
プレゼンテーションや教育の場で使用される、レーザーポインターだが、使い方次第でとんでもない凶器となる。
アメリカでは安価で強力なレーザーポインターをネットで簡単に入手できる。
それはパイロットの視力を奪い、重大な事故につながりかねない、危険かつ法律によって禁じられた行為だ。
もともと増加傾向にはあったが、ロックダウンが終わった2021年より急激に増え始め、さらに今年は前年同時期と比べて、すでに40%も増加しているという。
アメリカで航空機を狙ったレーザー照射事件が急増 「ドーンって感じさ。コックピット全体が緑色に染まった」
インディアナ州のローカルメディアWTHR誌は、FedExでパイロットをしていたカール・トンプソン氏が語るその恐怖体験を伝えている。
それは2016年にインディアナポリス国際空港に着陸するときのことだった。突然、視界が奪われ、何も見えなくなったのだという。
そのときは、彼のほかに副操縦士がいたので、どうにか無事に着陸することができた。だがもしも自分一人だったら、一巻の終わりだったかもしれないとトンプソン氏は当時のことを振り返る。
[画像を見る]
この出来事は、連邦航空局が2004年に同様の事件を調べ始めて以来、8万7000件以上も報告されてきた飛行機へのレーザー照射事件のひとつだ。
レーザー照射事件のほとんどは、地上の誰かが飛行中の航空機にレーザーポインターを照射したことが原因だ。
7月までに、商業および貨物パイロットはインディアナ州上空ですでに314件のレーザー照射を経験しており、これは昨年同期から40%増加している。
アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空、デルタ航空、アレジアント航空、フェデックス航空、UPS航空は、2023年にインディアナ州、インディアナポリスを発着する航空会社や貨物会社からレーザー照射の報告を受けた。
アメリカでは今、こうした事件が急増している。米連邦航空局の最新のデータよると、今年はすでに7月に時点で前年の同時期の40%も多く、年末までには1万3000件に達する見込みだ。
[画像を見る]
パイロットの視界を奪う強力なレーザーポインター 飛行機にレーザーポインターを照射するとどうなるか?
照らしている方からすれば小さな点にしか見えないかもしれないが、だが実際は、パイロットに届く頃には大きな光の塊となり、彼らの視界を突然奪うのだ。
今のところ、航空機が墜落するといった事故は起きていないが、それも時間の問題かもしれないと専門家は懸念する。
そうしたレーザーは想像以上に強力なものだ。
クラス3Bに分類される出力500mW以下のレーザーポインターは数千円で買えるが、30km以上離れたところからでもパイロットの注意をそらすことができる。
[動画を見る]
Pilot is nearly blinded by lasers whilst flying a plane
こうしたレーザーを照射されたパイロットは、目に怪我を負うことがある。
WTHR誌の調査によれば、2015年から現在までにレーザーによってパイロットが目を負傷したケースが285件も報告されているという。
先ほどのトンプソン氏などは左目の網膜が裂けてしまい、2度の手術が必要なほどの重傷を負った。
だがトンプソン氏が浴びたものは、アメリカ国内に流通するレーザーではなく、海外のもっと強力なタイプだった疑いがある。
50mWを超えるレーザーは、網膜の中心にある黄斑という部分にひどい損傷を引き起こす可能性が高く、取り扱いには注意が必要になる。
そもそも米国では、クラス3B(5~500mW)に分類されるレーザーは、販売自体は合法でも、ポインターとして売ることは禁止されている。
[画像を見る]
航空機にレーザーを照射するのは犯罪行為 一体誰がレーザーを飛行機に向けているのか、詳しいことはわからない。何も知らない子供が、無邪気に遊んでいる可能性もある。
だが意図的にやっている可能性も否定はできない。
たとえば飛行機の騒音にうんざりしている人物が嫌がらせとしてやっていたり、あるいは単に反社会性人格の人物が悪意を持ってやっていることもあるかもしれない。
トンプソン氏の同僚は、以前飛行機のコックピットに向けてレーザーを照射しようとしているらしきドローンを目撃したことがあるという。
アメリカ国内では航空機にレーザーを照射することは犯罪であり、5年以下の懲役か1万1000ドル(約160万円)以下の罰金が科せられる。
それは日本でも同様で、刑法の威力業務妨害罪に該当すると判断されれば3年以下の懲役か50万円以下の罰金、航空危険行為処罰法の航空危険罪に該当するなら3年以上の懲役となる。
知らなかったでは済まされない危険な行為だ。警察は、飛行機にレーザーを照射しようとしている人物を見かけたら、通報するよう呼びかけている。
[動画を見る]
Pilots reporting record number of laser strikes on airplanes in Indiana and nationwide
追記:(2023/09/12)本文を一部訂正して再送します。
References:Laser strikes on airplanes put pilots, passengers at risk | wthr.com / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
アメリカでは安価で強力なレーザーポインターをネットで簡単に入手できる。
これを使って飛行機にレーザーを照射するという事件が急増しているのだ。
