ハワイ・マウイ島の山火事でまわりが焼け野原となる中、1軒だけ無事だった家に注目が集まる
 2023年8月8日にハワイ、マウイ島の3か所で発生した山火事だが、8月18日の時点で、死者が114人になったことが発表された。火災の約9割が鎮圧され、6割の地域で捜索が終了したという。

 この山火事で、マウイのリゾート都市ラハイナは焼け野原と化した。

 だが、マウイ島西部の海に面した街区に、奇跡的に1軒だけ焼けずに残った家がある。近隣が灰と焦げた家の残骸が残る悪夢のような光景とは対照的に、その家は無傷に見える。

 その奇跡の家の映像がメディアやSNSに取り上げられると、いったいなぜこの家だけ無事だったのか?と注目が集まった。

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Single home surrounded by burned-out destruction somehow survives Maui wildfiresあたり一面焼け野原の中、1軒だけ無事に残された奇跡の家 ハワイ土地天然資源局が公開したマウイ島ラハイナ付近の空撮映像を見ると、山火事の影響でほぼ一面が焼け野原になった地域で、1軒だけぽつりと無傷なまま残っている家があるのがわかる。

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 白い外壁に、赤い屋根の2階建ての家は、近隣の家の灰と焦げた基礎が残る悪夢のような光景とは対照的だ。

 映像がSNSで注目を集めると、ユーザーらはこの家を「ハワイの山火事を生き延びた赤い家」と呼び、困惑したようだ。

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無傷な建物は他にもあった 地元のKITVの航空映像では、赤い家と教会のほかに、さらにいくつか被害を免れた建物が、焼け野原に点在している様子が映し出されている。

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DLNR captures new aerial footage of Lahaina Wildfire Disaster

 この光景は、ラハイナの歴史的建造物であるマリア・ラナキラ・カトリック教会と似ていて、この教会も少なくとも114人が死亡した火災の被害などなかったかのように見える。

 しかし、ほぼ一面焼け野原という状況で、なぜ、数軒の建物は無事だったのか。正確な理由というのは不明のようだが、家の構造に違いがあったと考えられている。 コンクリートでできた家は全焼を免れた ラハイナに現存する数少ない家のひとつを、家族で所有しているパティ・タムラさん(67歳)は、燃えない分厚いコンクリート壁のおかげで、この家が焼けなかったと信じている。

 カリフォルニア州在住のタムラさんは、メディアの取材に対して、この家は近くの製糖工場で働いていた祖父が、1950年代に老後を楽しく過ごすために、どんな災害が起きても耐えられるように建てたものだと語った。
ハワイには虫や湿気が多いので、それらから守るために、祖父は基礎からコンクリートを使用して家を建てました。

市内の家のほとんどは主に木造で、私の実家はいつも場違いに見えると思っていましたが、今では家族は祖父の先見の明に感謝しています。

祖父の知識と建設技術のおかげで、家が焼けずに済んだのだと確信しています。
 海に近い家では、海の音が部屋の中にまで聞こえがちだが、タムラさんは、「家のコンクリートの壁が非常に厚く、外の海の轟音さえかき消してしまう可能性がある」と話した。

 タムラさんによると、現在この家はいとこが管理していて、山火事の発生時は改装中だったことから家には誰もいなかったという。

 実家が焼けずに残ったことは嬉しく思うが、ラハイナの焼け野原を見ることはあまりにも傷つくため、この家やいとこの家族をすぐに訪問する気はないと語っている。

 ちなみに、コンクリート、レンガ、石といった素材は、家がこのような壊滅的な火災から生き残るための重要な要素の1つになるようだ。

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 これは、マウイ島までの過去100年以上で最も死者を出した火災となった、2018年のカリフォルニア州の山火事「キャンプ・ファイア」でも以前に確認されたものだ。

 同火事では、85人が死亡、1万戸近くの家屋が焼失したが、近隣の建物が全焼したなか、コンクリート造りの家は奇跡的に焼けなかったという。

References:Single home surrounded by burned-out destruction somehow survives Maui wildfires / written by Scarlet / edited by parumo

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