ビッグバン直後の初期宇宙で発見された謎めいた明るい物体。現代宇宙論では説明できず科学者が困惑

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 NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡よる最近の発見が天文学者たちを困惑させている。それは、ビッグバンから6億~8億年しか経っていない若い宇宙の中にある、明るい3つの赤い物体だ。

 この3つの物体は銀河だと考えられているが、宇宙最初期のものにしては意外なほど古い。

 にもかわらず、今日の天の川銀河に匹敵する星々を宿しており、その一方で天の川銀河よりも桁外れに大きな超大質量ブラックホールまで抱えている可能性があるという。

 初期の宇宙になぜこのような銀河と超大質量ブラックホールがあるのか? その理由は現代の宇宙モデルではまったく説明がつかないという。

最初期の宇宙で3つの謎の明るい物体を発見

 ビッグバンからわずか6億~8億年後のきわめて初期の宇宙で、謎めいた3つの物体が発見されたと報告されたのは2023年のことだ。

 それらは当初より銀河ではないかと推測されていたが、ペンシルベニア州立大学をはじめとする今回の研究チームは、その正体に迫るべく、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)がとらえていたそれらの光の波長をさらに詳しく分析している。

 その結果によれば、それらは数億年も経過しているある意味とても”古い”銀河であろうという。

 さらに驚くべきことに、そうした銀河の中には、天の川銀河のものより100~1000倍も巨大な超大質量ブラックホールがあるらしいことまでも判明した。

 現代の宇宙論では、銀河とその中心にある超大質量ブラックホールは”何十億年”もかけて一緒に成長すると考えられている。

 なのに、ビッグバン直後のごく初期の宇宙に数億年も経過した古い銀河と怪物のようなブラックホールがあるのはなぜなのか?

 この宇宙論をくつがえす可能性がある謎は、現時点では解明されていない。研究チームのジョエル・レジャ氏は、「非常に混乱します」と話す。

 「現在の宇宙モデルに無理やり当てはめるには、時間の始まりに見たこともないような急激な形成があったと仮定するしかありません」

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考えられる可能性は2つ

 JWSTに搭載された赤外線センサーは、非常に古い星々や銀河の光をとらえることができ、それによって宇宙の始まりに近い135億年前の過去を観察することができる。

 そうした太古の光の分析における難題のひとつは、光を発した天体の種類をなかなか区別できないことだ。

 例えば、今回のものの場合、超大質量ブラックホールと古い星々のどちらの特徴もあって、真の正体ははっきりしない。

 これらの正体として考えられる可能性は2つ。

 1つは、不可解なほど古く、しかも天の川銀河よりも質量の大きな銀河が、現在の宇宙モデルから予測されるよりもずっと早い段階で存在していたという可能性。

 もう1つは、銀河の質量自体はもっと常識的だが、そこに今日の宇宙に存在するものより100~1000倍も大きな超大質量ブラックホールがあるという可能性だ。

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異質な超大質量ブラックホール

 この現代の宇宙論では説明のつかない質量と年齢はさておき、もしも本当に超大質量ブラックホールがあったのだとすれば、それもまた普通の超大質量ブラックホールではない。

 異常なほど紫外線の光子を放っている一方、高温の塵や明るいX線放射など、超大質量ブラックホールの特徴が見られないからだ。

 だが何より研究チームを驚かせているのは、その巨大さだ。レジャ氏は、「通常、超大質量ブラックホールと銀河は一対のものです」と説明する。両者は一緒に成長し、同じような経験をするはずなのだ。

 「ですが、ここでは成熟した大人のブラックホールが、赤ん坊の銀河の中に住んでいます。一緒に成長するはずなので、まったく意味不明です。あるいは私たちの思い込みだったのでしょうか」

 一方で、銀河全体としては信じられないほど小さいことにも、研究チームは困惑している。

 それらの直径はわずか数百光年、つまり天の川銀河の1000分の1程度しかないのだ。なのに、そこにある星の数は天の川銀河に匹敵し、100億から1兆個の星がある。

 仮に天の川銀河をこの古い銀河と同じくらいにまで圧縮したとすると、最寄りの恒星がほぼ太陽系内に収まるくらいにまで接近する。

 26,000光年離れた天の川銀河の超大質量ブラックホール(いて座A*)は26光年まで近づき、地球の空には巨大な光の柱が見えることだろう。

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何もかも不可解で天文学者も困惑

 なぜ、これらの初期の銀河は、これほどまでに密度が高いのか?

 それはわからない。その星々は今の段階では未知の時代に、未知の状況のもと、未知のプロセスによって形成されたに違いない。そしてほんの数十億年ののちに、やはり未知の理由によって星々の誕生は終わってしまった。

 「それは初期宇宙特有のものなのです」とレジャ氏は語る。研究チームはこの謎めいた銀河を今後も観測し続けるとのことだ。

 この研究は『Astrophysical Journal Letters[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ad55f7]』(2024年6月26日付)に掲載された。

References: Phys.org[https://phys.org/news/2024-06-tiny-bright-dawn-universe-baffle.html] / Lifeboat[https://lifeboat.com/blog/2024/07/tiny-bright-objects-discovered-at-dawn-of-universe-baffle-scientists]

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。

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