インドネシアの遺跡が世界最古のピラミッドである可能性
グヌン・パダン / image credit:RaiyaniM/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0
 インドネシアの丘の中腹に、ひっそりと隠れていた巨大なピラミッドのような構造物は、ストーンヘンジやギザのピラミッドよりも遥かに古く、人間によって建造された最古の巨大構造物かもしれないという。

 グヌン・パダンというこの遺跡は、西ジャワ島の丘陵地に並ぶ、古代の石造建築物群だ。


 地元の人々にとっては、ここは神聖な場所であり、彼らはこうした建造物を頂上に続くテラスとしての階段ピラミッドを意味する「プンデン・ベルンダック」と呼んでいる。

グヌン・パダンのピラミッド構造の遺跡 インドネシア西ジャワ州チアンジュール県カリャムクティ、チャンパカ地区にある巨石記念物遺跡「グヌン・パダン」は、私たちが知っているような農耕や文明が始まる前に、死火山の頂上に建てられた、世界最古の可能性のあるピラミッド型建造物だ。

 すでに多くの研究者たちは、「グヌン・パダン」のこれを人間の創意工夫の驚くべき証だと考えている。

 この遺跡に人造の建造物やピラミッドが本当にあるのかどうか、あるいはこうした岩の並びの多くが自然の力がなしえた結果なのか、について議論があることは確かだ。

 しかし、現地の言葉で「悟りの山」を意味するグヌン・パダンを広範に分析したところ、古代文明が大昔の溶岩でできた自然の丘を細心の注意を払って彫り進め、ピラミッド建造物の中心を形成したことがうかがえる。

 インドネシアの科学者からの新しいデータによると、内部には、未知のものでいっぱいの大きな部屋が隠されている可能性もあるという。

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グヌン・パダン遺跡 / image credit:Mohammad Fadli / WIKI commons世界最古の巨石構造 この遺跡の最初の放射性炭素年代測定の結果は、最終氷河期のある時期、今から1万6000年以上前、おそらくは2万7000年前までさかのぼる頃に、最初の建設が始まった可能性があることを示している。

 トルコにある巨石群ギョベクリ・テペが、現在知られている世界最古の巨石建造物であると考えられているが、これは1万1000年前のものだ。

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グヌン・パダンの表層に見られる巨大な岩 / image credit:Natawidjaja et al., Archaeological Prospection , 2023

 グヌン・バダンに関する現在の研究結果は、長年にわたる慎重な分析を経て得られたものだ。

 2011年から2015年の間、インドネシアの国立研究開発庁の地質学者、ダニー・ヒルマン・ナタウィジャジャ氏率いる、考古学者、地質学者、地球物理学者の研究チームは、コア掘削、地中探知レーダー、地下画像処理などのさまざまな技術を使って、この文化遺産の探索を行った。

 ナタウィジャジャ氏らは、グヌン・パダンは複雑で高度な段階を踏まえて建設され、最深部は地下30メートルになると言っている。

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4つのユニットとさまざまな埋葬面を備えたグアン・パダン内部の簡単な復元想像図 / image credit::Natawidjaja et al., Archaeological Prospection , 2023複雑な構造と再建の歴史 研究者たちは、この構造物の中核部分は、紀元前2万5000年から1万4000年の間に建てられ、その後、数千年間放置されていたのではないかと考えている。


 再び建設が始まったのは、紀元前7900年から6100年頃で、さまざまな岩や砂利まじりの土壌でピラミッドの中心部を拡張し、その後は紀元前6000年から5500年の間にさらに建設作業が行われたという。

 興味深いのは、この時点で建設者たちが、意図的に古い部分を埋めたか、その上に建てたように見えることだ。

 このピラミッドの最後の建築者は、紀元前2000年から1100年頃にやってきて、今日見えている「プンデン・ベルンダック」の光景である、石のテラスや表土も追加したのだろう。

 このピラミッドのユニット3とユニット2を建設した者は、これまで考えられていた狩猟採集文化とは相容れない、驚くべき石工技術を持っていたに違いない、と論文は書いている。ただし全て人間が建造したかどうかは不明 グヌン・パダンに長いこと人が居続けていたことを考えると、ここが重要な役割をもっていたがゆえに、古代の人々が惹きつけられ、繰り返し住みつき、改造したりしたと推測するのが理にかなっていると思われる。

 先史時代にここに住んでいた人たちは誰なのか、どうしてこのようなものを造ったのかを理解するためには、さらに発掘を進めなくてはならない。

 地震波を使って、丘の中腹を探ってみたところ、長さ15メートル、天井までの高さ10メートルの隠れた空洞もしくは部屋があることがわかった。

 ただし注意しなければならないのは、これらすべてが人間の手によって造られたものなのかどうかは、まだ不明な点だ。

 研究チームは、この場所をさらに深く掘り下げていきたいと思っている。なんらかの部屋にぶちあたったら、カメラを挿入して、なにがあるかを調べるつもりだ。

 この研究は、考古学、地質学、地球物理学の手法を統合した包括的なアプローチが、隠された古代の巨大構造物をいかに見つけ出すことができるかを例証するものだ。

 議論の余地はまだあるものの、間違いなくこれからもグナン・パダンのことを耳にすることになるだろう。


 この研究は『Archaeological Prospection』誌(2023年10月20日付)に発表された。

References:Archaeological Prospection | Archaeological Journal | Wiley Online Library / Giant Pyramid Buried in Indonesia Could Be The Oldest in The World, Researchers Say : ScienceAlert / written by konohazuku / edited by / parumo

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