南極の海で見事な螺旋状のフィボナッチ数列が出現!その正体は?
 人間が最も美しいと感じる黄金比と一致する螺旋状の「フィボナッチ数列」が南極の海に出現した。自然界では様々なところに見られる黄金螺旋がいったいなぜこんなところに?

 この美しく謎めいたフィボナッチ数列を生み出したのは2頭のザトウクジラだ。
まるでダンスを踊るかのように動いて、水面に黄金螺旋を描いたのだ。

 南極の紺碧の海に螺旋状に泡が浮かんできた直後、その中心から2つの大口が現れた。 泡の壁を作って獲物を捕らえて丸呑みしていたようだ。

泡の壁を作り獲物をしとめるザトウクジラ ザトウクジラが泡をある種の道具として使うことは30年前から知られている。

 それでライバルを威嚇することもあれば、”泡の壁”を召喚して餌となる魚やオキアミを閉じ込めることもある。

 そのハンティング術を「バブル・ネット・フィーディング」という。2頭以上のザトウクジラによる連携技だ。

 今回、写真家のPiet van den Bemd氏がドローン撮影でとらえたのは、2頭のクジラが泡の壁を作った時の様子だ。

 その形はとても美しく見える理由は、人間が本能的に美しいと感じてしまう黄金比が隠されていたからだ。

 自然界に出現するフィボナッチ数列については、深遠な効率性が隠されているという意見もあるが、今回のザトウクジラのものは、ただパートナー同士がぴたりとシンクロし、まるでダンスでも踊るかのように行動した結果である可能性が高い。

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 バブル・ネット・フィーディングは、水中に潜ったクジラたちが、ぴったりと息を合わせて海面に向けて泡を出すことで作られる。

 普通は1頭がこれを主導し、ほかのクジラたちは魚を罠に誘い込むサポートにまわる。


 こうして泡の壁に獲物がとらえらえると、ザトウクジラは泡の渦の中に突っ込み、大口を開けてゴクリと一飲みする。

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遊びで泡の模様を描いている可能性も バブル・ネット・フィーディングはザトウクジラが学習して獲得するものらしいが、実際にその様子が撮影されることは滅多になかった。

 ところが最近ではドローンの登場で、状況が変わり始めている。

 これまでなら撮影が難しかった空からの映像によって、研究者たちは驚くようなクジラの生態を最前列で観察できるようになったからだ。[画像を見る]  オーストラリア東部沖では、33頭ものクジラがこうした連携プレイでエサを食べている様子が観察されたそうだ。

 そこはクジラの繁殖地であり、普通なら食事をしないとされていた場所だったため、この行動はザトウクジラについての常識を疑わせる結果になったという。

 ザトウクジラは、ただ食べるだけでなく、遊びとして泡のフィボナッチ数列を描いている可能性もあるというのだ。

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 フォトジャーナリスト、Doug Perrine氏は、『Hakai Magazine』への寄稿で、若いザトウクジラのメスが泡のサークルを描く姿を目撃したときのことを伝えている。
周囲にエサはなく他のクジラもいなかった。彼女は横向きになって上を見上げ、自分の作品を鑑賞していた。

餌場では便利な道具となる泡作りの練習をしていたのか、それともただキラキラした泡の渦巻きの美しさを楽しんでいたのだろうか?
 いつか、その答えがわかる日が来るだろうか?

References:Incredible 'Fibonacci' Spiral Was Made by a Pair of Ocean Creatures : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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