
太陽系最大の惑星「木星」でも、地球と同じように嵐が吹き荒れ、稲妻が走る。木星の謎を探求中のNASAのジュノー探査機が、北極付近を渦巻く嵐の中で光り輝く緑色の稲妻を激写した。
木星は直径が地球の11倍もあり、岩ではなくガスが集まってできたガス惑星だ。だが、その雷雲でひらめく稲妻は、地球とほぼ同じようなものだという。
だが不思議なことに、赤道に近づくほど雷が多い地球とは違い、木星では高緯度、とりわけ北の空のほうが雷が多いこともわかっている。
このような違いがある理由は、今のところわかっていない。
木星で発生した神秘的な緑色の稲妻 2020年12月30日、NASAのジュノー探査機は、木星の31回目のフライバイの際に、この驚くべき緑色の稲妻をとらえた。
その時、ジュノーは木星の北極近くに渦巻く雲の上約32,000キロメートルの地点にあったそうだ。まるで緑色のレーザーライトのような色をしており、とても印象的だ。
この写真は、ジュノーに設置された機器「JunoCam」からの生データもとに、科学者のKevin M. Gill氏が2022年に画像処理をしたものだ。
処理の過程で鮮明な緑色になったのかどうかはわからないが、稲妻は大気中の粒子の影響で色が変化するため、鮮やかな色に見えることがあるという。
地球の火山で発生する雷は、灰の影響で青色、紫色、藤色の色合いが見られる。木星でも同様の効果が作用しているのかもしれない。
[画像を見る]
水とアンモニアで構成された雷雲の中できらめく稲光 / image credit:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS. Image processing by Kevin M. Gill c CC BY雷から稲妻が走る条件 雷は雷雲(積乱雲)が、まるで巨大な電池のように電気を帯びることで放電する自然現象だ。
空気が温められて上昇気流が発生すると、途中で水滴ができ、それが上空へと持ち上げられる。空は高いところほど気温が低いので、水滴が凍ってあられとなり、下降気流によって下へと落下する。
こうした乱気流に翻弄される水や氷の粒子がぶつかり合うと、水滴から電子が剥ぎ取られ、雷雲にはだんだん電気がたまっていく。その様子はまるで上部がプラス極、下部がマイナス極の巨大な電池のようだ。
そうして蓄えられた電荷が、大気が電気を防ぐ力(絶縁する力)を上回った瞬間、ピシャッと稲妻が走るのだ。
以下の画像は、天体写真家、ウグル・ジェミニ(Uğur İkizler)氏がトルコで発生した50分の激しい雷雨の間に出現した100本以上の稲妻を1枚にまとめた、驚異的な写真である。[画像を見る] 木星にも地球のような雷がある NASAの探査機「ジュノー」が集めた5年分のデータからは、木星の雷も地球のものとほぼ同じだろうことが確認されている。
その姿はギザギザとした、地球でもお馴染みのものだ。
雷がこうした特徴的なラインを描くのは、電気が一番流れやすいルートを短いジャンプを繰り返しながらたどるためだ。
ジュノーの観測装置のデータからは、水とアンモニアで構成される木星の雷雲の中でも、稲妻はジグザクとした動きをするだろうことがわかっている。
ただし太陽系最大の惑星だけあって、その規模は大きい。木星の雷雲は、下から上まで67キロもの高さに成長するという。
さらに木星の雷は、地球最強の雷「スーパーボルト」の3倍のエネルギーを持つという。
[画像を見る]
photo by iStock
木星と地球では雷の発生条件が異なる ただし、木星と地球では、雷が発生しやすい地域が異なるという。
地球の場合、雷が起きるのは主に赤道付近のような低緯度地域だ。ところが、木星の雷は主に高緯度、とりわけ北で起きているのだ。
また木星のシンボルである「大赤斑」は、地球2~3個分もの直径がある巨大な嵐だが、風が吹きすさぶばかりで、雷はないようだ。
なぜ木星の雷にこのような特徴があるのか、その理由は今のところわかっていないそうだ。もしかしたらジュノー、あるいは今年4月に打ち上げられた木星氷衛星探査機「JUICE」がその謎を解明してくれるかもしれない。
References:NASA’s Juno Spacecraft Just Captured A Spooky Green Lightning Flash On Jupiter / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
