
一昔前は二足歩行のホンダの「ASIMO(アシモ)」が世界に名を馳せたものだが、そのアシモも2022年に表舞台から引退となり、今やヒューマノイドロボット産業は群雄割拠の様相だ。
ボストン・ダイナミクス社の「Atlas(アトラス)」、イーロンマスク率いるテスラ社の「Optimus(オプティマス)」が有力視されている中、中国企業初となるヒューマノイド・ロボットがついにお披露目されることとなった。
「Kepler Exploration Robot(ケプラー社)」が開発する「Forerunner(フォアランナー)」は、正確な体の動きや手のコントロールが可能な大量生産型ロボットで、 その役目は「生産性を向上させ"週休3日制"を早期に実現し、人間をもっと有意義な活動に専念させる」ことだという。
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Introduce Kepler Humanoid Robot中国企業初のヒューマノイドロボット、ライバルはテスラのオプティマス ケプラー社の「フォアランナー」は、身長178cm、体重85kgと人間とほぼ同じ体型で、12自由度(つまり12の独立した動きができる)のスマートハンドを特徴とする汎用人型ロボットだ。
全身では40の独立した動きが可能で、それによってでこぼことした不整路面を移動したり、障害物を避けたり、重い荷物を運んだり、さらには人間とコミュニケーションまでとれる。
こうしたフォアランナーの性能を支えているのが、ライバルであるオプティマスに似た「遊星ローラースクリュー・アクチュエーター」と「回転アクチュエーター」を利用したハイテクシステムだ。
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フォアランナーの脚を動かす回転アクチュエーターのひとつ / image credit:Kepler
遊星ローラースクリュー・アクチュエーターは手足に内蔵され、8000ニュートンの強力なパワーを発揮。
ケプラー社のプレスリリースによれば、「精密な制御、大パワー、素早い反応性を実現し、複雑な作業を巧みにこなすという点で、従来のモーターより優れている」という。
一方、回転アクチュエーターは腰や関節に採用されている。最大トルク200Nmと0.01度単位の緻密な動きによって、効率的かつスムーズな動作を可能にする。
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工場で作業するフォアランナー/Kepler
テスラのオプティマスがライバルというだけあって、その作りは実に似ている。AI「ネビュラ」による脅威のインテリジェンス 頭部には、広角双眼カメラ・4マイク式の遠距離アレイ・加速度計・姿勢方位基準装置(AHRS)といった各種センサーが搭載されており、周囲の状況を把握することができる。
くわえて合成音声モジュールと立体音響スピーカーで、人間とコミュニケーションを交わすことまで可能だ。
こうしたセンサーが捉えた周囲の情報は、AIシステム「Nebula(ネビュラ)」に送られる。
フォアランナーがこぼこした地面を上手に歩き回り、手で何かを感じたりできるのは、AIのサポートのおかげだ。
もちろんAIなのだから、学習を通じてより賢くなる。フォアランナーはより複雑な環境を移動できるようになり、いっそう頼れる存在になっていく。
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世界中の開発者の力をかりて技術を結集 ケプラー社は、ヒューマノイドロボットを開発するにはチームワークが大切だと考えており、世界中のロボット開発者たちに協力を呼びかけている。そのための場も用意し、多くの開発者を招待している。
そこは開発に必要な道具や情報がすべて揃っており、オンラインでプロジェクトに参加することもできるという。
同社はこのイニシアチブについて、「ヒューマノイドロボットによる生産革命を起こし、画期的な新章をスタートさせることが目的」と説明する。
フォアランナーは月9日からラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2024」でお披露目される。
発売は、2024年第3四半期が予定されている。価格は3万ドル(430万円)ほど。2万ドル(290万)とされるオプティマスよりかなり強気の設定だ。
ボストンダイナミクス社の犬型ロボット「Spot」は2019年に一般販売が始まり普及しているが、その後汎用性と自由度が高い中国企業のUnitree Robotics社が開発した廉価な「Go1」に水をあけられている。
果たしてヒューマノイドロボット業界の将来を握るのはどの企業なのか、新たな勢力の台頭はあるのか?目が離せない熱い展開となっている。
References:Kepler Forerunner Series General-Purpose Humanoid Robot / Kepler's Humanoid Robot Makes Grand Debut at CES, Heralding a Bold New Chapter in Robotics Innovation / Chinese firm's first humanoid robot to take the fight to Tesla Optimus / written by hiroching / edited by / parumo
