
夫妻はそれを古物商にそこまで価値がないものと説明され2万4千円で売ったが、後にそれが希少なもので、6億円で売却されていたことが判明した。
老夫婦は当時ディーラーがそのマスクの価値を隠していたと主張し、現在古物商に対して訴訟を提起している。
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Montpellier : Enchere record pour un masque africain Fang du Gabon adjuge 4,2 millions d'euros億単位の価値あるアフリカのマスクを安値で買い叩かれる フランスのニームに住む81歳と88歳の老夫婦(匿名)は、2021年に所有地を整理していた際にアフリカの木彫りのマスクを発見し、同年9月に地元のディーラーに売ることにした。
ディーラーはそれを150ユーロ(約24000円)で夫婦から買い取った。
ところが去年3月、そのマスクがモンペリエのオークションで420万ユーロ(約6億6000万円)という高額で落札されたのだ。
民族学者の専門家によると、19世紀ごろのものとされるそのマスクは、ガボン共和国に居住するファング族の一部の男性秘密結社「ンギル(Ngil)」が、冠婚葬祭などの伝統儀式に使用していたものだという。
ファング族のマスクは非常に様式化されていて、オークションに出品されたものはカオリンでコーティングされた木彫りで下半分に長いひげのような装飾が施されている。
西洋の博物館やコレクションに収蔵されている希少なもので、世界的に見ても十数点しか存在しないそうだ。
そのマスクはアフリカの植民地総督だった夫の祖父が、フランスに持ち込んだものだったようだ。[画像を見る] マスクの価値を隠されていたとディーラーを詐欺で訴える 老夫婦から安く買い取った古物商は、マスクを店に展示する代わりにフランスの3つのオークションハウスと連絡を取り、その価値を見積もった。
そのうちの最後の1社はアフリカの工芸品の専門家で、専門的に分析されたマスクはオークションでの落札見積もり額を、30万ユーロ(約4700万円)から40万ユーロ(約6300万円)の間に査定した。
しかし昨年3月、その3倍以上の値段で落札された。
ちなみにオークション開催時、アフリカ祖先を持つ人々が希少なマスクを競売にかけるのを反対し「それは私たちの国から盗まれたものだ。
老夫婦は新聞で売却の記事を読むまでマスクの本当の価値を知らず、古物商が故意に価値を隠して安く買いたたいたと主張している。
老夫妻は現在、古物商に騙されたとして訴訟を起こしている。オークションでの売却代金は凍結され訴訟を継続中 今年6月28日、ニームの控訴裁判所は夫妻の訴えが「十分な根拠があると思われる」との判決を下している。
裁判文書によると、古物商は法的措置に直面した夫妻に最初30万ユーロ(約4800万円)の賠償金を提示したが、夫妻の子供たちが反対したためその提示は拒否されたという。
彼らの弁護士は「マスクを買い取ったのは古物商であって古美術商ではなく、査定のプロとは言えない。彼にはアフリカ美術の知識はない」と主張している。
同裁判所は裁判が終わるまで売却代金を凍結するよう命じていて、現在ニームの高等裁判所で再審理が行われているということだ。
References:Elderly French couple sue art dealer who bought African face mask from them for £129 and sold it for £3.6m/ written by Scarlet / edited by parumo
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