
昨年、天文学史上もっとも明るい宇宙の大爆発が観測された。
その「ガンマ線バースト」は、最初に検出されてから10時間以上続き、その明るさも桁外れ。
BOATはなぜあれほど明るく、しかも長時間続いたのか? 最新の研究で、その謎がついに解明されたかもしれないという。
『Science Advances』(2023年6月7日付)に掲載された研究では、BOATがちょうど「地球に直撃するような角度」で爆発を放っていたことを明らかにしている。
さらにそれが誕生した星の物質をありえないほど大量に引きずるという、とても「ユニークなジェット構造」があることも判明したそうだ。
ビッグバン以来、史上もっとも明るい宇宙大爆発 ガンマ線バースト「BOAT」は、正式名称を「GRB 221009A」という。
ガンマ線バーストとは、宇宙の遠くで発生する強力なエネルギー放出のことで、ガンマ線という非常に高エネルギーの光が短時間で放出される大爆発のようなものだ。一部の大質量星が超新星爆発を起こしたり、二つの中性子星が衝突したりするときに発生する。
GRB 221009Aが観測されたのは2022年10月9日のこと。巨大なエネルギーを持つガンマ線の閃光がひらめくと、それが10時間以上も続いたのだ。
その原因は、いて座の方角に約24億光年離れたところあった巨大な星が崩壊し、ブラックホールが誕生したことだとされている。
ただでさえガンマ線バーストは、宇宙でもとびきり強力な爆発だ。ほんの数秒のうちに、太陽が100億年かけて生み出すのと同じだけのエネルギーを放出する。
だがBOATのエネルギーは普通のガンマ線バーストの10倍以上と圧倒的。天文学者の中には、普通のガンマ線バーストの理論では説明できないとする者もいた。
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Gamma Ray Burst GRB 221009A video星の物質を大量に引きずるジェット構造 なぜBOATはこれほど明るく、いつまでも輝いたのか?
今回の国際的な研究チームは、BOATがちょうど「地球に直撃するような角度」で最初の爆発を放っていたことを突き止めている。
研究チームの1人、バース大学のHendrik Van Eerten博士は、「この謎に挑んだほかの研究者と同じく、ジェットが私たちに直接向けられていたという結論に達しました。それはまるで庭のホースがまっすぐに噴射されるようなものです」と、プレスリリースで説明する。
だがBOATをくわしく調べてみると、ただ明るいだけでなく、とても珍しい構造をしていることもわかった。端っこが見えないくらい広範囲に広がっていたのだ。
普通のガンマ線バーストなら独立したジェットがあるはずが、BOATの場合は広範囲に広がるガス流の中に細いジェットが埋まっているというユニークな特徴がある。
BOATがいつまでも輝いた秘密は、この特別な構造にあるかもしれない。
一般に、ガンマ線バーストは、巨大な星が超新星爆発を起こして、ブラックホールが形成されるときに放たれると考えられている。だからガンマ線バーストは、そうした崩壊する星を通り抜けてくる。
だがBOATの場合は、その際に混ざりあう星の物質の量がまるで違ったと考えられるのだ。
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スイフト宇宙望遠鏡がとらえた天文学史上もっとも明るい爆発 / image credit:NASA/Swift/A. Beardmore (University of Leicester)ガンマ線バーストの秘密を解明する1000年に1度のチャンス こうした発見はガンマ線バースト研究の基礎となり、BOATだけでなく、それ以外のとんでもなく明るいガンマ線バーストの秘密を解明する手がかりになると考えられている。
BOATは天文学史上もっとも明るいだけでなく、知られているものとしてはもっとも近くで起きたガンマ線バーストでもある。
つまりこの謎の多い現象を研究するにはうってつけの素材ということだ。
「ブラックホールの形成から暗黒物質モデルのテストまで、こうした爆発についての基本的な問題に取り組む1000年に1度のチャンスだと考えています」と研究チームの1人、ジョージ・ワシントン大学のBrendon O’Connor博士は述べている。
References:Largest explosion since the Big Bang was powered by a bizarre energy jet unlike any other | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
その「ガンマ線バースト」は、最初に検出されてから10時間以上続き、その明るさも桁外れ。
「史上もっとも明るい(Brightest of All Time)」ことから「BOAT」と呼ばれるようになった。
