北アフリカ、アルジェリアの内陸部の奥、うねる砂丘の真ん中に城のような要塞のような謎の構造物が建っている。
クサール・ドラアというこの建造物についてはほとんど情報がなく、誰が、いつ、なんのために建てたのか、その由来は地元の人も知らないというが、SNSでは定期的にこの遺跡の画像が出回り、様々な噂が飛び交っている。
クサール・ドラアの謎に迫ってみよう。
いつ、誰が建てたのか?砂漠の真ん中にある謎の円形構造物 玉石混交のネット情報によると、「クサール・ドラア(Ksar Draa)」がある場所は、アルジェリア、アドラール県ティミムンという町の近くだという。
高さ2mの円形の二重壁があり、3層構造になっているが窓や階段はなく、複数の部屋と中庭が見受けられる。
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これはいったいなんのための建造物なのか?
砂漠を旅するキャラバンのための宿キャラバンサライだとか、要塞化された城、牢獄、穀物倉、交易所など憶測はさまざまだ。
壁にユダヤ人のシンボルがひとつだけあったことから、ユダヤ人由来のものではないかとされているが手がかりはそれしかない。
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クサール・ドラア(Ksar Draa)のクサールとは、要塞化された集落を意味するこの地方の方言だ。
おもに日干し煉瓦、粘土、土漆喰で建てられ、それぞれの家が集まっているように見える。アルジェリア、モロッコ、チュニジア、その他北アフリカ諸国で見られる。
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チュニジア南部で見られる伝統的なクサールの外観。映画『スターウォーズ』でも使われた / photo by iStockこの地域の歴史 クサール・ドラアは、アルジェリア中央、広大なトゥアト砂漠にある。
ここには過酷なサハラ砂漠をさらに進んでいく旅人にとって重要なオアシスのネットワークがある。
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紀元1世紀頃からユダヤ人がトゥアトに住んでいたといわれている。当時、彼らはローマ皇帝トラヤヌスによる迫害から逃れ、ほとんどは現在のリビア東部のキレナイカからやって来ていたという。
迫害されてきたにもかかわらず、ユダヤ人たちは経済的な成功によって、この地でかなりの影響力をもつようになり、複数の統治者の庇護を受けて、安全な社会的地位を享受していたと伝えられている。
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彼らはサハラの金と宝石を専門に扱い、首都タメンティットは貿易と文化の一大中心地へと発展した。町には何百もの宝石商、鍛冶屋、学者、宗教学校、シナゴークがあり、しばらくはイスラム教徒とうまくやっていたようだ。
1492年、モロッコ出身のアル・マギリという狂信者がイスラム教徒の反ユダヤ感情を煽り、虐殺と破壊を引き起こした。生き残ったユダヤ人たちは散り散りに逃げ出したという。
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要塞的役割を果たしていた可能性も こうした歴史的背景から、クサール・ドラアの防衛建築の要素が浮き彫りになってくる。
二重壁はさらなる防衛強化のためで、外部勢力が敷地内に入ってくるのを防ぐ。円形の設計はあらゆる角度から砂丘を監視することができる。砂丘の小高い場所にあるため、遠くからでも敵を見つけやすくなっている。
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空から見たクサール・ドラア / image credit:Othmani Kamel/Inside Africa/Facebook
各部屋の狭い入口に到達する階段がないのは、敵が侵入してくるのを防ぐためだ。
昇り降りには取り外しのできる梯子を使っていたのではないかと思われる。また、窓がない理由は外からのぞかれる心配がないことや、住居の入口を確保しやすいからだろう。
クサール・ドラアが防衛をかなり意識して建てられていることから、キレナイカを追放されたユダヤ人が自分たちの安全を守るためにここを建てた可能性が高い。
1492年の虐殺事件から逃れてきたユダヤ人もここに避難したかもしれない。
ここがサハラに向かうキャラバン隊が立ち寄った隊商宿ならば、旅人が長旅の前に宿泊し、物資を補充した場所だったろう。
あるいは砦と交易所を兼ね備えたものだったのかもしれない。旅人の宿を提供すると同時にユダヤ人の避難所だった可能性も捨てきれない。
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Video Sahara, Cap Aventures
結局クサール・ドラアについてはいまだに確かな説明はないし、クサール・ドラアの考古学調査は行われていない。
この場所に興味を持った考古学者らにより、今後調査が行われれば真実が明らかになるかもしれない。
References:Exploration Mysteries: Ksar Draa ≫ Explorersweb / Ksar Draa and the Circular Palaces of the Algerian Desert / written by konohazuku / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
クサール・ドラアというこの建造物についてはほとんど情報がなく、誰が、いつ、なんのために建てたのか、その由来は地元の人も知らないというが、SNSでは定期的にこの遺跡の画像が出回り、様々な噂が飛び交っている。
クサール・ドラアの謎に迫ってみよう。
いつ、誰が建てたのか?砂漠の真ん中にある謎の円形構造物 玉石混交のネット情報によると、「クサール・ドラア(Ksar Draa)」がある場所は、アルジェリア、アドラール県ティミムンという町の近くだという。
高さ2mの円形の二重壁があり、3層構造になっているが窓や階段はなく、複数の部屋と中庭が見受けられる。
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これはいったいなんのための建造物なのか?
