多様な生物が生息するインドネシアのスラウェシ島では、とてもユニークなカエルの新種が発見されたそうだ。
ぷよぷよと柔らかい体をしたカエルの多くは、かろうじて上アゴにしか歯が生えていない。
ユニークなのはそれだけではない。「Limnonectes phyllofolia」と名付けられたその新種は、牙のあるカエルとしては世界最小のボディを持っている。
おまけにオスが卵を守るというカエルとしてはきわめて稀な習性まである、とんでもなく個性的なカエルなのだ。
世界最小の牙のあるカエルの新種を発見 牙のあるカエルの新種は、インドネシアのスラウェシ島3カ所で発見された。
牙をもつカエルなら、東南アジアに生息する「クールガエル属(Limnonectes)」の仲間70種ほどが知られている。
一般にこの属の仲間は大きなカエルが多く、種によっては900gにも成長する。だが今回の新種は体長3cmの小さな体で、同グループのカエルの中ではもっとも小さい。
米国フィールド自然史博物館のジェフ・フレデリック氏らがカエルを発見するきっかけとなったのは、その卵だ。
このカエルは、葉っぱや苔むした岩に卵を産む。これにちなんで、ギリシャ語で「葉っぱと巣」(phyllofolia)という意味の、「Limnonectes phyllofolia」という学名が与えられた。
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葉っぱの上に産まれた卵。
L. phyllofoliaの巣をなん度も観察していると、葉の上にちょこんと座って小さな巣を抱いているカエルに出会ったのだ。
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卵を守っているLimnonectes phyllofoliaのオス / image credit:Federick et al., PLOS One, 2023
そうしたカエルたちは、小川や急斜面、あるいは水滴が垂れているような場所の1~2メートル上に産み付けられた卵を守っていた。驚いたことに、そうしたカエルはどれもオスだった。
フレデリック氏の説明によれば、「卵を守るオスは、まったく知られていないわけではありませんが、カエルでは珍しいこと」なのだそう。
L. phyllofoliaが新種とされた根拠は、オスが卵を守る行動やキバのあるカエルとしては世界最小のボディサイズといった、いくつかの重要な特徴だ。
そのほかにも、「アドバタイズメントコール」(オスがメスを惹きつけるために出す大きな鳴き声)もこのカエルに特有のもの。
L. phyllofoliagに一番近い種「L. arathooni」は甲高い鳴き声が特徴だが、新種の鳴き声は連続した速いケロケロ声だ。またL. phyllofoliaは、同属のほかの仲間に比べて水かきが小さい。
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オスが卵を守っているのは珍しい / image credit:Federick et al., PLOS One, 2023知られざる新種は他にもいる可能性、生息地の保全が重要 この新種の発見は、スラウェシ島にはまだ知られていないカエルがもっとたくさん隠れているだろうことを示唆している。
そうした未知の種をすべて探し出し、彼らの生息地を守るためにも、今後さらなるフィールドワークが大切となる。
フレデリック氏は次のように説明する。
私たちの発見は、この特別な熱帯の生息地を守ることの重要性を強調しています。スラウェシのような場所に生息する動物のほとんどはそこならではのものです。この研究は『PLOS ONE』(2023年12月20日付)に掲載された。
彼らの生息地の破壊は、そこで見られる種の素晴らしい多様性を維持するうえで、これまでになかったほど切迫した問題となっています。
今回のカエルのように、地球上でそこにしかいない動物について学ぶことは、貴重な生態系を守る一助となります
References:World’s smallest “fanged” frogs found in Indo | EurekAlert! / A new species of terrestrially-nesting fanged frog (Anura: Dicroglossidae) from Sulawesi Island, Indonesia | PLOS ONE / written by hiroching / edited by / parumo
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