木星は直径が地球の11倍もあり、岩ではなくガスが集まってできたガス惑星だ。だが、その雷雲でひらめく稲妻は、地球とほぼ同じようなものだという。
だが不思議なことに、赤道に近づくほど雷が多い地球とは違い、木星では高緯度、とりわけ北の空のほうが雷が多いこともわかっている。
このような違いがある理由は、今のところわかっていない。
木星で発生した神秘的な緑色の稲妻 2020年12月30日、NASAのジュノー探査機は、木星の31回目のフライバイの際に、この驚くべき緑色の稲妻をとらえた。
その時、ジュノーは木星の北極近くに渦巻く雲の上約32,000キロメートルの地点にあったそうだ。まるで緑色のレーザーライトのような色をしており、とても印象的だ。
この写真は、ジュノーに設置された機器「JunoCam」からの生データもとに、科学者のKevin M. Gill氏が2022年に画像処理をしたものだ。
処理の過程で鮮明な緑色になったのかどうかはわからないが、稲妻は大気中の粒子の影響で色が変化するため、鮮やかな色に見えることがあるという。
地球の火山で発生する雷は、灰の影響で青色、紫色、藤色の色合いが見られる。木星でも同様の効果が作用しているのかもしれない。
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水とアンモニアで構成された雷雲の中できらめく稲光 / image credit:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS. Image processing by Kevin M. Gill c CC BY雷から稲妻が走る条件 雷は雷雲(積乱雲)が、まるで巨大な電池のように電気を帯びることで放電する自然現象だ。
空気が温められて上昇気流が発生すると、途中で水滴ができ、それが上空へと持ち上げられる。空は高いところほど気温が低いので、水滴が凍ってあられとなり、下降気流によって下へと落下する。
こうした乱気流に翻弄される水や氷の粒子がぶつかり合うと、水滴から電子が剥ぎ取られ、雷雲にはだんだん電気がたまっていく。その様子はまるで上部がプラス極、下部がマイナス極の巨大な電池のようだ。
そうして蓄えられた電荷が、大気が電気を防ぐ力(絶縁する力)を上回った瞬間、ピシャッと稲妻が走るのだ。
以下の画像は、天体写真家、ウグル・ジェミニ(Uğur İkizler)氏がトルコで発生した50分の激しい雷雨の間に出現した100本以上の稲妻を1枚にまとめた、驚異的な写真である。[画像を見る] 木星にも地球のような雷がある NASAの探査機「ジュノー」が集めた5年分のデータからは、木星の雷も地球のものとほぼ同じだろうことが確認されている。
その姿はギザギザとした、地球でもお馴染みのものだ。
雷がこうした特徴的なラインを描くのは、電気が一番流れやすいルートを短いジャンプを繰り返しながらたどるためだ。
ジュノーの観測装置のデータからは、水とアンモニアで構成される木星の雷雲の中でも、稲妻はジグザクとした動きをするだろうことがわかっている。
ただし太陽系最大の惑星だけあって、その規模は大きい。木星の雷雲は、下から上まで67キロもの高さに成長するという。
これは地球で見られるものの5倍の高さだ。
さらに木星の雷は、地球最強の雷「スーパーボルト」の3倍のエネルギーを持つという。
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photo by iStock
木星と地球では雷の発生条件が異なる ただし、木星と地球では、雷が発生しやすい地域が異なるという。
地球の場合、雷が起きるのは主に赤道付近のような低緯度地域だ。ところが、木星の雷は主に高緯度、とりわけ北で起きているのだ。
また木星のシンボルである「大赤斑」は、地球2~3個分もの直径がある巨大な嵐だが、風が吹きすさぶばかりで、雷はないようだ。
なぜ木星の雷にこのような特徴があるのか、その理由は今のところわかっていないそうだ。もしかしたらジュノー、あるいは今年4月に打ち上げられた木星氷衛星探査機「JUICE」がその謎を解明してくれるかもしれない。
References:NASA’s Juno Spacecraft Just Captured A Spooky Green Lightning Flash On Jupiter / written by hiroching / edited by / parumo
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