アメリカで野菜に分類されているじゃがいもを穀物に分類することを検討中
 米国農務省(USDA)経済調査局によると、おもにアメリカ人が食べる野菜はジャガイモとトマトだそうだ。2019年の調査では、アメリカ人は年間平均22kgのジャガイモ、14kgのトマトを食べているという。


 これには、フライドポテトやピザソースの消費が大きく貢献しているのは驚くことではない。

 だが将来、農務省が年間の野菜消費量を集計し始めたら、トマトがトップの座に躍り出るかもしれない。

 というのは、ジャガイモが野菜ではなく、米やその他の炭水化物と同じ穀物のカテゴリーに分類されることが検討されているからだ。

アメリカでジャガイモの分類を穀物に変更することを検討 米国農務省と保健社会福祉省から成る、米国食生活指針諮問委員会は、2025年に向けたガイドラインをまとめていて、ジャガイモの分類の再考を行っている。

 このガイドラインでは、食品を乳製品、果物、穀物、タンパク質、野菜という、よく知られた5つのカテゴリーに分けているが、異なる食や食事パターンが多くなっているため、こうしたカテゴリー分けが変わるかもしれないという。

 委員会としては、ジャガイモ、パン、豆類などいずれを食べても、あらゆる人が十分な栄養を確実に摂取できるようにしたいと考えている。

 そのため、ジャガイモの分類をこれまでの野菜から穀物に変更することを検討しているというのだ。

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photo by Pixabayジャガイモ協議会も穀物チェーンも反対の立場を表明 注目したいのは、両方の業界団体、つまり全米ジャガイモ協議会(NPC)と穀物チェーンは両方とも、ジャガイモを野菜以外のカテゴリーに定義することに反対しているということだ。

 全米ジャガイモ協議会のCEO、カム・クォーレス氏は、食生活指針諮問委員会の聴聞会で証言し、基本的にジャガイモのカテゴリーは現状のままにするよう求めた。

「NPCは、個人のニーズや文化に敏感なので、委員会に対してジャガイモは穀物ではないということをわかってもらおうと働きかけています」クォーレス氏は言う。
ジャガイモはアメリカでもっとも広く生産されている野菜です。でんぷん質の野菜と穀物は、食事に栄養素を供給するという点で、明らかに大きく異なる役割を果たす食品群です。


穀物と違って、ジャガイモには、カリウム、カルシウム、ビタミンC、ビタミンB6、繊維が豊富に含まれています。

ジャガイモを含む野菜の摂取量が多い食事は、全体的に健康的な結果をもたらすことが研究からわかっています
 同氏は、アメリカ人はジャガイモ以外の野菜ももっと食べるべきであることは認めたが、ジャガイモのカテゴリーを変えることが、その解決策になるとは考えていない。

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米国農務省が発表した2019年度のアメリカ人が最も食べている野菜を示したグラフ。ジャガイモが最も多い / image credit:USDA ERS - Chart Detail
ジャガイモを野菜ではないものとして再分類するという提案は、科学的な基準に基づいていません。

こうした根拠のない考えが実行されてしまうと、消費者は混乱し、栄養のかたよりが生じて、野菜消費の減少にもつながりかねません。

私たちは、諮問委員会に対して、こうした混乱をまねくおそれのある行為は避け、ジャガイモは野菜であるという事実を、従来通り認識し続けるべきだと求めました(クォーレス氏)
 一方、穀物チェーン側も、ジャガイモを穀物カテゴリーに入れると、栄養不足がさらに悪化すると、断固として反対している(両者とも、ジャガイモは従来どおりのカテゴリーにしておくべきだという意見で一致している)。

 食生活指針諮問委員会が、2025年のガイドラインを発表するときには、勝敗ははっきりするだろう。

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 ジャガイモは、植物学的にはナス科に分類され、農産物としては「野菜」に分類されている。これは、ジャガイモは米や麦のように「種」を食べるわけではなく、地下茎の部分を食用とするためだという。

一方、食品学的には「いも及び粉類」に分類される。これは、じゃがいもは炭水化物が多く、エネルギー源にもなるためだそうだ。

 栄養学的には穀物に似た特性を持つため、地域や文化によっては主食として扱われることもある。


References:Potatoes May Be Reclassified as a Grain / written by konohazuku / edited by / parumo

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