街路樹や公園の木を意識して眺めるだけでもメンタルヘルスが改善するとする研究結果
 なんだか気分がスッキリしない。そんな時は散歩に出掛けて、木々や緑を眺める良いだろう。
新たな研究によると、たとえ都市の街路樹や公園の木々であっても歩いている時に自然を眺めると、メンタルヘルスが大きく改善するそうだ。

 英国バンガー大学とイスラエル工科大学の研究チームは、アイトラッキング(視線追跡)技術を応用することで、人工物だらけの都市であっても、緑に目を向けるだけで不安が軽減され、リフレッシュできることを明らかにしている。

 落ち込んでいる時は周りにある物が目に入らなくなるが、積極的に今そこにある木々を見つめることで心の健康が整うようだ。

 

都市を歩くときでも積極的に樹木に注目 117人が参加したこの研究では、被験者にアイトラッキング・メガネをつけたまま、都市の街中を45分間散歩してもらった。

 ポイントは散歩中、樹木・植物・芝生・花・人工物といった特定の物に注目するよう、被験者が指示されていたことだ。

 その視線をアイトラッキングによって計測し、彼らがよく眺めていたものと散歩前後の気分の関係を調べてみる。

 すると自然のものに注目していた人は、不安が軽減され、リフレッシュ感があるなど、メンタルヘルスが改善していることがわかったのだ。

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アイトラッキング技術で被験者が見ているものを分析。ヒートマップにはよく見ていた場所がすべて表示される / image credit: Brian Rizowy

 だが、とりわけ効果的だったのは「樹木」だったという。

 バンガー大学のホイットニー・フレミング博士は、「緑をより多く眺めるよう指示された人は、不安が軽減したと述べています。中でも一番効果的だったのが樹木です」と説明する。

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木々をはじめとする自然や緑を眺めるだけで、不安が軽減しリフレッシュすることができることが明らかに / image credit:Brian Rizowy都市づくりに欠かせない緑化計画 この結果は、緑や自然を眺めることとメンタルヘルスの改善とには、強い関係があるだろうことを示している。
少しの時間でいいから自然を眺めれば、それだけで心の健康が整うのだ。

 自然の中を散歩するとストレスが軽減することは以前から知られていたが、都市暮らしではそう簡単に自然と触れ合うことはできない。

 だが、じつは大自然に囲まれるなどという大袈裟なことは必要なく、ただ街路樹を眺めるだけでもよかったのだ。

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緑が多い公園は、散歩コースとしてうってつけだろう / image credit:Brian Rizowy

 この事実は、都市のメンタルヘルスを改善できるわかりやすい指針を示しており、都市計画者や建築家にとっては重要な知見になるはずだ。

 この研究は『People and Nature』(2024年6月4日付)に掲載された。

References:New Study Reveals That Simply Looking at Trees Can Boost Your Mental Health / written by hiroching / edited by / parumo / written by hiroching / edited by / parumo

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