それはパイロットの視力を奪い、重大な事故につながりかねない、危険かつ法律によって禁じられた行為だ。
もともと増加傾向にはあったが、ロックダウンが終わった2021年より急激に増え始め、さらに今年は前年同時期と比べて、すでに40%も増加しているという。
アメリカで航空機を狙ったレーザー照射事件が急増 「ドーンって感じさ。コックピット全体が緑色に染まった」
インディアナ州のローカルメディアWTHR誌は、FedExでパイロットをしていたカール・トンプソン氏が語るその恐怖体験を伝えている。
それは2016年にインディアナポリス国際空港に着陸するときのことだった。突然、視界が奪われ、何も見えなくなったのだという。
そのときは、彼のほかに副操縦士がいたので、どうにか無事に着陸することができた。だがもしも自分一人だったら、一巻の終わりだったかもしれないとトンプソン氏は当時のことを振り返る。
[画像を見る]
この出来事は、連邦航空局が2004年に同様の事件を調べ始めて以来、8万7000件以上も報告されてきた飛行機へのレーザー照射事件のひとつだ。
レーザー照射事件のほとんどは、地上の誰かが飛行中の航空機にレーザーポインターを照射したことが原因だ。
7月までに、商業および貨物パイロットはインディアナ州上空ですでに314件のレーザー照射を経験しており、これは昨年同期から40%増加している。
アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空、デルタ航空、アレジアント航空、フェデックス航空、UPS航空は、2023年にインディアナ州、インディアナポリスを発着する航空会社や貨物会社からレーザー照射の報告を受けた。
アメリカでは今、こうした事件が急増している。米連邦航空局の最新のデータよると、今年はすでに7月に時点で前年の同時期の40%も多く、年末までには1万3000件に達する見込みだ。
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パイロットの視界を奪う強力なレーザーポインター 飛行機にレーザーポインターを照射するとどうなるか?
照らしている方からすれば小さな点にしか見えないかもしれないが、だが実際は、パイロットに届く頃には大きな光の塊となり、彼らの視界を突然奪うのだ。
今のところ、航空機が墜落するといった事故は起きていないが、それも時間の問題かもしれないと専門家は懸念する。
そうしたレーザーは想像以上に強力なものだ。
クラス3Bに分類される出力500mW以下のレーザーポインターは数千円で買えるが、30km以上離れたところからでもパイロットの注意をそらすことができる。
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Pilot is nearly blinded by lasers whilst flying a plane
こうしたレーザーを照射されたパイロットは、目に怪我を負うことがある。
WTHR誌の調査によれば、2015年から現在までにレーザーによってパイロットが目を負傷したケースが285件も報告されているという。
先ほどのトンプソン氏などは左目の網膜が裂けてしまい、2度の手術が必要なほどの重傷を負った。
だがトンプソン氏が浴びたものは、アメリカ国内に流通するレーザーではなく、海外のもっと強力なタイプだった疑いがある。
50mWを超えるレーザーは、網膜の中心にある黄斑という部分にひどい損傷を引き起こす可能性が高く、取り扱いには注意が必要になる。
そもそも米国では、クラス3B(5~500mW)に分類されるレーザーは、販売自体は合法でも、ポインターとして売ることは禁止されている。
[画像を見る]
航空機にレーザーを照射するのは犯罪行為 一体誰がレーザーを飛行機に向けているのか、詳しいことはわからない。何も知らない子供が、無邪気に遊んでいる可能性もある。
だが意図的にやっている可能性も否定はできない。
たとえば飛行機の騒音にうんざりしている人物が嫌がらせとしてやっていたり、あるいは単に反社会性人格の人物が悪意を持ってやっていることもあるかもしれない。
トンプソン氏の同僚は、以前飛行機のコックピットに向けてレーザーを照射しようとしているらしきドローンを目撃したことがあるという。
アメリカ国内では航空機にレーザーを照射することは犯罪であり、5年以下の懲役か1万1000ドル(約160万円)以下の罰金が科せられる。
それは日本でも同様で、刑法の威力業務妨害罪に該当すると判断されれば3年以下の懲役か50万円以下の罰金、航空危険行為処罰法の航空危険罪に該当するなら3年以上の懲役となる。
知らなかったでは済まされない危険な行為だ。警察は、飛行機にレーザーを照射しようとしている人物を見かけたら、通報するよう呼びかけている。
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Pilots reporting record number of laser strikes on airplanes in Indiana and nationwide
追記:(2023/09/12)本文を一部訂正して再送します。
References:Laser strikes on airplanes put pilots, passengers at risk | wthr.com / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
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