1枚岩から削り出された奇跡の地下教会「ラリベラ岩窟教会群」(エチオピア)
 ストーンヘンジからピラミッド、万里の長城まで、世界には有名な古代石造建築物がたくさんあるが、東アフリカ、エチオピアにあるラリベラ岩窟教会群を知っているだろうか?

 12~13世紀に建造されたと推測される、この岩窟教会群はすべて凝灰岩の一枚岩をくり抜いて作られているというのだから驚きだ。これらの教会群はユネスコ世界遺産にも登録されている。

エチオピアとキリスト教の関係 諸説あるが、アフリカ大陸で最初にキリスト教に改宗したのはおそらくかつてアビシニアと呼ばれていたエチオピアだといわれている。

 西暦330年頃、エチオピアのエザナ皇帝はキリスト教を受け入れ、自国はキリスト教国であると宣言した。

 つまり、エチオピアという国は長いことキリスト教になじんできたということだ。見事なキリスト教会がエチオピアにあったとしても、それほど驚くことではない。

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photo by iStock岩を掘り出し教会の建設を命じたザグウェ朝の王 教会の建設を命じたかつてエチオピアにあった王国、ザグウェ朝のゲブレ・マスケル・ラリベラ皇帝は、山肌から直接11以上の教会を削り出させた。

 皇帝は自国に新たなエルサレムを建設したいと考えていたため、それを実現するのに誰も見たことがないような見事な教会を造ることが最善の方法だったのだろう。

 中でもベテ・マドハネ・アレム(救世主聖堂)は、一枚岩をくり抜いて作られた教会として世界最大級のものだ。

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 ベテ・ゴルゴタ(ゴルゴタ聖堂)には、イエスの墓やマリアが出産したかいば桶のレプリカがある。

 保存状態が良くもっとも秀逸なベテ・ギョルギス(聖ゲオルギウス聖堂)はほかの10の教会が完成した後、夢のお告げによって作られ、上から見ると十字架に見えるような造りになっている。

 ラリベラ皇帝の統治は西暦1181年から1221年までだったが、彼の建てた教会は今でも現役だ。

 今や世界遺産となったこの教会群には年間およそ10万人が訪れ、その多くは巡礼者だ。  ラリベラ皇帝は新エルサレムの建設に成功したといっていいだろう。

 とくに信仰のない人たちにとっても、これら見事な建造物は大きな魅力で、地上の建物だけでなく
地下のトンネルなどを探検するために世界中から人が訪れている。

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Rock-Hewn Churches, Lalibela (Ethiopia) ユネスコ世界遺産に登録 1978年にユネスコ世界遺産プロジェクトが始まったとき、ラリベラ岩窟教会群は最初に登録された12の遺跡のうちのひとつとなった。

 それ以来、観光客が増加し、遺跡の侵食、入場料の値上げなどの影響が発生しているが、エチオピアにはこれら教会群を含め、見どころ満載の世界遺産が8つもある。

References:These Ancient Churches in Ethiopia Were Each Carved From a Single Stone | Travel and Exploration | Discovery / Ethiopia’s miraculous underground churches / written by konohazuku / edited by / parumo

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