
地上最強の生物と呼ばれる「クマムシ」は、いつの日か人間の命を救ったり、老化を防いだりしてくれるかもしれない。クマムシから抽出されたタンパク質が、人間の細胞の老化を遅らせることが判明したそうだ。
米国ワイオミング大学の研究チームたちは、極限状態にも耐えるクマムシの防御システムの秘密を探るために、そのタンパク質を人間の細胞に導入してみた。
すると代謝が遅くなり、ヒト細胞の分子プロセスが減速することが明らかになったのだ。いったいどういうことなのか?詳しく見ていこう。
クマムシが休眠状態(乾眠)の鍵を握るタンパク質 『Protein Science』(2024年3月19日付)に掲載されたこの研究は、クマムシが強いストレスを受けたとき、休眠状態になるメカニズムを調べたものだ。
体長0.5ミリにも満たない「クマムシ(緩歩動物)」は、カラカラに干上がっても、あらゆる分子運動が停止する絶対零度近くまで冷やされても、人間が耐えられる数千倍の放射線を浴びても、宇宙空間の真空状態に放置されても死なない。
クマムシのこの圧倒的な防御力は、「乾眠」と呼ばれる休眠状態になることで発揮される。
今回の研究によるなら、この状態に入る鍵を握るのが、「CAHS D」というタンパク質なのだという。このタンパク質は、細胞内でゲルを形成し、生命活動を減速させる働きがある。
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photo by iStockヒト細胞にクマムシのタンパク質を導入しても同じ効果を発揮 重要なのは、このタンパク質が人間の細胞に対しても効果を発揮することだ。これについて、論文の筆頭著者シルビア・サンチェス=マルティネス氏は、次のように説明する。
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photo by iStockクマムシのタンパク質が人間の老化を防止するかもしれない 研究チームによると、この発見は、細胞や生物全体を乾眠に誘導する技術の鍵を握るという。
それができれば老化を防止したり、冷蔵保存ができない場所でも救命治療を受けられるようにしたり、さまざまな応用が考えられる。
実際、研究チームの中心人物であるトーマス・ブーズビー氏は、クマムシのタンパク質を利用することで、血友病の治療薬を冷蔵することなく安定化させることに成功しているそうだ。
References:Unlocking the Secrets of Immortality: Tardigrade Proteins Slow Aging in Human Cells / Scientists Splice Material From Creature That Can Survive Outer Space Into Human Cells / written by hiroching / edited by / parumo
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米国ワイオミング大学の研究チームたちは、極限状態にも耐えるクマムシの防御システムの秘密を探るために、そのタンパク質を人間の細胞に導入してみた。
すると代謝が遅くなり、ヒト細胞の分子プロセスが減速することが明らかになったのだ。いったいどういうことなのか?詳しく見ていこう。
クマムシが休眠状態(乾眠)の鍵を握るタンパク質 『Protein Science』(2024年3月19日付)に掲載されたこの研究は、クマムシが強いストレスを受けたとき、休眠状態になるメカニズムを調べたものだ。
体長0.5ミリにも満たない「クマムシ(緩歩動物)」は、カラカラに干上がっても、あらゆる分子運動が停止する絶対零度近くまで冷やされても、人間が耐えられる数千倍の放射線を浴びても、宇宙空間の真空状態に放置されても死なない。
クマムシのこの圧倒的な防御力は、「乾眠」と呼ばれる休眠状態になることで発揮される。
今回の研究によるなら、この状態に入る鍵を握るのが、「CAHS D」というタンパク質なのだという。このタンパク質は、細胞内でゲルを形成し、生命活動を減速させる働きがある。
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photo by iStockヒト細胞にクマムシのタンパク質を導入しても同じ効果を発揮 重要なのは、このタンパク質が人間の細胞に対しても効果を発揮することだ。これについて、論文の筆頭著者シルビア・サンチェス=マルティネス氏は、次のように説明する。
驚くべきことに、これらのタンパク質をヒト細胞に導入すると、クマムシと同じようにゲル化し、代謝を低下させるのです。しかも乾眠に入ったヒト細胞は再び復活する。
これらのタンパク質を持つヒト細胞が乾眠状態になると、ストレスに対する抵抗力がアップし、クマムシのような力が発揮されます
ストレスが緩和されれば、クマムシのゲルが溶けて、通常の代謝を開始するのだ。
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photo by iStockクマムシのタンパク質が人間の老化を防止するかもしれない 研究チームによると、この発見は、細胞や生物全体を乾眠に誘導する技術の鍵を握るという。
それができれば老化を防止したり、冷蔵保存ができない場所でも救命治療を受けられるようにしたり、さまざまな応用が考えられる。
実際、研究チームの中心人物であるトーマス・ブーズビー氏は、クマムシのタンパク質を利用することで、血友病の治療薬を冷蔵することなく安定化させることに成功しているそうだ。
References:Unlocking the Secrets of Immortality: Tardigrade Proteins Slow Aging in Human Cells / Scientists Splice Material From Creature That Can Survive Outer Space Into Human Cells / written by hiroching / edited by / parumo
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