砂漠を旅するキャラバンのための宿キャラバンサライだとか、要塞化された城、牢獄、穀物倉、交易所など憶測はさまざまだ。
壁にユダヤ人のシンボルがひとつだけあったことから、ユダヤ人由来のものではないかとされているが手がかりはそれしかない。
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クサール・ドラア(Ksar Draa)のクサールとは、要塞化された集落を意味するこの地方の方言だ。
宮殿や城を意味する場合もある。
おもに日干し煉瓦、粘土、土漆喰で建てられ、それぞれの家が集まっているように見える。アルジェリア、モロッコ、チュニジア、その他北アフリカ諸国で見られる。
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チュニジア南部で見られる伝統的なクサールの外観。映画『スターウォーズ』でも使われた / photo by iStockこの地域の歴史 クサール・ドラアは、アルジェリア中央、広大なトゥアト砂漠にある。
ここには過酷なサハラ砂漠をさらに進んでいく旅人にとって重要なオアシスのネットワークがある。
クサールはこうしたオアシス周辺に建てられた。
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紀元1世紀頃からユダヤ人がトゥアトに住んでいたといわれている。当時、彼らはローマ皇帝トラヤヌスによる迫害から逃れ、ほとんどは現在のリビア東部のキレナイカからやって来ていたという。
迫害されてきたにもかかわらず、ユダヤ人たちは経済的な成功によって、この地でかなりの影響力をもつようになり、複数の統治者の庇護を受けて、安全な社会的地位を享受していたと伝えられている。
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彼らはサハラの金と宝石を専門に扱い、首都タメンティットは貿易と文化の一大中心地へと発展した。町には何百もの宝石商、鍛冶屋、学者、宗教学校、シナゴークがあり、しばらくはイスラム教徒とうまくやっていたようだ。
1492年、モロッコ出身のアル・マギリという狂信者がイスラム教徒の反ユダヤ感情を煽り、虐殺と破壊を引き起こした。生き残ったユダヤ人たちは散り散りに逃げ出したという。
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要塞的役割を果たしていた可能性も こうした歴史的背景から、クサール・ドラアの防衛建築の要素が浮き彫りになってくる。
二重壁はさらなる防衛強化のためで、外部勢力が敷地内に入ってくるのを防ぐ。円形の設計はあらゆる角度から砂丘を監視することができる。砂丘の小高い場所にあるため、遠くからでも敵を見つけやすくなっている。
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空から見たクサール・ドラア / image credit:Othmani Kamel/Inside Africa/Facebook
各部屋の狭い入口に到達する階段がないのは、敵が侵入してくるのを防ぐためだ。
昇り降りには取り外しのできる梯子を使っていたのではないかと思われる。また、窓がない理由は外からのぞかれる心配がないことや、住居の入口を確保しやすいからだろう。
クサール・ドラアが防衛をかなり意識して建てられていることから、キレナイカを追放されたユダヤ人が自分たちの安全を守るためにここを建てた可能性が高い。
1492年の虐殺事件から逃れてきたユダヤ人もここに避難したかもしれない。
ここがサハラに向かうキャラバン隊が立ち寄った隊商宿ならば、旅人が長旅の前に宿泊し、物資を補充した場所だったろう。
あるいは砦と交易所を兼ね備えたものだったのかもしれない。旅人の宿を提供すると同時にユダヤ人の避難所だった可能性も捨てきれない。
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Video Sahara, Cap Aventures
結局クサール・ドラアについてはいまだに確かな説明はないし、クサール・ドラアの考古学調査は行われていない。
この場所に興味を持った考古学者らにより、今後調査が行われれば真実が明らかになるかもしれない。
References:Exploration Mysteries: Ksar Draa ≫ Explorersweb / Ksar Draa and the Circular Palaces of the Algerian Desert / written by konohazuku / edited by / parumo
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