
気候変動、地球温暖化によって干ばつ・洪水・山火事といった自然災害が深刻化するなか、生物学者たちはビーバーが果たす役割に注目している。
NASAやESAが運用する人工衛星のデータによると、ビーバーが戻ってきた地域では、彼らが作るダムのおかげで木々や草木が育ち、温暖化による自然災害が緩和されていることがわかったのだ。
ビーバーは最前線で地球を守る救世主的としての役割を担ってくれているのだ。
地球を守る救世主、ダムをつくるビーバー ビーバーが地球温暖化を食い止める救世主である理由は、彼らがダムを作るからだ。
ビーバーは、クマやオオカミといった危険な捕食動物から身を守るために、その頑丈な歯で木を削ったり、石や泥を集めたりして川を堰き止める。
このユニークな習性によって出現するダムは、ただビーバーが安心して暮らせるだけではなく、草木をも育ててくれる。
これが近年温暖化によって増加している山火事のリスクを下げ、干ばつや洪水の被害を緩和してくれるのだ。
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ビーバーを導入した地域では自然が回復していることを確認 1800年代後半まで、ビーバーは北米中の湖沼や川にたくさん生息していた。
ところが毛皮目当ての乱獲によって、1600年代には4億頭もいたビーバーも、現在ではわずか1000万~1500万頭にまで減少してしまっている。
こうして減ってしまったビーバーをまたどこにでもいる身近な生き物に戻そうと取り組んでいるのが、カリフォルニア州・アイダホ州・ユタ州といった州だ。
そしてNASAの衛星データは、ビーバーが再導入された地域では、植物もまた緑豊かに生い茂るようになることを示している。
例えばNASAによると、アイダホ州プレストン近郊の小川では、牧場主の協力でビーバーの再導入が進められてから200以上ものダムが作られ、1年のうち40日間も長く水が流れるようになったという。
また、アイダホ州ボークリークの山火事があった地域にビーバーを導入したところ、彼らが作ったダムと運河により湿地帯ができ、野生生物に安全な避難場所を提供することができた。
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ビーバーのおかげで緑地と湿地帯が増え、自然の回復も早くなったアイダホ州のボークリークの一部地域 / image credit:Schmiebel, CC BY-SA 4.0ビーバーに地球を守ってもらうべく、再導入する地域を選定 NASAと協力してビーバーの回復に取り組んでいるユタ州立大学のウォリー・マクファーレン氏は次のように述べている。
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生後3か月のビーバーの子は、コロラド州オーロラ市街地のコンクリートで固められた排水溝から自然豊かなロッキー山脈へ引っ越ししてきた/ image credit:Sarah Koenigsberg)
マクファーレン氏らが開発した「ビーバー復元評価ツール(BRAT)」は、NASAのランドサット衛星とESAのセンチネル衛星のデータを利用して、ビーバーがダムを作ることで大きな恩恵を受けるだろう地域を特定する手助けをする。
ビーバーがダム作りに利用できる樹木があるかどうか、それによって水流と植生が豊かになり、野生動物たちの暮らしも豊かにしてくれるか?
