飛行機墜落後、アマゾンのジャングルで40日間生き延びた、子供たちのリアルサバイバル物語
 先月1日、アマゾンのジャングルに小型飛行機が墜落した。搭乗していた7人のうちの大人3人の死亡が確認されたが、13歳、9歳、4歳、1歳の4人の子供たちが行方不明になっていた。

 コロンビアの救助隊は、子供たちがまだ生きているという希望を抱きながら捜索を続けてきたが、40日後の6月9日、4人が無事に生きて発見されたことが発表された。

 先住民「ウイトト族」の13歳長女は、子供の頃から非常時に備えてサバイバルゲームをして遊んでいたという。

 また、彼女たちは食べられる食料の知識やジャングルで生き延びるためのスキルを親から教えられていたことも幸いしたようだ。

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Four children found alive, rescued from Amazon jungle 40 days after surviving plane crash5月1日に7人が乗った小型飛行機が墜落 5月1日、大人3人と子供4人を乗せたセスナ機が、目的地までの350kmの飛行を開始した数分後、エンジン故障が原因でコロンビアの熱帯雨林に墜落した。

 15日から16日にかけて、コロンビア軍の兵士らは、子供4人の母親、パイロット、先住民の指導者、合計3人の遺体と、深い植生に垂直に挟まれ機首が破壊された飛行機の破片を発見した。

 だが、レスリーさん(13歳)、ソレイニー君(9歳)、ティエン・ノリエル君(4歳)、そして1歳のクリスティン君は、行方不明のままだった。 コロンビア軍と現地の先住民が献身的な捜索活動 落ちた飛行機の周りに子供たちの遺体がなかったことから、コロンビア軍は子供たちが生きている可能性があると発表した。

 約200人の兵士と地形に精通した先住民が、ワシントンDCの約2倍に相当する約320平方キロメートルの密林地帯を、地上と空の両方から24時間体制で探索した。

 空軍は、スペイン語と先住民族のウイトト語で書かれたビラ1万枚を散布。ビラには、生き残るためのサバイバル術も含まれていた。

 また、空軍の救助ヘリに乗った祖母が、ジャングルのどこかにいるはずの子供たちに、移動せずに一か所に留まるようヘリから呼びかけ、食料の小包とボトル入りの水を森に投下した。

 軍隊と救助隊員らは、子供たちに気付いてもらえるよう強力なサーチライトを地域に照射し、救助犬とともに鬱蒼とした密林の捜索に尽力した。

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ジャングルで子供たちの生存をにおわせる痕跡を発見 墜落事故から1か月が経っても、捜索は続けられた。

 広大なジャングルで子供たちを探して懸命に歩き回るなか、捜索隊たちは4人が生きているという希望が失われていないことを示す興味深い手がかりを得た。

 ハサミや靴、ヘアゴムで、食べかけの果物や赤ちゃんが使う哺乳瓶、使用済みの紙おむつなどが発見されたのだ。

 またその後、泥だらけの地面に子供のものとみられる足跡も発見された。

 陸軍当局は、それが13歳のレスリーさんのものであると信じた。墜落事故から40日後、4人が生きて発見される 9日、捜索隊はついに子供たち4人を発見した。墜落事故から実に40日ぶりだった。  ジャングルでの1か月以上もの間、3人の幼いきょうだいたちの先導に立っていたのは、長女のレスリーさんだった。

 先住民ウイトト族は、子供たちが10歳になるまでには、大人から教えられた狩猟や釣り、採集など、ジャングルでのサバイバルスキルに精通するようになるという。

 13歳のレスリーさんは、すでにその方法を知っていて、勇敢にも自分のヘアリボンでジャングル内にキャンプを設置し、雨水を集めて飲み、安全な果物をより分けて食べていた。

 コロンビア南東部ヴォーペスで、祖母に育てられたといっても過言ではない4人は、先住民としてコミュニティで学んだことを思い出し、生き残るために先祖の知識を活用して、きょうだい全員を生存に導いていたようだ。

 後のメディアの取材で、レスリーさんの叔母が語ったところによると、レスリーさんと9歳の弟は、ジャングルに入る前にしょっちゅうサバイバルゲームをして遊んでいたそうだ。
サバイバルゲームが、今回の危機に役立ったのだと思います。

最年長のレスリーは、森には有毒な果物がたくさんあるので、どの果物を食べてはいけないのか知っています。

また、母親が仕事の間、レスリーは下の子たちの面倒をいつも見ていたし、末っ子の世話の仕方もちゃんと知っていました。


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母親は墜落から4日後に死亡したことが判明 救助された4人は、脱水症状と栄養失調になり、咬傷を負っていたが、意識はあり、捜索隊たちは、まぎれもないこの奇跡に大きな喜びを感じた。

 レスリーさんによると、子供たちの母親マグダレナ・ムクトゥイ・バレンシアさんは、墜落事故から4日間は生きていたという。

 子供4人が生きていることを知った身内全員が、奇跡に感謝し、喜びの声をあげた。

 子供たちの父親は捜索隊と一緒に行動していて、4人が発見された時はそばにいた。

 4人の祖父フィデンシオ・バレンシアさんは、「孫は非常に衰弱していたが、家族に会えてうれしそうだった」と語った。

 祖母のファティマ・バレンシアさんも、「子どもたちが救助されたことにとても感謝している。母なる地球にも感謝します」と安堵と喜びを口にした。

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Children rescued in Amazon reunite with family現在、軍の病院で治療中の4人 子供たちは、発見された後すぐに地域に派遣されている特殊作戦司令部の衛生兵の治療を受けたが、その後ヘリコプターでサン・ホセ・デル・グアビアレの軍事基地内の病院に移送され、そこで安静が保たれた。

 4人を診察した軍医のカルロス・リンコン医師は、まだ栄養不足だが、軟部組織の損傷、咬傷、皮膚病変を抱えているだけで、子供たちが危険な状態は脱したと伝えている。

 臨床検査が完了して順調にいけば、4人は2~3週間後には退院できるだろうということだ。

 一方、コロンビア家族福祉研究所のゼネラルディレクター、アストリッド・カセレス氏は、子どもたちは当局が望むほど話すことはまだできておらず、回復にはまだ時間が必要だと述べている。

 叔母によると、子供たちにはメンタルヘルスのサポートサービスが提供されたそうだ。

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 奥深いアマゾンのジャングルには、ジャガー、ピューマ、ヘビ、その他の捕食動物、そして麻薬を密輸して地元住民を恐怖に陥れる武装集団が潜んでいる。

 そんな危険ななかで、40日間もきょうだいで生き延びていたという事実は、奇跡にほかならない。

 イワン・ベラスケス国防大臣は、各軍部隊の「揺るぎない、たゆまぬ」働きと捜索に参加した先住民族に敬意を表した。

 キューバから帰国後、このニュースを祝い、子供たちの祖父や祖母、叔母たちとハグを交わし合ったグスタボ・ペトロ大統領は、このように述べている。
ジャングルが、彼らを救ったのです。彼らはジャングルの子供たちですが、今ではコロンビアの子供たちでもあります。国にとっては、非常に喜ばしいことです。

子供たちは孤独でしたが、この生存の物語は、生き延びた奇跡として歴史に残るものになるでしょう。
References:How teenager’s ‘survival games’ kept her siblings alive in Colombian jungle for 40 days/ written by Scarlet / edited by parumo

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