
現代のスパイクシューズのように鋲(びょう)が打ち込まれた靴底しか残っていなかったが、X線で分析したところ、これはローマ兵が着用していたカリガという軍靴であることが判明した。
この珍しい発見は、有名なローマ軍が使用した軍事装備を垣間見る機会となる。こうした頑丈なスパイクサンダルは、荒れ地を進軍する兵士たちの牽引力となったと思われる。
2000年前のローマ軍兵士のスパイク付きサンダル このサンダルは古代ローマの要塞近くの民間集落の井戸から回収された。ドイツ、バイエルン州記念物保存局(BLfD)によると、この集落には西暦60~130年頃に人が住んでいたという。
ローマ軍の兵士が履いていた特殊なサンダル「カリガ(caliga )」は、ヤギ、ヒツジ、牛の皮を何層にも重ねた分厚い靴底に鉄や銅の鋲(びょう)が打ち込まれている。
軍の行進中に履かれ、鋲が滑り止めの役目を果たしていた。また、スコットランドのトリモンティウム博物館によると、カリガは水ぶくれや塹壕足(凍傷のような足の障害)などの症状を防ぐのに役立ったという。
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トリモンティウム博物館にあるカリガのレプリカ / image credit:Caligae : TT collection : replica - Trimontium Museum
足の甲と下腿をしっかりサンダルに固定できるストラップがついていて、安定性と耐久性は確かだったと思われる。
この靴は行進中に履かれ、釘が滑り止めの役目を果たしていた。
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ドイツ、バイエルン州オーバーシュティムで発見された2000年前のカリガの一部 / image credit:Bavarian State Office for Monument Preservation.
BLfDのプレスリリースによると、考古学者らはカリガのほか、食べ物の残り、陶器、鎌、そして「衣装の部品」を集落跡で発見したという。ローマ軍兵士の軍靴の変遷 紀元前27年から紀元476年まで続いたローマ帝国では軍靴のさまざまな変遷があった。
兵士の足を保護する必要性から、紀元1世紀末には爪先が開いたものから、スリッパのように先が閉じているものへと進化した。
BLfDのアミラ・アダイレ氏はこう語る。
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発見されたカリガのX線画像 / image credit:Bavarian State Office for Monument Preservation.
この稀有な発見は、ローマ人がバイエルンに持ち込んだ習慣、生活様式、服飾までもが地元の人々に受け入れられたことを示していますちなみに、悪名高き第3代ローマ皇帝カリギュラは、本名はガイウス・カエサルというが、彼が子どもの頃に履いていた小さなカリガから「カリギュラ」と呼ばれるようになったという。
カリギュラは「小さなブーツ」を意味し、その残忍さで有名な皇帝にしては似つかわしくないあだ名だ。
References:Herzlich willkommen! / Archaeologists Discover a 2,000-year-old Roman Military Sandal with Nails for Traction | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by / parumo
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