BRATでこうしたことを評価してビーバーの導入地を決めたら、ビーバーが暮らしやすいよう”仮設ビーバーダム”を作って誘致する。
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NASAの地球観測衛星ランドサットのデータから、ビーバーの再導入によって恩恵が受けられそうな地域を選定する / Image credit: NASA
こうした衛星データは、数十年にわたる長期的な回復計画をスタートさせる決め手になるだけでなく、資金が不足しがちなその後のモニタリングをも可能にする。
衛星データはまた、そうした取り組みが有効であるという具体的な証拠となり、政府や自然保護団体あるいは企業など、各所からの支援を募るうえでも大切なものだ。
NASAのシンディ・シュミット氏によるなら、ビーバーを回復し、温暖化の被害を和らげるには関係者が協力することがとても大切なのだという。
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References:NASA Data Helps Beavers Build Back Streams | NASA Spinoff /Beavers are helping fight climate change, satellite data shows | Space / written by hiroching / edited by / parumo
(2024/05/02)トップ画像を変更して再送します。
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NASAやESAが運用する人工衛星のデータによると、ビーバーが戻ってきた地域では、彼らが作るダムのおかげで木々や草木が育ち、温暖化による自然災害が緩和されていることがわかったのだ。
ビーバーは最前線で地球を守る救世主的としての役割を担ってくれているのだ。
地球を守る救世主、ダムをつくるビーバー ビーバーが地球温暖化を食い止める救世主である理由は、彼らがダムを作るからだ。
ビーバーは、クマやオオカミといった危険な捕食動物から身を守るために、その頑丈な歯で木を削ったり、石や泥を集めたりして川を堰き止める。
このユニークな習性によって出現するダムは、ただビーバーが安心して暮らせるだけではなく、草木をも育ててくれる。
これが近年温暖化によって増加している山火事のリスクを下げ、干ばつや洪水の被害を緩和してくれるのだ。
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ビーバーを導入した地域では自然が回復していることを確認 1800年代後半まで、ビーバーは北米中の湖沼や川にたくさん生息していた。
ところが毛皮目当ての乱獲によって、1600年代には4億頭もいたビーバーも、現在ではわずか1000万~1500万頭にまで減少してしまっている。
こうして減ってしまったビーバーをまたどこにでもいる身近な生き物に戻そうと取り組んでいるのが、カリフォルニア州・アイダホ州・ユタ州といった州だ。
そしてNASAの衛星データは、ビーバーが再導入された地域では、植物もまた緑豊かに生い茂るようになることを示している。
例えばNASAによると、アイダホ州プレストン近郊の小川では、牧場主の協力でビーバーの再導入が進められてから200以上ものダムが作られ、1年のうち40日間も長く水が流れるようになったという。
また、アイダホ州ボークリークの山火事があった地域にビーバーを導入したところ、彼らが作ったダムと運河により湿地帯ができ、野生生物に安全な避難場所を提供することができた。
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ビーバーのおかげで緑地と湿地帯が増え、自然の回復も早くなったアイダホ州のボークリークの一部地域 / image credit:Schmiebel, CC BY-SA 4.0ビーバーに地球を守ってもらうべく、再導入する地域を選定 NASAと協力してビーバーの回復に取り組んでいるユタ州立大学のウォリー・マクファーレン氏は次のように述べている。
ビーバーの乱獲が始まる前、西部のいたるところにビーバーのダムがありました
今私たちが試みているのは、ビーバーダムの数を昔と同じくらいにまで戻すことです。そうすることで、干ばつに強くなり、河川が回復します(ウォリー・マクファーレン氏)
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生後3か月のビーバーの子は、コロラド州オーロラ市街地のコンクリートで固められた排水溝から自然豊かなロッキー山脈へ引っ越ししてきた/ image credit:Sarah Koenigsberg)
マクファーレン氏らが開発した「ビーバー復元評価ツール(BRAT)」は、NASAのランドサット衛星とESAのセンチネル衛星のデータを利用して、ビーバーがダムを作ることで大きな恩恵を受けるだろう地域を特定する手助けをする。
ビーバーがダム作りに利用できる樹木があるかどうか、それによって水流と植生が豊かになり、野生動物たちの暮らしも豊かにしてくれるか?
BRATでこうしたことを評価してビーバーの導入地を決めたら、ビーバーが暮らしやすいよう”仮設ビーバーダム”を作って誘致する。
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NASAの地球観測衛星ランドサットのデータから、ビーバーの再導入によって恩恵が受けられそうな地域を選定する / Image credit: NASA
こうした衛星データは、数十年にわたる長期的な回復計画をスタートさせる決め手になるだけでなく、資金が不足しがちなその後のモニタリングをも可能にする。
衛星データはまた、そうした取り組みが有効であるという具体的な証拠となり、政府や自然保護団体あるいは企業など、各所からの支援を募るうえでも大切なものだ。
NASAのシンディ・シュミット氏によるなら、ビーバーを回復し、温暖化の被害を和らげるには関係者が協力することがとても大切なのだという。
これこそが応用科学というものです。それは環境について物事を決めるうえで必要なものを提供することができます。
地球の未来は、様々な分野から一緒に協力して持続可能な取り組みを進めてくれるワンチームとなる仲間が必要なのです(NASAのシンディ・シュミット氏)
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References:NASA Data Helps Beavers Build Back Streams | NASA Spinoff /Beavers are helping fight climate change, satellite data shows | Space / written by hiroching / edited by / parumo
(2024/05/02)トップ画像を変更して再送します。
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