷金の返金を求める借主とそれを拒む貸主で争われたものだ。
その大家さんは、借主が立ちションを続けたことでトイレの大理石が傷んだとして、1900ユーロ(約25万円)の敷金の返還を拒否していたのだ。
裁判官は立ちション派の借主を支持。「この問題に関して、男性の社会的な制約が進んではいるものの、立ったまま排尿することはまだ一般的な習慣」であると述べている。
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photo by iStock
実は日本は、隠れ座りション大国だった さて、ここまで読んで、どんな感想を抱いただろうか? 「え?自分はとっくに座りション派だけど?」と思った人も少なくないはずだ。特に若い世代は。
じつは日本はドイツを上回る座りション大国かもしれないという。まあ「座りション」という言葉があるくらいだからそんな気もしていたが、Big Think誌によると、座っておしっこをする日本人男性は、1999年の15%から2020年には60%と、ここ数十年で劇的に増えているのだという。
さらに2021年8月の、日本トレンドリサーチ社の調査によると、洋式トイレの場合、自宅では座って排尿すると答えた人は63%、特に30代以下では78.6%という結果になったそうだ。
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日本の男性はなぜ、そしていつから座っておしっこをするようになったのか?男性読者のみんなの意見を聞いてみたい。
ちなみに前出の、日本トレンドリサーチ社の調査によると、配偶者の実家では自分の実家よりも気を使って「座りション」をする人が多かったそうだ。
References:Give pee a chance: Why German men urinate sitting down - Big Think / written by hiroching / edited by / parumo
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では男性の座りション率が最も高い国はどこだろう?
ヨーロッパ8カ国、カナダ、アメリカ、メキシコ、シンガポール、オーストラリアで調査したところ、1番多かったのはドイツだそうだ。
なにしろドイツには「座ったままおしっこをする人」を意味する「Sitzpinkler(ジッツピンクラー)なる言葉まである。
だが、ドイツが座りション大国になったのは比較的最近ことだという。
以下では、そんなドイツ人男性のトイレ事情について見ていこう。あわせて日本での座りション比率も見ていこうじゃないか。
ヨーロッパで一番男性の座りションが多いドイツ 最近イギリスの世論調査会社「YouGov」は、男性のおしっこの仕方について13カ国(ヨーロッパ8カ国およびカナダ、アメリカ、メキシコ、シンガポール、オーストラリア)で調査を行なっている。
それによると、ドイツは13カ国中でも特に座りションをする男性が多いことがわかった。
ドイツ人男性で「毎回」座っておしっこをする人は40%、「ほとんど」座っておしっこをする人は22%で、じつに3分の2近くの男性が座りション派「Sitzpinkler(ジッツピンクラー)」だったのだ。
ちなみに2位は、スウェーデン男性で50%(「毎回」22%、「ほとんど」28%)、3位はデンマーク男性で44%だった。
一方、13カ国でもっとも少なかったのはイギリス、ポーランド、メキシコだ。これらの国で、毎回座っておしっこをする男性はそれぞれ9%、10%、6%でしかない。
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ドイツ人男性のほぼ6割が座りション派 / image credit:YouGov
また、アメリカやイギリスなど、座りション率の低い国でも、55 歳以下の若い世代に関しては、座りション派が多い傾向にあるという。
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ヨーロッパの国々での座りション率の割合 / image credit:Euronews, via Reddit/Europeドイツで座りション派が進んだ背景座りションを促す装置「トイレのお化け」 なぜドイツではこんなにも座って用足しをする男性が多いのだろう? 彼らは昔から座る習慣があったわけではない。
「Big Think」誌によると、このような流れの象徴とも言えるのが、2004年に発売された「WC-Geist(トイレのお化け)」なる装置なのだそう。
このお化けのようなデザインの装置を便座の下に設置しておくと、便座を持ち上げた時に、「便座を倒して、座って用を足してください」というメッセージが流れる。
お好みでアンゲラ・メルケルやヘルムート・コールなど、歴代首相の声にすることもできるのだとか。
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衛生面と健康面、両方の理由で座りション推進 ドイツでおしっこの仕方に関する男性の意識改革が進んだのは、2000年代前半以降のことだ。
それ以前、男性にとってシッツピンクラーは、「弱虫」のニュアンスがあるどちらかといえば侮蔑の言葉だった。
だがその頃、特に集合住宅のような共有施設では、男性に座って排尿するよううながす標識が掲げられるようになる。
そして今では親たちが、自分たちの子供に座っておしっこをするよう躾けるようになっている。
その背景には、衛生面と健康面の2つの理由がある。
衛生面はわかるだろう。立っておしっこをすると、盛大に飛び散ってトイレを汚してしまう。自分で掃除をするならまだしも、それを放置する人もいるのだから問題視されるのも仕方がない。
では健康面とはどういうことか? それは座った方がおしっこがスムーズに出るのだという。
2014年のレイデン大学医学センターの泌尿器科の研究者による調査では、座って排尿することで、排尿時間が短縮され、尿の最大流量が増え、排尿後の残尿量が減ることが示されたという。
特に前立腺肥大などの排尿障害がある男性だと、座った方が膀胱からより多くのおしっこを排泄できるのだそうだ。
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2000年代後半より、ドイツのトイレにはこんなステッカーが張られ、男性に座りションをうながした / image credit: immi.deドイツでは、立ちションが原因で裁判沙汰になったことも 座りションの本場ドイツであっても、おしっこの仕方を強要されることに抵抗を覚える男性もいる。
ドイツ人男性の10人に1人は絶対的シッツピンクラー(つまり、いつも立っておしっこする人)で、2015年にはおしっこの仕方をめぐって裁判沙汰にまでなっている。
デュッセルドルフで開かれたその裁判は、敷金の返金を求める借主とそれを拒む貸主で争われたものだ。
その大家さんは、借主が立ちションを続けたことでトイレの大理石が傷んだとして、1900ユーロ(約25万円)の敷金の返還を拒否していたのだ。
裁判官は立ちション派の借主を支持。「この問題に関して、男性の社会的な制約が進んではいるものの、立ったまま排尿することはまだ一般的な習慣」であると述べている。
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実は日本は、隠れ座りション大国だった さて、ここまで読んで、どんな感想を抱いただろうか? 「え?自分はとっくに座りション派だけど?」と思った人も少なくないはずだ。特に若い世代は。
じつは日本はドイツを上回る座りション大国かもしれないという。まあ「座りション」という言葉があるくらいだからそんな気もしていたが、Big Think誌によると、座っておしっこをする日本人男性は、1999年の15%から2020年には60%と、ここ数十年で劇的に増えているのだという。
さらに2021年8月の、日本トレンドリサーチ社の調査によると、洋式トイレの場合、自宅では座って排尿すると答えた人は63%、特に30代以下では78.6%という結果になったそうだ。
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日本の男性はなぜ、そしていつから座っておしっこをするようになったのか?男性読者のみんなの意見を聞いてみたい。
ちなみに前出の、日本トレンドリサーチ社の調査によると、配偶者の実家では自分の実家よりも気を使って「座りション」をする人が多かったそうだ。
References:Give pee a chance: Why German men urinate sitting down - Big Think / written by hiroching / edited by / parumo
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