南国の楽園からゴーストタウンへ。廃店舗や空き家だらけのマレーシアのリゾート地
 マレーシアにあるフォレスト・シティは、中国の不動産開発業者が14兆円かけて開発した南国リゾートだ。だが軌道に乗ることなく今はゴーストタウンと化している。


 中国の一帯一路構想のもとで建設された南国の楽園を作る都市開発は見事失敗に終わってしまった。今ではほとんどの高層マンションが空き家となっており、店舗も廃業しているところが多い。

 

ゴーストシティと化したマレーシアのフォレスト・シティ 東南アジアの美しい国マレーシアのマレーシア南端のジョホール州に、普通の観光客ではなく、廃墟探索家が集まりそうな町がある。

 それは超近代施設を持つた「フォレスト・シティ」だ。だが、住む人もほとんどなく、ほぼ閉店状態のショッピングセンターや住宅ばかりなため〝ゴーストシティ〟と呼ばれている。

 フォレストシティは、中国最大の不動産開発業者カントリーガーデンによって建設され、2016年に一般開放された。

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中国の不動産ブームに乗って建設 開発当時、中国の不動産ブームは加熱気味で、自国の中産階級がセカンドハウスとして購入するための海外物件開発が盛んに行われていた。

 物件のアパートは高額で、ほとんどのマレーシア人にはとても買えなかった。

 フォレスト・シティは、ウォーターパーク、ゴルフコース、オフィス、バーやレストランが林立する高級ホットスポットになるはずだった。

 およそ百万人がこの沿岸都市に移住し、人気の一大観光地に変わることが期待されたが、それが実現することはなかった。

 今や、後悔に苛まれた住民がわずかに暮らすだけのゴーストタウンとなっている。

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着工から7年たつも開発は15%、不気味さが加速 着工から何年もたっているが、開発は15%しか進んでいない。


 それだけでなく、フォレスト・シティを牽引するはずの店舗が実働している割合はわずか1%強で、空き店舗、がらんとした広場、閉店したバーばかりの、なにもすることもできない見捨てられた町になってしまっている。

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 ナズミ・ハナフィア氏(30)は1年前にこの町に引っ越してきたが、今では後悔しかないという。

「正直言って、気味が悪いんです。こんな最悪な体験は初めてです。手付金やお金のことは心配しませんでしたが、ここではなにもすることがなく、もう出ていくしかないでしょうね」

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 彼にとって、この町は鳥肌がたつほど不気味な場所で、逃げ出すしかないゴーストタウン以外のなにものでもないという。

 この町には、ビーチや盛り場など、ホリデーリゾートに必要なものはなんでもそろっている。

 だが、それらは人でにぎわう前に廃れ、うち捨てられている。水辺にはワニがわが物顔で泳ぎ回り、吹き抜けの階段はどこにもつながっていない。

 免税品漁りにふける買い物客ばかりのようで、ビーチには空の酒瓶が転がり、地元の人たちは路上で酒をあおっている。

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 夜になっても、町に活気を与えるほどの十分な照明がないため、さらに不気味さが増す。

 それでも、業者は開発を完了させて、もっと多くの購入者を惹きつけようとしているようだが、今のところ、人もまばらだし、観光スポットもほとんどないのは一目瞭然で、中国のゴーストタウンがまたひとつ増える運命となりそうだ。

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 ここを訪れる観光客は、誰もいない通り、無人のアパート、クモの巣に覆われた店舗ばかりなのにすぐに気がつく。


 中国は全国的な住宅不足に備えるため、こうしたプロジェクト開発をあちこちで行い、結果的にゴーストシティを量産しているとされている。

 それでも、いつかはここに人々が殺到し、こうしたゴーストタウンを生き返らせてくれるだろうと開発者は信じているようだ。

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References:'Creepy' ghost city in tropical paradise full of abandoned shops and empty homes - Daily Star / written by konohazuku / edited by / parumo

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