
チリ、イースター島沖の海底山脈には、まさに自然の神秘である深海生物がたくさん生息している。
シュミット海洋研究所の海洋探検隊が800~1200mの深海で行った最新調査では、前回に引き続きユニークな生き物たちとのいくつもの出会いがあった。
そこで出会った100種以上の生物は、これまでこの海で目撃されたことがなかった仲間たちだ。くわえて50種を超える生き物が新種だろうと考えられている。
海底山脈で新たな出会いが続々
今回、チリのイースター島(ラパ・ヌイ島)沖で行われた海底山脈の探検は、2024年1月に行われた海洋調査に続くものだ。チリ沖に生息する50種以上の新種候補や巨大な海山など、前回同様たくさんの発見があった。
探検の中心人物の1人、カトリカ・ノルテ大学のハビエル・セジャーネス博士(海洋生物学)は、プレスリリース[https://schmidtocean.org/person/javier-sellanes-2/]で次のように述べている。
2回の探検で明らかになった驚くべき生息地と動物群集は、この辺境の海域について私たちがどれほど無知であるかを示しています
前回の主な舞台は「ナスカ海嶺」と「ファン・フェルナンデス海嶺」だったが、今回の探検では、ナスカ海嶺からイースター島までの1600kmに横わたる海底山脈「サラス・イ・ゴメス海嶺」にスポットライトが当てられた。
そこで出会った生き物たちはいずれも個性派ぞろい。その一部を紹介しよう。
”空飛ぶスパゲッティ・モンスター”との異名がある
ボウズニラ科マガタマニラ属の「Bathyphysa siphonophore」
サラス・イ・ゴメス海嶺で出会ったワニトカゲギス科の仲間
海山で発見された深海のタコ
フサアンコウ科の仲間。どことなくカエルっぽい姿で、シートードと呼ばれる
八放サンゴの仲間。深海のヤドカリとエビがぶら下がっている
カンムリヒトデ属のヒトデ
レプトセリス(Leptoseris)というサンゴの仲間は
生物による光合成の最深記録を樹立した
まるで銀河を思わせるクダクラゲ
サラス・イ・ゴメス海嶺の西側近くにいたヒドロムシ類
貴重な生態系を守るために
今回の調査は、2月から3月にかけての40日間、調査船で海嶺を横断しつつ行われたもの。
合わせて10座の海山が調査されたが、うち6座は過去に科学的調査されたことがなく、それぞれに独自の生態系が育まれていたという。
シュミット海洋研究所の主任科学者エリン・E・イーストン氏によると、こうした数々の新発見は、海山だけでなく、海嶺全体を保護することの重要性を示しているのだそう。
「この探検で収集されたデータが、新たな海洋保護区の設立につながるよう期待しています」
また、こうした調査は、イースター島周辺の地元コミュニティの協力を得て行われているとのこと。
こうした調査を通じて明らかになる天然資源・未知の海洋生物・気候といったものは、コミュニティにとっても直接影響がある大切なものだ。
References:Scientists Find Pristine Ecosystems on High-Seas Seamounts – Schmidt Ocean Institute[https://schmidtocean.org/scientists-find-pristine-ecosystems-on-high-seas-seamounts/] / written by hiroching / edited by / parumo