
クモは苦手でも、小さくてモフモフしたハエトリグモは別腹だという人もいるだろう。そんなハエトリグモの最新の研究結果を知ったら、さらにいとおしく感じるかもしれない。
社会的生物ではないはずのハエトリグモだが、一度出会った仲間を認識し、ずっと覚えていられる可能性があるそうだ。
この意外な発見があったのは、キョロっと大きな目が愛らしい「リーガルジャンパー(Phidippusregius)」というハエトリグモだ。
スイスと台湾の研究チームによると、彼らはお互いに初対面である時とそうでない時で、行動の仕草が違うのだという。それは以前出会った相手を忘れていないだろうことを意味しているのだそうだ。
社会的な生き物以外でも個体認識できるのか? 個体を認識するには、顔を記憶するという高度な作業が必要になる。そのため、それができるのは、脳の大きな社会的動物だけだと考えられている。
社会の中で暮らす生き物にとって、自分以外の個体を覚えておくのは大切なことだ。
一方、ほとんど1人で暮らす生き物ならば、誰が同族で、誰が潜在的な伴侶かといった基本的なことを認識できれば事足りる。
今回の研究では、「このような社会的知識は、ある程度の社会性を持つ種に限定されるのはほぼ間違いない」と述べらている。
ところがそこに例外がいたのだ。それが北アメリカに生息するハエトリグモの仲間「リーガルジャンパー(学名Phidippus regius)」だ。メスの体長が7~22ミリほどの小さなこのクモは、基本的に単独で生きると考えられている。
[画像を見る]
ハエトリグモの一種、リーガルジャンパーのメスの個体 / image credit:iStock初対面の相手には近づき、顔見知りには適度な距離 非社会的であるはずのハエトリグモの一種、リーガルジャンパーが、出会った相手を覚えていられることを明らかにした、ヌーシャテル大学(スイス)と台北医学大学(台湾)の研究チームは、次のような実験を行った。
まず2匹のクモをお互いに慣れさせてから離れ離れにし、しばらく後に再会させる。この時のクモの行動を完全に初対面のときの行動と比べてみるのだ。
するとリーガルジャンパーはまったく見知らぬ仲間に出会った時、相手がよく見えるようお互い近寄って、興味を示すことがわかった。
ところが、以前出会ったことがあるクモの場合、このような興味を示さなかった。”見慣れた顔“には特に近寄ることなく、お互いにとって快適な距離を保ったのだ。
彼らにまた別の見知らぬクモを出会わせると、再び興味を示し、お互いに近づく行動をとった。
[画像を見る]
「こうした結果は、リーガルジャンパーが長期的な社会的記憶に基づいて個体を認識できることを示唆している」と論文では説明されている。
過去にはハエトリグモの仲間が夢を見ているらしき行動も観察されている。ハエトリグモの赤ちゃんで「レム睡眠」特有の行動が確認されているのだ。
キョロっと可愛らしいその目の奥で、今日出会った仲間の夢でも見ているのだろうか?
この研究の査読前論文は『bioRxiv』(2023年11月17日投稿)で閲覧できる。
References:Adorable Jumping Spiders May Be Able To Recognize And Remember Each Other | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
社会的生物ではないはずのハエトリグモだが、一度出会った仲間を認識し、ずっと覚えていられる可能性があるそうだ。
この意外な発見があったのは、キョロっと大きな目が愛らしい「リーガルジャンパー(Phidippusregius)」というハエトリグモだ。
スイスと台湾の研究チームによると、彼らはお互いに初対面である時とそうでない時で、行動の仕草が違うのだという。それは以前出会った相手を忘れていないだろうことを意味しているのだそうだ。
社会的な生き物以外でも個体認識できるのか? 個体を認識するには、顔を記憶するという高度な作業が必要になる。そのため、それができるのは、脳の大きな社会的動物だけだと考えられている。
社会の中で暮らす生き物にとって、自分以外の個体を覚えておくのは大切なことだ。
一方、ほとんど1人で暮らす生き物ならば、誰が同族で、誰が潜在的な伴侶かといった基本的なことを認識できれば事足りる。
今回の研究では、「このような社会的知識は、ある程度の社会性を持つ種に限定されるのはほぼ間違いない」と述べらている。
ところがそこに例外がいたのだ。それが北アメリカに生息するハエトリグモの仲間「リーガルジャンパー(学名Phidippus regius)」だ。メスの体長が7~22ミリほどの小さなこのクモは、基本的に単独で生きると考えられている。
[画像を見る]
ハエトリグモの一種、リーガルジャンパーのメスの個体 / image credit:iStock初対面の相手には近づき、顔見知りには適度な距離 非社会的であるはずのハエトリグモの一種、リーガルジャンパーが、出会った相手を覚えていられることを明らかにした、ヌーシャテル大学(スイス)と台北医学大学(台湾)の研究チームは、次のような実験を行った。
まず2匹のクモをお互いに慣れさせてから離れ離れにし、しばらく後に再会させる。この時のクモの行動を完全に初対面のときの行動と比べてみるのだ。
するとリーガルジャンパーはまったく見知らぬ仲間に出会った時、相手がよく見えるようお互い近寄って、興味を示すことがわかった。
ところが、以前出会ったことがあるクモの場合、このような興味を示さなかった。”見慣れた顔“には特に近寄ることなく、お互いにとって快適な距離を保ったのだ。
彼らにまた別の見知らぬクモを出会わせると、再び興味を示し、お互いに近づく行動をとった。
[画像を見る]
「こうした結果は、リーガルジャンパーが長期的な社会的記憶に基づいて個体を認識できることを示唆している」と論文では説明されている。
過去にはハエトリグモの仲間が夢を見ているらしき行動も観察されている。ハエトリグモの赤ちゃんで「レム睡眠」特有の行動が確認されているのだ。
キョロっと可愛らしいその目の奥で、今日出会った仲間の夢でも見ているのだろうか?
この研究の査読前論文は『bioRxiv』(2023年11月17日投稿)で閲覧できる。
References:Adorable Jumping Spiders May Be Able To Recognize And Remember Each Other | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
』
編集部おすすめ