1900年代半ばに姿を消したトコジラミが、フランスでは2000年代後半から再び数が増加。最近では自宅以外にも電車や映画館、病院などで目撃したという情報が、SNSで共有されているようだ。
驚異の繁殖力をほこるトコジラミに刺されると赤っぽい発疹ができ、人によっては眠れないほどの激しいかゆみで血がにじむほど搔きむしってしまうほどだ。
至るところにトコジラミが出現しているという情報に、人々はストレスと恐怖を感じて被害妄想を引き起こす事態になっているという。
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Bed Bugs Crawl Across Paris, Stoke Fears Ahead Of The Olympics | IN18V | CNBC TV18トコジラミの目撃情報がSNSで共有され人々はパニックに フランスではパリやその他の都市でトコジラミが急増し、人々をパニックに陥れ、来年のオリンピック期間中の健康と安全に対する懸念を引き起こしている。
この小さな害虫は、夏の間に市内各地のホテルや貸別荘で最初に報告され、その後映画館での目撃情報が寄せられた。
映画館の報告は実際には証明されなかったが、SNSで目撃情報が共有されると人々は真剣に受け止めて、ストレスと恐怖を感じるようになった。
最近では、シャルル・ド・ゴール空港、国営高速鉄道とパリ地下鉄の座席の上をトコジラミが這い回っているというSNS動画が拡散し、電車内で人が噛まれたという主張も広まった。Dans les bus @RATPgroup aussi il y a des punaises pic.twitter.com/DbnmgMwEQY
— Ssiguss (@Ssiguss) September 27, 2023
9月29日、あるTikTokユーザーが電車の中で立っている様子を映した動画を投稿した。Meme dans le TGV y’a des punaises puree @OUIGO pensez a desinfecter vos trains, merci pic.twitter.com/PG72erKWLV
— NaNa Afi (@_LaTogolaise) September 22, 2023
画面上には「パリはトコジラミの蔓延により中世の時代にある」というキャプションをつけ、空いている座席があっても立つ様子を示している。
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パリでは10人に1人が過去5年間にトコジラミの被害を経験 2000年代後半からフランスで再び被害が拡大しているトコジラミの成虫は1日3~6個産卵し、生涯産卵数は200~500個に及ぶといわれている。
大きさは体長は約4.5~5mmから最大で8mmと、小さいが肉眼でも確認でき、簡単に繁殖する。
マットレスやカーテンなどの室内装飾品だけでなく、床板の間、コンセント、さらには壁紙の裏にも好んで潜み、夜になると出てきて人間の血を吸う。
ずっと血を吸えなくても2~3ヵ月は生存が可能だ。25℃くらいの暖かい場所を好むが、0℃で6ヵ月、10℃で2年近く生存したという報告もある。
主な発生時期は6~9月だが、暖房が発達している室内なら冬でも繁殖が可能だ。
トコジラミは一般的に疾病対策予防センター(CDC)によって危険とはみなされておらず、病気を媒介することもないが、刺されると赤い発疹ができ、かゆみや炎症を引き起こしたり、ときには発熱を伴うなどの症状が出ることもあるという。
しかもそれらが家の中に大量に増殖する危険性があるのだ。
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フランスの食品環境労働衛生安全庁によると、2017年から2022年までの間でパリの住人の10人に1人以上がトコジラミの被害を経験しているそうだ。
自宅でトコジラミを見つけた場合は、専門業者による駆除対策を必要とする。もちろん費用がかかる。
トコジラミがいる可能性がある衣類や寝具類はすべてゴミ袋に入れてしっかりと閉め、高温設定で洗濯する必要がある。
専門家らは、衛生状態はトコジラミの蔓延とは何の関係もないと強調している。
トコジラミの増殖が速いのは、トコジラミが餌や繁殖の場所を見つけると急速に広がってしまうからだという。
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image credit:Wikimedia Commons
観光客の増加と抵抗力の増大が蔓延の主な原因 フランス食品環境労働衛生安全庁アンセス(ANSES)が夏に発表した報告書では、同国での最近のトコジラミの蔓延の背後には、観光客の増加と殺虫剤に対する抵抗力の増大という2つの主な原因があると指摘した。
特に7~8月にかけては人々の旅行の時期で、移動によって荷物に入れて持ち帰ってしまう傾向が高く、それにより個体数が増えてしまうようだ。
トコジラミは人間が行くところには存在する生物だ。専門家によると、トコジラミの問題はフランスだけではなくどこでも同じだという。
いくつかの要因があるが、その中で最も重要なのはコンテナ貿易、観光、移民という地球規模の拡大によりトコジラミも比例して増加しているという事実だ。
今、フランスの住人たちは長年感じてきた寄生虫の恐怖に、「大量発生」という新たな不安の種を抱えてしまった。
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オリンピックへのリスクの懸念もあり早急の措置が望まれる ここ数週間、トコジラミの蔓延の治療を専門とするパリの企業はパンク状態だそうだ。
パリ市庁舎は、夏のオリンピックとパラリンピックの来場者に対する潜在的なリスクを特に懸念している。
「トコジラミは公衆衛生上の問題であり、そのように宣言されるべきである」とパリのエマニュエル・グレゴワール副市長はエリザベス・ボルヌ首相に書簡を送り、政府に対し国家レベルでこの問題に対処するための行動計画をまとめるよう求めた。
また、フランス運輸省のクレマン・ボーヌ大臣代表は「交通事業者を集めて、講じられた措置についての情報を提供し、旅行者にさらにサービスを提供するよう行動するつもり」とXに投稿した。
この蔓延は国際的に拡大していて、先日はフランス・マルセイユからの旅客船からトコジラミが検出したと、モロッコのタンジェ港当局が発表した。
目撃情報や問題のいくつかは誇張されているところもあるようだが、トコジラミ対策は早ければ早いほど良い。
人々に問題を認識させ正しい知識で解決へ向かうには、大事として取り扱うことも大切だ。
2024年のオリンピックに先立ってパリのイメージを守る必要がある以上、パリ市庁舎とエマニュエル・マクロン大統領政府の両方が、トコジラミ対策を早急に講じなければならないといえるだろう。
ちなみにトコジラミの被害はフランスだけではない。NHKが今年の5月に伝えたところによると、日本でも2022年より東京都内の被害件数が増え始めているという。
References:Bedbug panic sweeps Paris as infestations soar before 2024 Olympics/ written by Scarlet / edited by parumo
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