巣から落ちた我が子を生き延びさせるため、上空から餌を落とし続けるハクトウワシの親の献身
 アメリカ・カリフォルニア州のチャネル諸島の最南端に位置するサンクレメンテ島とその周辺には、多くの野生の鳥や動物が生息している。

 野生動物研究所では動物たちを保護するために観察カメラを設置し、モニタリングを続けている。


 ある日、スタッフの女性がハクトウワシの巣の映像をチェックしたところ、3羽いるうちのヒナの1羽がいなくなっていることに気が付いた。

 そこで様子を見に行くと、そのヒナは巣から落ち、滝近くの崖の途中の岩の上にいるところを発見。幸いにも大きな怪我もなく健康そうな様子だった。

 スタッフは、母鳥が落ちたヒナを生き延びさせようと、ヒナのいる場所に上から餌を落として与え続けていたことを知り、我が子を思う愛情の深さに感動したという。

ハクトウワシのヒナが巣から落ちる カリフォルニアにある非営利団体。野生動物研究所のプロジェクトマネジャーのニコール・デノワイエさんは、他のメンバーと交代でサンクレメンテ島近くにあるハクトウワシの巣カメラをチェックし、ヒナの成長の様子を見守っている。

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 4月23日の土曜日の朝、ニコールさんは、カメラのライブ映像を見て異変に気付いた。前の晩、巣に3羽のヒナがいたのに、カメラには2羽しか映っていなかったのだ。

 ニコールさんは、すぐに3羽目のヒナが巣から落ちたのではないかと心配した。

 すぐに現場に駆け付けたかったが、あいにくサンクレメンテへの交通手段は非常に限られていた。

 週が明けるまで待つことを余儀なくされたニコールさんは、月曜の朝になると救助メンバーらと一緒に現場に向かった。親鳥が巣から落ちたヒナに餌を与え見守っていた 1時間に及ぶ困難なハイキングの後、ニコールさんはヒナの最悪の事態を恐れながら、巣の下にある近くの滝の上を恐る恐る覗いた。


 ヒナは、巣の下の渓谷の滝の崖の上に落ちたようだった。途中で枝にひっかかったのが幸いしたのだろう。幸運にも2~3メートルある峡谷の底への転落は免れたことを知って、ニコールさんら救助メンバーは安堵した。

 そっとヒナを抱き上げて徹底的に検査を行ったところ、片方の膝部分に少量の乾いた血がついていた以外は、他に怪我の兆候はないことが判明した。健康状態も良かった。

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image credit:Institute for Wildlife Studies/Facebook

 ヒナは、片足にちょうどいい大きさの魚を抱え、別の魚の上に横たわっていたという。それを見て、ニコールさんは母鳥が落ちたヒナのために必死に餌を与え続けていたことを知った。

 ヒナを助けている間もずっと、母ワシは上から見守っていた。

 ヒナが落ちた場所まで降りて助けることができなかった母ワシは、ヒナをなんとかして生き延びさせようと、上から餌を落とし続けていたのだ。

 そのおかげで、ヒナは動くことはできなかったが、飢えることなく過ごせていた。母親の愛情が、ヒナの命を救ったことにニコールさんは感動した。

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ヒナは無事に巣に戻された その後、落ちたヒナを抱え、慎重に巣のある場所までたどり着いたニコールさんたちは、再びこのようなことが起こらないよう巣の安全性を確認し補強。


 そして、救助したヒナを他の2羽が眠っている巣の中へそっと戻した。

 無事に巣に戻ったヒナの写真を撮影したニコールさんは、後でその写真を見て、ヒナたちの元に急いで飛んで戻ろうとしている親ワシが写り込んでいることに気付いた。

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image credit:Institute for Wildlife Studies/Facebook

 今後、3羽のヒナが巣のなかで元気に育っていくことをニコールさんは願っている。

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References:Rescuers Stunned By Eagle Parents' Devotion To Baby Who Fell From Nest/ written by Scarlet / edited by parumo

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