触るな危険の猛毒植物、ジャイアント・ホグウィードがニューヨーク全域に広がり被害拡大
 カラパイアのご覧のお友達なら知っているだろう。白く可憐な小さな花をつける、ジャイアント・ホグウィードという植物がどんなに恐ろしいものなのかを。


 日本でも見られるセリ科のオオハナウドにちょっと似ているが、強烈な猛毒をもつ、危険極まりない外来植物である。

 もともとはコーカサスと中央アジアが原産だが、現在、この植物はニューヨーク州で全域に広がり、似たような無害の植物と間違えて触ってしまい、被害が拡大中だという。

ジャイアント・ホグウィードが広がった経緯 ジャイアント・ホグウィードは、セリ科の多年生植物で、高さ2m以上になり、白い花が傘状に密集して咲く。

  コーカサス(ロシア、ジョージア、アゼルバイジャン、アルメニアなど)や中央アジア原産だが、19世紀にその危険性が知られないまま観賞用として英国やヨーロッパに持ち込まれた。

 非常に繁殖力が強く、その土地の固有植物を駆逐してあっという間に広がっていく侵略的外来種だ。

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ジャイアント・ホグウィードの危険性 葉、根、茎、花、種(つまりすべて)にたっぷりある樹液には、光線過敏を引き起こすフラノクマリン化合物が含まれている。

 この有機化合物はとくに紫外線の刺激によって、人間の皮膚に深刻な炎症を引き起こす。

 うっかり触れようものなら太陽の有害な光線から皮膚を守るはずの上皮細胞の機能が破壊され、触れた患部は重度の火傷状態となり、48時間以内にひどい水ぶくれができる。

 激痛を伴い、数ヵ月もしくは数年たっても傷跡が消えない。樹液が目に入れば失明することもあるという。

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ニューヨーク全域に広がり問題に 現在、この植物はアメリカ、ニューヨーク州でも問題になりつつある。

 似たような無害の植物と間違えられることが多く、知らずにジャイアント・ホグウィードに触れてしまう被害が続出しているのだ。


 過去5年間で報告されている被害件数はそれほど多くないが、それは、この植物に対する知識がないからで、氷山の一角ではないかと考えられる。

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 ニューヨーク中部のシラキュースに住むパトリック・ジョーンズ氏(33)は、去年の7月カスミソウに似た白い小さな花をつけている植物の草刈りをしていた。

 30分後、彼は皮膚に痒みを感じ、熱をもっているのに気がついたが、ただ軟膏を塗っただけで放置した。

 だが、週明けには事態はさらに悪化した。痒み、痛みは収まるどころか患部は重度の火傷のようになってしまい、膿疱や水泡ができてそれが破れ、それはひどい傷になってしまったのだ。あれから1年たっても、傷痕は残ったままだ。

 ジャイアント・ホグウィードがニューヨークで普及したのは、1900年代始めに可憐な花を売りにした園芸センターが無防備に販売したせいだ。

 現在、この有害植物はニューヨーク62郡のうち9郡を除くすべての郡に存在していて、その勢力を広げているという。

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 治療法は、基本的に火傷の対処法と同じで、すぐに患部を水で洗い、日の光にさらさないことだ。患部が広範囲な場合は救急車を呼んだほうがいい。

 今のところ日本にはまだ入ってきていないようだが、今後のことはわからない。ということで、あらかじめ知識だけは入れておこう。


 オオハナウドだと思って触ったら、とんでもなく痛くて手が腫れあがったら、それはジャイアント・ホグウィードの可能性があるのだ。

 オオハナウドはこんな植物。似てるだろ、ジャイアント・ホグウィードに。

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オオハナウド / image credit:iStock
References:Giant Hogweed can cause third-degree burns -- and it's all over New York / written by konohazuku / edited by / parumo

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