映画にも登場した樹齢200年の名木「ロビン・フッドの木」が16歳少年によって切り倒される
 自然を守り愛する人々にとって、これほど心を痛めることはないかもしれない。イギリスで、200年近く立っていたセイヨウカジカエデの木が、16歳少年に意図的に切り倒されるという悲しい事件が起こった。

 この木は、ユネスコの世界遺産となっているローマ帝国時代の城壁跡「ハドリアヌスの長城」の隣にあり風光明媚なシカモア・ギャップに立っており、1991年に映画『ロビン フッド: 泥棒の王子』に登場して有名になった。

 地元の州警察は少年を逮捕し、現在取り調べを進めているという。

 この木は、美しい風景の象徴として多くの人に愛されてきただけに、SNSでは破壊行為をした者に対して非難と怒りの声が寄せられている。

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Teenager arrested over Sycamore Gap tree felling at Hadrian’s Wall in Northumberlandイギリスで最も有名な木の1つが意図的に伐採される 9月28日、イギリスで最も有名な木の1つが、何者かによって意図的に伐採されるという出来事が起こった。

 このセイヨウカジカエデの木は、現地では「シカモア・ギャップ(セイヨウカジカエデ)の木」と呼ばれ、およそ200年間、ローマ帝国の北西辺境を守っていたノーサンバーランド州のハドリアヌスの長城の隣に立っていた。

 ハドリアヌスの長城は、1987年にユネスコの世界遺産に登録されている。

 何十年にもわたって観光客や地元の人々に賞賛され、愛されてきた木は、1991年にケビン・コスナー主演の映画『ロビン フッド: 泥棒の王子』に登場してからは、世界的に有名になり、「ロビン・フッドの木」というニックネームが付けられた。

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無残に根元から切り倒される 毎年、この地域をハイキングする何千人もの観光客や地元の人々にとって、木はランドマークとして必要不可欠な存在だった。

 その木が、意図的に破壊されてしまったのだ。

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 28日早朝、現場から撮影された写真には、木が幹の根元近くで伐採され、残りの部分が横倒しになっている様子が写し出されている。

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 衝撃的かつ無謀な破壊行為への対応に、ノーサンブリア州警察はイングランドとスコットランドの国境付近を封鎖。その後、この事件に関連したとされる16歳の少年を逮捕した。

 同警察は、SNSでこのような声明を発表した。
この事件は“意図的な破壊行為”であると考えており、刑事的損害を与えた疑いで、容疑者とみられる少年を1人逮捕した。

現在、捜査が進行中で、一般の人々に情報を求めている。何か不審なものを見聞きした場合は、私たちに知らせてもらいたい。
 また、ケビン・ウェアリング警視は、木が破壊された28日に次のように語った。
今日は、信じられないほど悲しい日だ。

この木はイングランド北東部の象徴であり、この地域に住む、あるいは訪れたことのある多くの人々に愛された木だった。

我々の調査は、まだ非常に初期段階にあるため、偏見を持たずに取り組んでいるが、この木は世界的に有名なランドマークであり、破壊行為は地元社会だけでなく、地域社会全体に当然の衝撃と怒りを引き起こした。


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Iconic Sycamore Gap tree ‘deliberately felled’国立公園管理局も悲しみをあらわに ノーサンバーランド国立公園管理局のウェブサイトによると、ロビン・フッドの木は、ノーサンバーランド国立公園とナショナル・トラストの両方によって管理されているという。

 破壊行為のあった朝、当局はこのような声明を発表した。
悲しいことに、シカモア・ギャップの有名な木が一夜にして切り倒されました。意図的に伐採されたということですが、間違いないでしょう。

警察と協力している調査の間は、どうか現場への訪問は控えるよう、お願いします。


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 同管理局のトニー・ゲイツ最高経営責任者(CEO)は、SNSで共有したビデオの中で、この伐採は「信じられないほどの損失」だと述べている。
この先、私たちは今回の悲劇から前進し、シカモア・ギャップを過去の思い出として特別な場所にする方法を、私たち全員が一緒に見つけられることを願っています。(ゲイツ氏)
人々からは犯人に怒りの声が相次ぐ 映画によって有名になったからという理由だけではなく、この木は何十年も地元およびすべての観光客に大切に愛されてきた。

 2016年には、ウッドランド・トラストの賞でイギリスの年間最優秀木に選ばれたそうだ。

 これから何十年も、もしかしたら何百年も生きたかもしれないかけがえのない地域のランドマークを、無造作に伐採した者に対して、国民はSNSで怒りの声をあげている。

 タイン北部のジェイミー・ドリスコル市長は、SNSで犯人を強く非難した。
#SycamoreGapの木の破壊行為にどれほど怒りを感じているか、言葉では言い表せません。

人々はそこで遺灰を散骨しました。人々はそこでプロポーズしました。私は妻と子供たちとそこでピクニックをしました。

木は、私たちの集合的な魂の一部です。私たちは、破壊行為を行った者を裁かなければなりません。
 また、28日にハドリアヌスの長城の道を歩いていたアリソン・ホーキンスさんは、無残な姿に変わり果てた木を目撃した1人だった。
とてもショックを受けました。自然災害で、こうなったのならまだしも、意図的に誰かが切り倒したなんて、許せません。
 写真家のイアン・スプロートさんは、被害状況を見て「心が引き裂かれた」と話している。

 逮捕された少年は、依然として警察に拘留されていて、警察官の取り調べに協力しているということだが、悪意ある破壊行為の動機については、現時点では明らかにされていない。

References:Police arrest teen after 'deliberate' felling of famous Robin Hood tree/ written by Scarlet / edited by parumo

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