ヤギは人間の声を聞いただけで喜びや怒りの感情を読み取れることが判明
 集団で生活するヤギは、社交的で感情豊かな動物で、犬に匹敵するコミュニケーション能力を持っているが、新たな研究によると、ヤギは人間の声に込められた感情を読み取ることができるそうだ。

 香港城市大学(中国)とローハンプトン大学(英国)の研究チームによれば、ヤギは喜びや怒りといった感情を人間の声から敏感に察知するという。


 ヤギが人間の顔の表情を読み取れることは以前からわかっていたが、声だけでも感情を読み取れることを証明したのは今回の研究が初めてだ。

 どうやらヤギたちは、人間との長い付き合いの中で、この能力を身につけたと考えられるそうだ。

ヤギに人間の様々な声を聞かせる実験 研究チームは、イングランド南東部ボートン・モンチェルシーにあるヤギの保護施設「Buttercups Sanctuary for Goats」にいるヤギたちに人間の声を録音した音声を聴かせる実験を行った。

 ここは飼育放棄されたり、捨てられたり虐待を受けたヤギたちに永遠の家を提供している施設ある。

 ヤギたちに聞かせた人間の声は、喜びや怒りといった感情を含んだもので、怒りから喜びへ、喜びから怒りへと声のニュアンスを変化させている。

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photo by Pixabay多くのヤギが人間の怒りや喜びの感情を読み取っていた すると驚くべきことに、ヤギの75%が、人間の感情の変化にはっきり反応を示したのだ。

 たとえば、声が喜びから怒りへと変わったとする。するとヤギたちは、声がする方をじっと見つめ、注意を向けるのだ。怒りだけに反応するわけではなく、怒りから喜びへ変わってもやはり注目する。

 英国ローハンプトン大学のマリアンヌ・メイソン博士は、こうした行動は「ヤギが人間の声のサイン、すなわち感情を識別できるという初めての証拠」であると説明する。

 とはいっても、中にはあまり反応しないヤギもいた。

 こうした反応の差は、ヤギによって声の感情を認識する力に違いがあるからかもしれないし、あるいは生まれ育った環境など、何か外的な要因があるのかもしれない。


 だが1つ興味深いのは、声に注目するヤギたちの心拍が上がるといった、体の変化が見られなかったことだ。

 つまり、ヤギたちは声に含まれる感情を読み取りながらも、それを気にしてストレスを感じたりはしてないということだ。

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photo by Pixabay人間は声を通して、ヤギとコミュニケーションをとることができる こうした新事実は、ヤギと人間の関係をより良いものにする大切なヒントになるだろう。

 たとえば、ヤギと仲良くなりたいのなら、怒気を含んだ声はやめて、やさしく語りかけてあげよう。敵意がないことをわかってくれるはずだ。

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ヤギは人間の声だけで喜んでいるのか怒っているかを知ることができる / image credit:Dr Marianne Mason

 人間同士では当たり前のことだが、同じことがヤギにも言えるのかもしれないのだ。

 香港城市大学のアラン・マケリゴット教授は、人間の声がヤギをはじめとする家畜に与える影響を解明するために、さらなる研究が必要であると述べている。

 私たちの声は、想像以上に動物たちの心に伝わっているようだ。この研究は『Animal Behaviour』(2024年1月30日付)に掲載された。

追記:(2024/02/06)本文を一部訂正して再送します。
References:Goats can tell if you are happy or angry by y | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo

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