うれしいニュース。スペインオオヤマネコが絶滅の危機から復活
 個体数が激減し、2002年にはわずか62頭しか確認されていなかった野生のスペインオオヤマネコが、20年に及ぶ保護活動が実り、現在は約2000頭に増加した。

 特徴的な尖った耳と顔と足全体にふさふさした毛を持つ、まだら模様のスペインオオヤマネコは、スペインとポルトガルにしか生息していない希少な種だ。


 公共機関、科学研究所、非政府組織、民間企業、地域住民が一丸となって保護、保全活動を行った結果、最近になって国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストが更新され、絶滅危惧種からぎりぎり脱したという。

スペインオオヤマネコとは スペインオオヤマネコ(別名イベリアオオヤマネコ)は、オオヤマネコ属に分類される、特徴的な尖った耳にブチ模様でやせ型の野生のネコ科動物だ。

 体長はおよそ110cm、体重は12kgほど。スペイン南西部の標高1600m以下の低木林に棲み、夜行性でおもにアナウサギなどを獲物にしている。

 夏季は毛色が赤褐色になり、冬は灰色がかった色になる。

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スペインオオヤマネコ / image credit:http://www.lynxexsitu.es / WIKI commons CC BY 3.0 絶滅寸前まで追い込まれた原因 スペインオオヤマネコの数が激減した理由は、彼らのおもなエサであるアナウサギの数が減少したせいだ。

 ウサギは伝染病や農業に与える被害のために駆除されておりその数を減らした。

 スペインオオヤマネコは2002年、62頭にまで減少してしまいかなり深刻な絶滅の危機に追い込まれていった。

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官民一体となった保護、保全活動 スペインオオヤマネコの個体数を回復させるため、まずは生息地の復元が行われ、アナウサギの個体数を回復させた。

 それと並行して繁殖プログラムが行われ、人工的に繁殖させたスペインオオヤマネコは、徐々に生息地へ戻されていった。

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image credit: http://www.lynxexsitu.es WIKI commons CC BY 3.0

 こうした保護、保全活動の結果、スペインオオヤマネコの数も大幅に回復した。

 公的機関、科学機関、NGO、民間企業、地元の地主、農家、狩猟管理人、猟師を含めた地域住民の協力のたまもの
といえよう。


 国際自然保護連合(IUCN)などの団体も協力し、スペインオオヤマネコの数の回復と保護という考えを人々に周知させ、密漁や家畜の被害に対する報復、車による事故など、人災による原因を減らすように努めた。

 2010年以降、400頭以上のスペインオオヤマネコがポルトガルとスペインの一部に再導入され、現在の成獣の数は約648頭に回復し、全体の個体数は約2000頭(子ネコを含む)が3000平方kmの範囲を歩き回っていると推測されている。

 その結果、IUCNレッドリストでは、スペインオオヤマネコは「絶滅危惧種」を脱することができた。だが、数が回復したとはいえ、まだリスクはある。

 山火事やウサギの減少、保護政策の撤回など、突然の脅威はいつ襲ってくるかわからず、完全に安心するわけにはいかないからだ。

 今後も保護、保全活動は継続して行われる予定だ。

References:Iberian Lynx Slinks Back From Brink of Extinction Within Just Two Decades of Conservation / written by konohazuku / edited by / parumo

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