北極圏の先住民、イヌイット伝統の手作りゴーグルが一周回って近未来感
image credit:"An inuit wearing snow goggles"Julian Idrobo.CC BY

 どことなく近未来感があって、タイムトラベラーのように感じられるのは、男性の目を覆うアイテムのせいだろう。なんならM78星雲界隈からやってきて、なんなら変身すらできそうな気配

 でも実はこれ北極圏で暮らす先住民族、イヌイットが手作りした目を保護するためのゴーグルなのだ。


 一面の銀世界といえばロマンチックだが、晴天の日にどこもかしこも真っ白なツンドラを移動するのはまぶしくって仕方がない。そこで彼らは木や動物の角や骨などを加工してこのアイテムを開発した。

 古くから利用されている伝統的な手作りゴーグルは、シンプルながら強烈な雪の照り返しから彼らの目を守ってくれるという。

古くから北極圏で暮らす人々に伝わる伝統の手作りゴーグル ひときわ目を引く粋なゴーグルをつけた男性。だが彼は最先端ファッションアイテムとして身に着けているわけではない。彼はツンドラを横断するのに必要なアイテムを装着しているだけだ。

 北極圏で暮らす先住民族として知られるイヌイットやユピクなどの人々は、雪原を移動する際にこのように素朴で効果的なゴーグルで目を保護するのだ。

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image credit:"An inuit wearing snow goggles"Julian Idrobo.CC BY材料は北極圏で入手できるものだけ これらのゴーグルは、北極圏で手に入るいろんな素材でできている。

 最もよく使われる素材は流木や動物の骨、セイウチの牙、トナカイのツノなどだが、海岸の草で作られたものも見つかっている。

 このゴーグルは着用する人の顔にしっかりフィットするように削られている。鼻に当たる部分をつないだメガネタイプもあるが、一体型のものは裏側に深い溝が彫られている。

 見ての通り耳に掛けるつるなどは無く、セイウチの皮やトナカイの腱で作った細めのバンドで固定する。


イヌイットのスノーゴーグルと木製ケース

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image credit:"Wooden snow goggles and case, Inuit, North America, 1801-190"Wellcome Collection.CC BY雪の照り返しを軽減する手作りのアイデアグッズ むしろ視界を遮って不便そうに見えるデザインだが、このゴーグルは横長の水平な切り込みが、目に入る光の量を減らすため、太陽の反射による雪のまぶしさを抑える効果がある。

 なお、こうしたゴーグルはたいてい着用者自身が手作りするため、デザインも形もサイズもバラバラだという。

image credit:"Inuit snow goggles and wooden case"Wellcome Collection.CC BY

 一面が雪氷に覆われる北極圏を生き抜く人々。彼らの大切な目を守り続けるゴーグルは、その暮らしに根差したハンドメイドの品なのだ。

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References:amusingplanet / wellcomecollectionなど /written by D/ edited by parumo

2020年01月07日の記事を編集して再掲載してお届けします。

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