
多くの化石が残されている三葉虫は、古生物のシンボルのような海生動物だ。2度の大量絶滅を生き延び、じつに3億年もの長きにわたり古代の海底を支配したすごいヤツなのだ。
地球の酸素の量が変わることもあった激動の時代において、三葉虫はどうやってそんなに長い間生きることができたのか?
スペインとアメリカの古生物学者によれば、そのヒントが三葉虫の変わり種「アウラコプレウラ・コニンキイ(Aulacopleura koninckii)」に隠されているという。
彼らによると、この三葉虫は体節を増やすことで、少ない酸素に対応することができたため、過酷な環境変化を生き抜くことができたという。
体節の数が個体によって差がある三葉虫の奇妙な種 約5億2000万年前のカンブリア紀からペルム紀末までの約3億年の間、古代の海には三葉虫がひしめいていた。
古生物のシンボルのようなこの生物は、恐竜よりもずっと長く地球で暮らし、大量絶滅ですら2度にわたって生き延びている。
三葉虫は2万種以上が知られているが、その体の基本的な構造は同じで、頭部・胸部・尾板の3つに分かれている。またほとんどの種の場合、体節の数も決まっている。
ところが、「アウラコプレウラ・コニンキイ(Aulacopleura koninckii)」はちょっとユニークだ。第三の目があるという点でも変わっているのだが、ほかにも体節の数が18~22節と個体によって差があるという特徴まである。
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アウラコプレウラ・コニンキイの化石 / image credit:Nigel Hughes / University of California, Riverside.
その不思議さを実感するには、こう考えるといい。
人間の場合、背骨の数は24本と決まっている。これはどんなに背が低い人も、背が高い人も”基本的”には同じだ。ところが、アウラコプレウラは個体によって、それがバラバラなのだ。
問題はその理由だ。体節の数が増えることに何かメリットがあるのだろうか?
マドリード・コンプルテンセ大学とカリフォルニア大学リバーサイド校の古生物学者チームは、その謎に迫っている。体節を増やすと身を守るために丸くなれないのになぜ? 現代のダンゴムシは、危険にさらされると体をボールのように丸めて身を守ろうとする。 硬い殻を外にして、弱点のお腹を敵に見せないようにするのだ。
じつは三葉虫もまた同じようにして身を守ることができる。このボールのような姿勢になると、尾が頭の下にピタッと収まり、柔らかい部分を隠すことができた。
だが今回作成された3Dモデルからは、アウラコプレウラの場合、体節が増えたおかげで、尾板が長すぎて頭の下に収まりきらないことがわかっている。
以下のGIFは、一般的な体節を持つ三葉虫の若い個体ので、防御態勢に入ったときに頭部の下側と尾板がぴったりとフィットする。だがアウラコプレウラはこうはならない。尾がはみ出てしまい完全に丸くなれないのだ。
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image credit:Nigel Hughes - UCR体節を増やすことで呼吸しやすくし、過酷な環境を生き延びていた ならば、このような危険をおかしてまで、あえて体節を増やしたのだろうか?
ここで注目すべきなのが、体節の下にあるもの「脚」である。じつは三葉虫の脚はエラとしての役割を果たす。
そのため、体節が増えれば、それだけ呼吸しやすくなる。
このことから研究チームは、アウラコプレウラは体節を増やすことで、酸素の少ない海底でも生きることができたのではと考えている。
そうした酸素の乏しい環境に、危険な捕食者は近寄ることができない。だがアウラコプレウラはエラが余分にあるため、酸欠にならずにそこで暮らすことができたのかもしれない。
三葉虫は、地球上で過酷な環境を生き抜くのに必要なのは、柔軟に環境に適応する力であることを我々に教えてくれているのかもしれない。
References:Scientists discover how trilobites survived environmental change / written by hiroching / edited by / parumo
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地球の酸素の量が変わることもあった激動の時代において、三葉虫はどうやってそんなに長い間生きることができたのか?
スペインとアメリカの古生物学者によれば、そのヒントが三葉虫の変わり種「アウラコプレウラ・コニンキイ(Aulacopleura koninckii)」に隠されているという。
彼らによると、この三葉虫は体節を増やすことで、少ない酸素に対応することができたため、過酷な環境変化を生き抜くことができたという。
体節の数が個体によって差がある三葉虫の奇妙な種 約5億2000万年前のカンブリア紀からペルム紀末までの約3億年の間、古代の海には三葉虫がひしめいていた。
古生物のシンボルのようなこの生物は、恐竜よりもずっと長く地球で暮らし、大量絶滅ですら2度にわたって生き延びている。
三葉虫は2万種以上が知られているが、その体の基本的な構造は同じで、頭部・胸部・尾板の3つに分かれている。またほとんどの種の場合、体節の数も決まっている。
ところが、「アウラコプレウラ・コニンキイ(Aulacopleura koninckii)」はちょっとユニークだ。第三の目があるという点でも変わっているのだが、ほかにも体節の数が18~22節と個体によって差があるという特徴まである。
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アウラコプレウラ・コニンキイの化石 / image credit:Nigel Hughes / University of California, Riverside.
その不思議さを実感するには、こう考えるといい。
人間の場合、背骨の数は24本と決まっている。これはどんなに背が低い人も、背が高い人も”基本的”には同じだ。ところが、アウラコプレウラは個体によって、それがバラバラなのだ。
問題はその理由だ。体節の数が増えることに何かメリットがあるのだろうか?
マドリード・コンプルテンセ大学とカリフォルニア大学リバーサイド校の古生物学者チームは、その謎に迫っている。体節を増やすと身を守るために丸くなれないのになぜ? 現代のダンゴムシは、危険にさらされると体をボールのように丸めて身を守ろうとする。 硬い殻を外にして、弱点のお腹を敵に見せないようにするのだ。
じつは三葉虫もまた同じようにして身を守ることができる。このボールのような姿勢になると、尾が頭の下にピタッと収まり、柔らかい部分を隠すことができた。
だが今回作成された3Dモデルからは、アウラコプレウラの場合、体節が増えたおかげで、尾板が長すぎて頭の下に収まりきらないことがわかっている。
以下のGIFは、一般的な体節を持つ三葉虫の若い個体ので、防御態勢に入ったときに頭部の下側と尾板がぴったりとフィットする。だがアウラコプレウラはこうはならない。尾がはみ出てしまい完全に丸くなれないのだ。
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image credit:Nigel Hughes - UCR体節を増やすことで呼吸しやすくし、過酷な環境を生き延びていた ならば、このような危険をおかしてまで、あえて体節を増やしたのだろうか?
ここで注目すべきなのが、体節の下にあるもの「脚」である。じつは三葉虫の脚はエラとしての役割を果たす。
つまり呼吸器の一部なのだ。
そのため、体節が増えれば、それだけ呼吸しやすくなる。
このことから研究チームは、アウラコプレウラは体節を増やすことで、酸素の少ない海底でも生きることができたのではと考えている。
そうした酸素の乏しい環境に、危険な捕食者は近寄ることができない。だがアウラコプレウラはエラが余分にあるため、酸欠にならずにそこで暮らすことができたのかもしれない。
三葉虫は、地球上で過酷な環境を生き抜くのに必要なのは、柔軟に環境に適応する力であることを我々に教えてくれているのかもしれない。
References:Scientists discover how trilobites survived environmental change / written by hiroching / edited by / parumo
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