うれしいニュース!絶滅寸前のアメリカアカオオカミの赤ちゃんが4匹誕生
 アメリカで絶滅寸前のアメリカアカオオカミの赤ちゃんが、なんと4匹も生まれてたそう。

 地元メディアが2024年7月9日に明かした情報によると、ミズーリ州の野生動物保護区のアメリカアカオオカミから今年の春、オッター、モリー、フィン、オビという名前の赤ちゃんが誕生。


 今は親御さんらとともに提携の動物園に移り、みんなすくすく元気に成長中だ。

 どうしたって可愛い盛りだが、実は彼らは動物園が公開する映像でしか見られない。野生に戻すことを念頭にしてるため、人間との接触を最低限にする方針がとられてるからだ。

合わせて4匹!アメリカアカオオカミの赤ちゃんが誕生 先日、イギリスで実に400年以上ぶりにヨーロッパビーバーの赤ちゃんが誕生という吉報をお伝えしたが、アメリカでもうれしいニュースがあった。

 この春、シアーズ・レーマン・ジュニア野生動物保護区で、4匹のアメリカアカオオカミの赤ちゃんが誕生したのだ。

 この保護区は、世界で最も絶滅の危機に瀕しているオオカミ種の保護に専念していることで有名で、ミズーリ州のセントルイス動物園と提携し、アメリカアカオオカミの繁殖プログラムに取り組んでいる。

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 こちらはセントルイス動物園が7月9日に公開した動画。今年6月に健康診断を受けたアメリカアカオオカミの赤ちゃんの様子など。

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Four American red wolf pups born at Saint Louis Zoo reserve

 ちなみに4匹は1つのペアから生まれたのではない。まず4月26日に、母親のラヴァと父親のタイクのペアから、オッター(メス)が誕生。

 その後の5月4日に、母親のレディバードと父親のウィルバーの間に初めての赤ちゃんが3匹も誕生。その3匹の名はモリー(メス)、フィンとオビ(ともにオス)だそう。
絶滅危惧種アメリカアカオオカミ ネコ目(食肉目)イヌ科イヌ属に分類されているアメリカアカオオカミは、アメリカ固有の大型肉食動物だ。

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image credit:Tim Ross, Public domain/wikimedia commons

 体長95cmから130cm、体重18kgから41kgほど。ハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)よりは小さく、同じイヌ属のコヨーテよりは大きめとのこと。

 そうした特徴や2種の分布域が重なること、さらにはコヨーテと過去のタイリクオオカミのDNA分析などから近年ではコヨーテとタイリクオオカミの種間雑種の説もある。

 野性のアメリカアカオオカミはかつて、アメリカの広範囲に生息したが、今はほとんどがノースカロライナ州の保護区で暮らしている。

 アメリカで野生のアメリカアカオオカミの絶滅宣言がなされたのは1980年。それからアメリカの魚類野生生物局が、繁殖プログラムを始動。当時飼育下で繁殖していた14頭のうち10頭をノースカロライナ州の国立保護区に再導入したそうだ。

 それ以後もプログラムは続き、先ほどの保護区に再導入された個体は20頭(2022年時点)と2倍になった。またセントルイス動物園によると、動物園や自然センターなどの人工飼育下ではなんと290頭(2024年時点)まで増えたそう。

 このままいけば魚類野生生物局が目標に掲げる400頭もいずれ叶いそうだ。

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image credit: SARA BURRAN

保護と再導入の努力 動画にもあるように、現在4匹の赤ちゃんオオカミは、広い敷地があるセントルイス動物園で親たちと暮らしている。


 寝床のすみっこに穴を掘って脱走し、親を困らせたりとどう考えてもかわいい盛りの赤ちゃんだが、人間との接触は最低限に抑えらえている。

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 その理由は、この4匹が将来、野生に放たれる可能性があるからだ。そのため野生と近い形で両親からいろいろなスキルを学ぶ必要がある。

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 なので残念ながらこのニュースを知って動物園に行ってもその姿を見ることはできない。

 セントルイス動物園でこのオオカミたちを管理するサバラス・ジョージ氏はこう語る。
アメリカアカオオカミの少なさからしても、彼らの誕生は大きな成果です
 絶滅に瀕した種を救う重要な一歩。こうした努力の継続で、アメリカアカオオカミの数が昔のように増え、また野生で暮らせるようになるといいね。

References:myarklamiss / stlzoo / wikipediaなど /written by D/ edited by parumo

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