BOATはなぜあれほど明るく、しかも長時間続いたのか? 最新の研究で、その謎がついに解明されたかもしれないという。
『Science Advances』(2023年6月7日付)に掲載された研究では、BOATがちょうど「地球に直撃するような角度」で爆発を放っていたことを明らかにしている。
さらにそれが誕生した星の物質をありえないほど大量に引きずるという、とても「ユニークなジェット構造」があることも判明したそうだ。
ビッグバン以来、史上もっとも明るい宇宙大爆発 ガンマ線バースト「BOAT」は、正式名称を「GRB 221009A」という。
ガンマ線バーストとは、宇宙の遠くで発生する強力なエネルギー放出のことで、ガンマ線という非常に高エネルギーの光が短時間で放出される大爆発のようなものだ。一部の大質量星が超新星爆発を起こしたり、二つの中性子星が衝突したりするときに発生する。
GRB 221009Aが観測されたのは2022年10月9日のこと。巨大なエネルギーを持つガンマ線の閃光がひらめくと、それが10時間以上も続いたのだ。
その原因は、いて座の方角に約24億光年離れたところあった巨大な星が崩壊し、ブラックホールが誕生したことだとされている。
ただでさえガンマ線バーストは、宇宙でもとびきり強力な爆発だ。ほんの数秒のうちに、太陽が100億年かけて生み出すのと同じだけのエネルギーを放出する。
だがBOATのエネルギーは普通のガンマ線バーストの10倍以上と圧倒的。天文学者の中には、普通のガンマ線バーストの理論では説明できないとする者もいた。
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Gamma Ray Burst GRB 221009A video星の物質を大量に引きずるジェット構造 なぜBOATはこれほど明るく、いつまでも輝いたのか?
今回の国際的な研究チームは、BOATがちょうど「地球に直撃するような角度」で最初の爆発を放っていたことを突き止めている。
研究チームの1人、バース大学のHendrik Van Eerten博士は、「この謎に挑んだほかの研究者と同じく、ジェットが私たちに直接向けられていたという結論に達しました。それはまるで庭のホースがまっすぐに噴射されるようなものです」と、プレスリリースで説明する。
だがBOATをくわしく調べてみると、ただ明るいだけでなく、とても珍しい構造をしていることもわかった。端っこが見えないくらい広範囲に広がっていたのだ。
普通のガンマ線バーストなら独立したジェットがあるはずが、BOATの場合は広範囲に広がるガス流の中に細いジェットが埋まっているというユニークな特徴がある。
BOATがいつまでも輝いた秘密は、この特別な構造にあるかもしれない。
一般に、ガンマ線バーストは、巨大な星が超新星爆発を起こして、ブラックホールが形成されるときに放たれると考えられている。だからガンマ線バーストは、そうした崩壊する星を通り抜けてくる。
だがBOATの場合は、その際に混ざりあう星の物質の量がまるで違ったと考えられるのだ。
そのせいで、たとえば衝撃で加熱されたガスといったものが、地球の視線上にいつまでも残り続けた。それが10時間以上も輝いた理由かもしれない。
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スイフト宇宙望遠鏡がとらえた天文学史上もっとも明るい爆発 / image credit:NASA/Swift/A. Beardmore (University of Leicester)ガンマ線バーストの秘密を解明する1000年に1度のチャンス こうした発見はガンマ線バースト研究の基礎となり、BOATだけでなく、それ以外のとんでもなく明るいガンマ線バーストの秘密を解明する手がかりになると考えられている。
BOATは天文学史上もっとも明るいだけでなく、知られているものとしてはもっとも近くで起きたガンマ線バーストでもある。
つまりこの謎の多い現象を研究するにはうってつけの素材ということだ。
「ブラックホールの形成から暗黒物質モデルのテストまで、こうした爆発についての基本的な問題に取り組む1000年に1度のチャンスだと考えています」と研究チームの1人、ジョージ・ワシントン大学のBrendon O’Connor博士は述べている。
References:Largest explosion since the Big Bang was powered by a bizarre energy jet unlike any other | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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