彼の任務は、船上の害獣の制御と駆除だ。
当時、メリーランド州ボルチモアの港では、ネズミが船内で病気を媒介したり、ロープを咬んだり、食料を盗んだりと、深刻な問題を引き起こしていたのだ。
これは日々の任務をこなしつつ、隊員たちの心の支えとなり、彼らに癒しと笑顔をもたらした猫のハーマンの物語である。
ネズミ駆除のため、アメリカ沿岸警備隊員となった猫のハーマン 第二次世界大戦中、ボルチモアの港や街中ではドブネズミなどが大量発生していた。病気を媒介する可能性もあり、ネズミの根絶が重要な課題となっていた。
沿岸警備隊の所有する船の中も同様で、多くのネズミが棲みついていた。そこで沿岸警備隊は、ネズミ対策として、ボルチモア港で皆にかわいがられている猫、ハーマンに白羽の矢を当てた。
1943年1月12日、通常の人差し指の指紋の代わりに、肉球の印が押され、写真付きの正式な身分証明書が、猫のハーマンに対して発行された。
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名前:ハーマン・ザ・キャット、職業:ネズミ捕り専門家、性別:オス、年齢:8ヶ月、身長:38センチ、体重:5キロ弱、目の色:グリーン、毛色:灰色
彼は、米国沿岸警備隊発行の正式な身分証明賞を持つ、精鋭グループのメンバーのひとりだ。当時のサン紙に報じられた。
もはや、プラット・ストリートの第4埠頭でネズミを退治していた我らのマスコット、ハーマンを止めることは誰にもできない
ハーマンの正式就任は、当時評判だったパラマウントのニュース映画になり、全国の劇場に配給された。
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船乗りと猫の深い絆 人間が海に乗り出した遥か昔からずっと、船乗りと猫は深い絆で結ばれてきた。
古代エジプト人は、立派なヒゲをもつこの生き物を崇め、寝食を共にするペットとして、ナイル川を行き交う船に乗せて、水辺に生息するネズミや鳥を捕まえさせた。
それ以来、猫は商船、探検船、軍艦などさまざまな船に人間と共に乗り込むようになり、あちこちの港に立ち寄っては、世界中に広まっていった。
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猫は手頃な病気予防になるだけでなく、いい相棒となり、幸運をもたらしてくれると信じる船乗りたちにかわいがられた。
出航前に猫が喧嘩をすると、破滅が待っているとか、興奮して尾をピクピク動かすと、気圧が低くなって天気が荒れると信じる者もいた。
船員たちは、外国の寄港地から、猫を家に連れ帰ったりもした。米海軍と猫の歴史 第一次世界大戦中、米海軍は船内へのアルコールの持ち込みを禁止していたが、安全と士気を高めるために猫を乗せるのは許されていた。
1888年から第二次大戦まで、米艦艇でのマスコット猫(または犬)を写した写真はたくさんあり、戦闘開始前に、海軍の戦闘機パイロットと戯れている写真なども残っている。
自由気ままな猫の気質を考えると、ちょっと信じられない気もするが、1905年のUSSシカゴのマスコット猫「バウンス」は、星条旗が掲揚されると必ず、後ろ足で立ち上がって気をつけの姿勢をとり、前足で敬礼するよう訓練されていたという。
現在の海軍の方針では、船に猫を乗せることが正式に禁止されているわけではないが、1950年代に制定された検疫法や、政治的批判による厳格な政策により、動物を船に乗せる許可はほとんと下りていない。"Bounce" the cat was mascot of USS Chicago in 1905. He briefly became a national celebrity after newspapers reported that he had been trained to stand at attention on his hind legs and salute with his tiny paw whenever "The Star-Spangled Banner" was performed.#NationalMascotDay pic.twitter.com/1A9F2d5mND
— U.S. Naval Institute (@NavalInstitute) June 17, 2023
1950年代の予算カットに反対した海軍の首脳部は、猫の葬式に財源をムダにしたと議会から指摘されて困惑したというエピソードもある。。
まれなケースだが、空母が母港を変更し、船員の車や扶養家族、ペットを新天地に輸送ことはある。ハーマンは皆に愛されるマスコットだった 猫のハーマンにとって、身分証明書をゲットするのは簡単なことではなかった。外国生まれの者も含めた多くの国防職員と同じように、彼もまた、自分の出生証明書をめぐる問題に直面した。
それでも、ボルチモア港の中佐C.H.アベルは、当時の規則には、猫に関することはなにも書かれていないとして、不問にした。
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ハーマンの役目は、ネズミを追いまわすだけでなく、乗組員を楽しませる任務もあった。猫にしては珍しく、誰にでも撫でさせることを許したという。
「まさにそうでした」1943年に第4埠頭を担当していた甲板長A.M. タルボットは証言した。「ハーマンは、親善大使であり、外交官だったのです」
References:The Story of Herman the Cat, Who Became an Official Member of the US Coast Guard in 1943 and Had His Own ID Card ~ Vintage Everyday / written by konohazuku / edited by / parumo
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