ミーアキャットは2種類の声を使い分けて仲間とコミュニケーションを取っていた
 愛らしいミーアキャットの鳴き声を解読してみたところ、彼らは2種類の声を使い分けて、仲間とコミュニケーションを取っていることが判明したそうだ。

 1つは仲間の返事が欲しいときに使う声で、誰かが鳴き声をあげると、すぐそばにいる仲間がそれに応じて返事を返す。


 もう1つは、一方通行のアナウンスをするための声だ。こちらは特に返事を期待することなく、「ボクはここだよっ」と自分の居場所を伝えるためのものだという。

 つまり、返事が欲しいときの鳴き方と、自分に注目してもらいたいときの鳴き方が違うというのだ。

ミーアキャットは鳴き声で何を伝えているのか? アンゴラ、ナミビア、南アフリカなどのサバンナで群れを作って生きるミーアキャットは、キャットと言ってもネコではなく、マングース科の肉食動物だ。

 尻尾を支えにして直立する姿が印象的だが、一日のほとんど常に移動して過ごしている。

 そうやって歩いたり走ったりしているとき、時折鳴き声をあげて、何やら会話を交わしているかのような様子が観察されることがある。

 ドイツ、コンスタンツ大学をはじめとする今回の研究チームが調べたのは、ミーアキャットがこうした鳴き声で何を伝えているのかということだ。

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ミーアキャットたちの鳴き声を研究 / image credit:Vlad Demartsevミーアキャットは2種類の鳴き声がある 研究チームによると、鳴き声には2種類あるという。

 1つは「クローズ・コール」と呼ばれるもの。ミーアキャット同士の”掛け合い”のようなもので、仲間の1匹がこの声をあげると、すぐそばにいた別の仲間が返事をよこす。

 もう1つは「ショート・ノート」と呼ばれる鳴き方だ。これは「ボクはここだよっ」と自分の存在を伝えるためのもので、必ずしも仲間からの返事が返ってくるわけではない。


 私たち人間の会話を考えてみよう。通常、私たちが誰かと親密な会話を交わすときは、1対1か少人数でのやり取りだ。

 ところが、大勢の聴衆が集まった講演会のような場面では、講演者が話すメッセージのほとんどが一方通行になる。

 人間は大勢の人たちと同時に会話することができないので、双方向のコミュニケーションは生まれない。

 そしてミーアキャットのクローズ・コールはごく少人数の親密なコミュニケーションで、ショート・ノートは大勢に向けたアナウンスのようなものと考えられるという。

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Meerkat chit-chat群れで暮らすミーアキャットにとって鳴き声は大切な合図 この研究では、南アフリカのカラハリ研究センターにいるミーアキャットに特殊な首輪を装着して、彼らのコミュニケーションを探っている。

 首輪にはマイクとGPSが内蔵されており、これを利用して誰がいつどこで鳴き声を出したのかのデータを記録したのだ。

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マイクとGPSが内蔵された特殊な首輪で、ミーアキャットの鳴き声を解読した / image credit:Vlad Demartsev

 そうして集めたデータを分析してみると、先ほど説明したように、クローズ・コールの場合は、かなりの確率ですぐ隣にいる仲間が0.5秒以内に返事をすることがわかった。

 一方、ショート・ノートではこうしたパターンは確認されなかったという。

 だが、そもそも鳴き声は一度きりの単発の行為ではなく、一連の流れの中で行われるコミュニケーションなのだ。

 だから、そのような流れや文脈までも含めて分析しなけば、その本当の意味や機能を解読することはできないとのことだ。

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photo by Pixabay

 ミーアキャットにとって仲間と一緒にいることは死活問題で、鳴き声のように、群れから逸れないための複数のメカニズムを進化させたという。


 「1匹になったミーアキャットは、敵に襲われたり、嫌がらせを受けたりする危険が高くなるます。だからミーアキャットはそれはもう懸命に仲間と一緒にいようとします」と、研究チームのブラド・デマルツェフ氏は語っている。

 この研究は『Philosophical Transactions of the Royal Society B』(2024年5月20日付)に掲載された。

References:How Meerkats Communicate: Decoding the Sounds of Survival / written by hiroching / edited by / parumo

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