
地球の衛星である月は今現在も縮んでいる。月が縮む過程で表面が亀裂や地割れが起き、月地震(月震)や土砂崩れが発生する危険性が示唆された。
新たな研究によると、将来的に月の南極に月面基地が設置されれば、何時間も続く月震によって大きな被害が出る恐れがあるそうだ。
『The Planetary Science Journal』(2024年1月25日付)に掲載された研究では、NASAの有人飛行計画「アルテミス計画」の目的地でもある月の南極の月震を調べ、いくつかの崖は特に崩れやすいことを明らかにしている。
月が縮小することで月震が起きる 月は過去数億年の間に45m以上小さくなった。なぜならコアが冷えて、だんだんと縮んでいるからだ。それはブドウが縮んで、干しブドウになるのにも喩えられる。
干しブドウがしわしわであるのと同じように、月も縮めばシワができる。だが柔らかいブドウとは違い、脆い月面では地殻が押し合って断層ができる。これが滑った時、月震(月の地震)が起きるのだ。
それによって起きる「浅発月震」という浅いタイプは、地表からわずか50~220kmほどの深さで起きる。
だが地球の地震と違うところは、地震が数秒から数分しか続かないのに対し、浅発月震は数時間も続くことがある点だ。
月の浅発月震は地球の地震に比べれば強くはなく、アポロ計画の地震計が記録した最大のものでもマグニチュード5ほどだ。だが、揺れが長ければ、その威力は巨大なものになる。
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アポロ計画の地震計が記録した最大級の月震は、震源地が南極にある。紫や青の丸マークは、浅発月震の震源地であると予測される場所。四角マークは、アルテミス3号の着陸候補地だ/Credit: NASA/LRO/LROC/ASU/Smithsonian Institution月震で壊滅的な被害が出る恐れ スミソニアン協会のトーマス・R・ワターズ氏らによる研究では、シミュレーションによって南極の月震を調べ、それが既存の断層の滑りや、新しい衝上断層ができることで起きているだろうことを明らかにしている。
メリーランド大学のニコラス・シュメール准教授によれば、将来的に月に人類が定住したとき、このような長く強い月震は、壊滅的な被害をもたらす恐れがあるという。
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浅発月震によって発生する月の南極の地盤変動のシミュレーション。震源から少なくとも~40kmの距離で、強い~中程度の地面の揺れが予測される / image credit:Nicholas Schmerr, University of Maryland月震に備える設備や対策が必要 何十億年もの間、月はいくつもの小惑星や彗星に衝突され、その破片が吹き飛ばされてきた。
月の乾燥した表面は、そうした細かい砂利やチリが緩くまとまっている。だから、揺れやすく、滑りやすいのだ。
現在NASAは有人宇宙飛行計画「アルテミス計画」を進めているが、シュメール准教授はそうしたミッションを行うにあたっては、月震の影響を考慮し、安全性を確保するべきだとしている。
話は変わるが、最近アマプラで映画「ムーンフォール」を見たのだが、月が巨大な人工構造物であり、白色矮星の力で動いているという設定で、タイトル通り月が地球に落とされるのを防ぐという荒唐無稽なストーリーだ。
ツッコミどころは満載だけど、エンターテイメントとして割り切れば十分楽しめるので、この場をかりておすすめしておくことにしよう。
続編が作られる予定だったんだけど、評判があまりよくなかったらしく話が進んでいないけど、月に代わってお仕置きされる気分は味わえるかも。
References:Tectonics and Seismicity of the Lunar South Polar Region - IOPscience / Scientists discover the moon is shrinking, causing landslides and instability in lunar south pole / written by hiroching / edited by / parumo
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新たな研究によると、将来的に月の南極に月面基地が設置されれば、何時間も続く月震によって大きな被害が出る恐れがあるそうだ。
『The Planetary Science Journal』(2024年1月25日付)に掲載された研究では、NASAの有人飛行計画「アルテミス計画」の目的地でもある月の南極の月震を調べ、いくつかの崖は特に崩れやすいことを明らかにしている。
月が縮小することで月震が起きる 月は過去数億年の間に45m以上小さくなった。なぜならコアが冷えて、だんだんと縮んでいるからだ。それはブドウが縮んで、干しブドウになるのにも喩えられる。
干しブドウがしわしわであるのと同じように、月も縮めばシワができる。だが柔らかいブドウとは違い、脆い月面では地殻が押し合って断層ができる。これが滑った時、月震(月の地震)が起きるのだ。
それによって起きる「浅発月震」という浅いタイプは、地表からわずか50~220kmほどの深さで起きる。
だが地球の地震と違うところは、地震が数秒から数分しか続かないのに対し、浅発月震は数時間も続くことがある点だ。
月の浅発月震は地球の地震に比べれば強くはなく、アポロ計画の地震計が記録した最大のものでもマグニチュード5ほどだ。だが、揺れが長ければ、その威力は巨大なものになる。
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アポロ計画の地震計が記録した最大級の月震は、震源地が南極にある。紫や青の丸マークは、浅発月震の震源地であると予測される場所。四角マークは、アルテミス3号の着陸候補地だ/Credit: NASA/LRO/LROC/ASU/Smithsonian Institution月震で壊滅的な被害が出る恐れ スミソニアン協会のトーマス・R・ワターズ氏らによる研究では、シミュレーションによって南極の月震を調べ、それが既存の断層の滑りや、新しい衝上断層ができることで起きているだろうことを明らかにしている。
メリーランド大学のニコラス・シュメール准教授によれば、将来的に月に人類が定住したとき、このような長く強い月震は、壊滅的な被害をもたらす恐れがあるという。
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浅発月震によって発生する月の南極の地盤変動のシミュレーション。震源から少なくとも~40kmの距離で、強い~中程度の地面の揺れが予測される / image credit:Nicholas Schmerr, University of Maryland月震に備える設備や対策が必要 何十億年もの間、月はいくつもの小惑星や彗星に衝突され、その破片が吹き飛ばされてきた。
月の乾燥した表面は、そうした細かい砂利やチリが緩くまとまっている。だから、揺れやすく、滑りやすいのだ。
現在NASAは有人宇宙飛行計画「アルテミス計画」を進めているが、シュメール准教授はそうしたミッションを行うにあたっては、月震の影響を考慮し、安全性を確保するべきだとしている。
アルテミス計画の有人ミッションの打ち上げ日が近づくにつれ、宇宙飛行士・設備・インフラの安全確保が大切になっています。実際に月が縮んでいる証拠は2010年にNASAのルナー・リコネサンス・オービターが発見している。月の誕生以降、その時点で地殻の直径が約182m縮小したと推測されており、いずれは縮小も止まると予測されているが、それがいつになるかは不明だ。
今回の研究は、月震に耐えられるような建物を設計したり、本当に危険な地域から人々を守ったりと、月で待ち受けていることに準備するうえで役立っています
話は変わるが、最近アマプラで映画「ムーンフォール」を見たのだが、月が巨大な人工構造物であり、白色矮星の力で動いているという設定で、タイトル通り月が地球に落とされるのを防ぐという荒唐無稽なストーリーだ。
ツッコミどころは満載だけど、エンターテイメントとして割り切れば十分楽しめるので、この場をかりておすすめしておくことにしよう。
続編が作られる予定だったんだけど、評判があまりよくなかったらしく話が進んでいないけど、月に代わってお仕置きされる気分は味わえるかも。
References:Tectonics and Seismicity of the Lunar South Polar Region - IOPscience / Scientists discover the moon is shrinking, causing landslides and instability in lunar south pole / written by hiroching / edited by / parumo
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