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ボストン・ダイナミクス社の「Atlas(アトラス)」、イーロンマスク率いるテスラ社の「Optimus(オプティマス)」が有力視されている中、中国企業初となるヒューマノイド・ロボットがついにお披露目されることとなった。
「Kepler Exploration Robot(ケプラー社)」が開発する「Forerunner(フォアランナー)」は、正確な体の動きや手のコントロールが可能な大量生産型ロボットで、 その役目は「生産性を向上させ"週休3日制"を早期に実現し、人間をもっと有意義な活動に専念させる」ことだという。
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Introduce Kepler Humanoid Robot中国企業初のヒューマノイドロボット、ライバルはテスラのオプティマス ケプラー社の「フォアランナー」は、身長178cm、体重85kgと人間とほぼ同じ体型で、12自由度(つまり12の独立した動きができる)のスマートハンドを特徴とする汎用人型ロボットだ。
全身では40の独立した動きが可能で、それによってでこぼことした不整路面を移動したり、障害物を避けたり、重い荷物を運んだり、さらには人間とコミュニケーションまでとれる。
こうしたフォアランナーの性能を支えているのが、ライバルであるオプティマスに似た「遊星ローラースクリュー・アクチュエーター」と「回転アクチュエーター」を利用したハイテクシステムだ。
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フォアランナーの脚を動かす回転アクチュエーターのひとつ / image credit:Kepler
遊星ローラースクリュー・アクチュエーターは手足に内蔵され、8000ニュートンの強力なパワーを発揮。
ケプラー社のプレスリリースによれば、「精密な制御、大パワー、素早い反応性を実現し、複雑な作業を巧みにこなすという点で、従来のモーターより優れている」という。
一方、回転アクチュエーターは腰や関節に採用されている。最大トルク200Nmと0.01度単位の緻密な動きによって、効率的かつスムーズな動作を可能にする。
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工場で作業するフォアランナー/Kepler
テスラのオプティマスがライバルというだけあって、その作りは実に似ている。AI「ネビュラ」による脅威のインテリジェンス 頭部には、広角双眼カメラ・4マイク式の遠距離アレイ・加速度計・姿勢方位基準装置(AHRS)といった各種センサーが搭載されており、周囲の状況を把握することができる。
くわえて合成音声モジュールと立体音響スピーカーで、人間とコミュニケーションを交わすことまで可能だ。
こうしたセンサーが捉えた周囲の情報は、AIシステム「Nebula(ネビュラ)」に送られる。
フォアランナーがこぼこした地面を上手に歩き回り、手で何かを感じたりできるのは、AIのサポートのおかげだ。
もちろんAIなのだから、学習を通じてより賢くなる。フォアランナーはより複雑な環境を移動できるようになり、いっそう頼れる存在になっていく。
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世界中の開発者の力をかりて技術を結集 ケプラー社は、ヒューマノイドロボットを開発するにはチームワークが大切だと考えており、世界中のロボット開発者たちに協力を呼びかけている。そのための場も用意し、多くの開発者を招待している。
そこは開発に必要な道具や情報がすべて揃っており、オンラインでプロジェクトに参加することもできるという。
同社はこのイニシアチブについて、「ヒューマノイドロボットによる生産革命を起こし、画期的な新章をスタートさせることが目的」と説明する。
フォアランナーは月9日からラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2024」でお披露目される。
発売は、2024年第3四半期が予定されている。価格は3万ドル(430万円)ほど。2万ドル(290万)とされるオプティマスよりかなり強気の設定だ。
ボストンダイナミクス社の犬型ロボット「Spot」は2019年に一般販売が始まり普及しているが、その後汎用性と自由度が高い中国企業のUnitree Robotics社が開発した廉価な「Go1」に水をあけられている。
果たしてヒューマノイドロボット業界の将来を握るのはどの企業なのか、新たな勢力の台頭はあるのか?目が離せない熱い展開となっている。
References:Kepler Forerunner Series General-Purpose Humanoid Robot / Kepler's Humanoid Robot Makes Grand Debut at CES, Heralding a Bold New Chapter in Robotics Innovation / Chinese firm's first humanoid robot to take the fight to Tesla Optimus / written by hiroching / edited by / parumo
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