
驚くべき知能や擬態能力を持つタコは海洋生物研究者たちを魅了してやまない。様々な種が存在するが、アオイガイ科の仲間であるカイダコやタコブネはメスのみが貝殻を持つ興味深いタコの仲間だ。
この貝殻で卵を保育しているのだが、さらに卵を守るために他の生物を利用する。クラゲをヒッチハイクするのだ。
クラゲに乗ることでエネルギーを節約しながら移動し、さらにクラゲの毒で卵を守ってもらおうというのだ。アオイガイにとっては良いことづくめなのだが、クラゲの方はどうなんだろう?
とはいえ、アオイガイ科とクラゲの合体は別のクリーチャーが誕生したかのような神秘性を感じさせる。
クラゲをヒッチハイクし、卵を守るアオイガイ科のメス アオイガイ科はまさに神秘の生物だ。タコの仲間なのだが、メスのみが特殊な分泌物を用いて薄くて脆い螺旋形の貝殻(卵殻)を作り出す。
この薄い貝殻に由来し、英語では「紙の航海者」を意味する「paper nautilus(ペーパーナウティラス)」という名前の由来となっている。
メスのアオイガイ科はこの貝殻の内部に卵を産み、子供たちを保育する。この薄い貝殻は浮力調整にも役立つそうだ。
ちなみにメスのアオイガイはカイダコで10cm以上、タコブネで8cm以上に成長するが、貝殻をもたないオスは非常に小さく、1cmに満たないほどだという。
[動画を見る]
Paper nautilus hitch-hiking on jellyfishアオイガイ科がクラゲに乗る理由 フィリピン・イロイロ州のアニラオの海で撮影された一枚の写真が、アオイガイ科の生態に関する新たな知見を提供している。
この写真は、レニー・カポッツォーラによって撮影され、海洋ポートフォリオ賞を受賞した。
クラゲは特殊な「刺細胞」を持っており、中には毒汁と螺旋形に巻いた刺糸がある。外部からの刺激によって毒液を含んだ刺糸が飛びだし、捕食や自己防衛に役立てている。
つまりアオイガイ科のメスは、クラゲに乗ることで、移動するエネルギーを節約しつつ、卵を捕食者から守る役割を果たしているのだ。
他にも考えられる説がある。アオイガイ科は肉食性で、主にプランクトン、小型の魚や甲殻類を食べるが、クラゲを食べることはない。
だが、クラゲが捕らえた他の小型の海洋生物を食べることができるため、間接的に食糧源を見つける手段ともなり得るという。
ただしアオイガイの行動や生態についてはまだ完全に解明されておらず、アオイガイ科のメスがクラゲに乗る理由は完全にはわかっていない。
これらはあくまでも仮説であり、現在その研究が進められている最中だ
[動画を見る]
[動画を見る]
クラゲの立場は? アオイガイ科に一方的に利用されているように見えるクラゲだが、クラゲに何らかのメリットはあるのか?
今のところクラゲにとってのメリットは科学的に明らかになっていない。ただし、アオイガイの体重によってクラゲの移動速度が遅くなり、これがデメリットとなっている可能性はある。
果たして両者の関係は、お互いに利益を得ることができる「相互共生」なのか、一方は利益を受けるが、他方は利益も害も受けない「片利共生」なのか、片方の生物が他方から一方的に奪い取る「寄生」なのか、興味深いところではある。
一つだけわかっているのは、アオイガイ科のメスの防衛戦略のしたたかさだ。
[動画を見る]
Moving Picture-Argonaut hians, Kraken wide angle conversion lens test
ちなみにアオイガイ科のオスは、左の第3腕を交接腕として切り離し、これを雌に送り、受精させるという独特の繁殖方法を持っており、その特徴的な行動と形状から、アオイガイ科は海洋生物の中でも特にユニークな存在だ。
さらにそのアオイガイとクラゲが合体した姿は、さらにそのユニークさと神秘性を際立たせている。
written by parumo
2023年07月06日の記事を加筆編集して再掲載してお届けします。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
この貝殻で卵を保育しているのだが、さらに卵を守るために他の生物を利用する。クラゲをヒッチハイクするのだ。
クラゲに乗ることでエネルギーを節約しながら移動し、さらにクラゲの毒で卵を守ってもらおうというのだ。アオイガイにとっては良いことづくめなのだが、クラゲの方はどうなんだろう?
とはいえ、アオイガイ科とクラゲの合体は別のクリーチャーが誕生したかのような神秘性を感じさせる。
クラゲをヒッチハイクし、卵を守るアオイガイ科のメス アオイガイ科はまさに神秘の生物だ。タコの仲間なのだが、メスのみが特殊な分泌物を用いて薄くて脆い螺旋形の貝殻(卵殻)を作り出す。
この薄い貝殻に由来し、英語では「紙の航海者」を意味する「paper nautilus(ペーパーナウティラス)」という名前の由来となっている。
メスのアオイガイ科はこの貝殻の内部に卵を産み、子供たちを保育する。この薄い貝殻は浮力調整にも役立つそうだ。
ちなみにメスのアオイガイはカイダコで10cm以上、タコブネで8cm以上に成長するが、貝殻をもたないオスは非常に小さく、1cmに満たないほどだという。
[動画を見る]
Paper nautilus hitch-hiking on jellyfishアオイガイ科がクラゲに乗る理由 フィリピン・イロイロ州のアニラオの海で撮影された一枚の写真が、アオイガイ科の生態に関する新たな知見を提供している。
この写真は、レニー・カポッツォーラによって撮影され、海洋ポートフォリオ賞を受賞した。
[画像を見る] この写真には、メスのアオイガイ科がクラゲに乗っている様子が捉えられており、最大17万個の卵を貝殻に入れて運んでいることが確認された。
クラゲは特殊な「刺細胞」を持っており、中には毒汁と螺旋形に巻いた刺糸がある。外部からの刺激によって毒液を含んだ刺糸が飛びだし、捕食や自己防衛に役立てている。
つまりアオイガイ科のメスは、クラゲに乗ることで、移動するエネルギーを節約しつつ、卵を捕食者から守る役割を果たしているのだ。
他にも考えられる説がある。アオイガイ科は肉食性で、主にプランクトン、小型の魚や甲殻類を食べるが、クラゲを食べることはない。
だが、クラゲが捕らえた他の小型の海洋生物を食べることができるため、間接的に食糧源を見つける手段ともなり得るという。
ただしアオイガイの行動や生態についてはまだ完全に解明されておらず、アオイガイ科のメスがクラゲに乗る理由は完全にはわかっていない。
これらはあくまでも仮説であり、現在その研究が進められている最中だ
[動画を見る]
[動画を見る]
クラゲの立場は? アオイガイ科に一方的に利用されているように見えるクラゲだが、クラゲに何らかのメリットはあるのか?
今のところクラゲにとってのメリットは科学的に明らかになっていない。ただし、アオイガイの体重によってクラゲの移動速度が遅くなり、これがデメリットとなっている可能性はある。
果たして両者の関係は、お互いに利益を得ることができる「相互共生」なのか、一方は利益を受けるが、他方は利益も害も受けない「片利共生」なのか、片方の生物が他方から一方的に奪い取る「寄生」なのか、興味深いところではある。
一つだけわかっているのは、アオイガイ科のメスの防衛戦略のしたたかさだ。
これは高い知能の証だろう。
[動画を見る]
Moving Picture-Argonaut hians, Kraken wide angle conversion lens test
ちなみにアオイガイ科のオスは、左の第3腕を交接腕として切り離し、これを雌に送り、受精させるという独特の繁殖方法を持っており、その特徴的な行動と形状から、アオイガイ科は海洋生物の中でも特にユニークな存在だ。
さらにそのアオイガイとクラゲが合体した姿は、さらにそのユニークさと神秘性を際立たせている。
written by parumo
2023年07月06日の記事を加筆編集して再掲載してお届けします。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
編集部おすすめ