
砂の中を泳ぐ魚?そんなのはおとぎ話か都市伝説にしか登場しないと思っていたら、なんと現実に存在していたらしい。
しかもそれ、魚じゃなくてトカゲなんだ。
動きはとても素早いのだが、うまくやれば素手で捕まえちゃったりできるのだ。そんな「サンドフィッシュの捕まえ方」がSNSで話題になっていた。
「砂の中を泳ぐ魚」ゲットだぜ!
砂の上に残された足跡をたどって、おもむろにがっしがっしと砂を掘り始める男性。
来ている服から、サウジアラビアあたりで撮影されたと思われるのだが、動画には撮影場所や日時については説明がない。
とにかく素手でどんどん掘り続ける。
すると砂からヒョイッと飛び出して来た生き物が!
これがその動画である。
投稿されたのは2025年6月1日だが、実際には2023年以前の映像らしい。どんな生き物なのか見てみよう。
サンドフィッシュは砂の中を泳いでいる
実はこれ、「サンドフィッシュスキンク(学名:Scincus)[https://en.wikipedia.org/wiki/Scincus_scincus]」と呼ばれるトカゲの仲間なのである。現在5種が確認されている。
身体のサイズは、尻尾の先まで含めてだいたい20cm程度。アフリカの西海岸からサハラ砂漠、さらにはアラビア半島にかけての砂漠地帯に生息している。
尖った鼻先と流線型の身体が特徴で、砂の中を「泳ぐ」のに適した身体つきなんだ。
男性が捕まえたのはまだ小さい子供のようだ。
昼行性だが、活動時間は主に涼しい朝や夕方。この時間になると砂の中を泳ぎながら、虫なんかを捕まえて食べているらしい。
彼らは砂の中をどうやって動いているのか、本当に魚のように泳いでいるのだろうか。
研究者がX線を使って調べたところ、足をじたばたさせて移動しているのではなく、魚が水の中を泳ぐように、体をくねらせて確かに「泳いで」いることが確認されたのだそうだ。
最近ではこのサンドフィッシュの動きをロボットに模倣させ、ロボット工学に応用し様という研究もあるという。
イスラム圏では幸運をもたらすトカゲ
この男性、ゲットに成功したのがよほどうれしかったのか、サンドフィッシュに思わずキスしている。
実は、アルジェリアやアラビア半島の砂漠地帯などのイスラム圏で、サンドフィッシュは大切にされている。
砂の中に素早く潜り、捕食者や危険を避ける姿が、古くから、砂漠で生き抜く知恵や災厄を遠ざける象徴とされてきたのだ。
このトカゲはイスラム文化圏の民間伝承や遊牧民の信仰の中で、縁起の良い存在として語り継がれ、守護の象徴とされている。
こうした理由から、ペットとして飼われることもあり、砂漠の暮らしに寄り添う動物として今も人々に親しまれている。
この男性は捕まえた後、やさしくキスして元の場所に戻してあげた。
この動画を見た視聴者からは20万件もの「いいね!」と、「何じゃこりゃ」といった感想がたくさん寄せられている。
- ちょっとかわいい
- 彼がキスした気持ち、なんかわかる。私でも我慢できなかったと思う
- あの砂泳ぎに特化した、アヒルのクチバシみたいな鼻先も含めて、フォルムが完璧すぎて好き
- 砂の中でどうやって呼吸してるの?
- 砂粒の隙間にある空気を吸ってるんだよ。特別な構造の呼吸器官があって、吸い込んだ砂粒は肺に届く前にキャッチされて、くしゃみで排出されるの
- 砂の中に住む動物は、体内に砂が入らないような仕組みを持ってることが多いよ。この子も、きっと鼻の穴がすごく小さいんじゃないかな
- この男性、最後のほうで「スブハーンアッラー」って言ってたね。これは感動したときによく使うイスラムの表現で、「神に栄光あれ」って意味なんだ。手の中の生き物を愛おしそうにしてて、すごく素敵だった
- 私も気づいた! 言葉はほとんどわからないけど、「アッラー」って聞こえて、その言い方で全部伝わった気がした。あの愛情と感動が、見てて胸いっぱいになるよね
- 20年間動物動画見続けてきたのに、サンドフィッシュなんて今まで聞いたことなかったわ
- なんで膝をついて真っ白な服で砂掘ってるのに、全然汚れてないの? うちの娘に白いTシャツ着せて、ホコリひとつない部屋で遊ばせても5分で汚れるのに
- 砂漠の砂って乾いてて軽くて柔らかいからね。水分がないと、生地にほとんどくっつかない
- あんな真っ白な服であそこまでできるのが不思議。アメリカでは砂を見ただけで服にシミができるのに
- 昔サハラをバックパックで旅したことがあるけど、あそこは「砂」っていうより「粉塵」に近い。とにかく細かくて、どこにでも入り込むんだ
- 最初の1分間の砂をすくうシーン、全部カットしても困らなかったと思うよ
- なんでみんなこれを普通に受け止めてるの? 足が生えた魚が砂の中を泳いでるんだよ!?
- 最後にちゃんと元の場所に戻してくれてよかったよ。
自然を大切にして、すべての命が平和に生きられるようにしたいね- 砂のイルカだ!
- 小さな彼ってば、砂から引きずり出されてキスされてまた砂に戻されて…。こんな冒険、きっと仲間にも信じてもらえないんじゃない?
- 不毛の砂漠に生き物なんていないって思うかもしれないけど、実は奇妙で素晴らしい生き物たちが確かに存在しているんだよ
珍しいサンドフィッシュの姿に興奮する人も多かったが、男性の真っ白い服が全然汚れていないことに驚く人がいっぱいいた印象。
また、コメント欄には中東と思われる人たちが、このトカゲの現地語の名前をいろいろ挙げてくれていた。国や地域によって、いろいろな名前で呼ばれて親しまれているみたいだ。
- イラクでは「ウンム・スライマーン」と呼ばれているよ
- リビアでも「ウンム・スライマーン」だね
- イエメンでは「ザハル」って言うんだ
- 私たちは「ウンム・サーレハ」って呼んでたな
- こっちでは「ナディーサ」かな
- うちのほうでは「ナードゥース」だと思う。毒があるって怖がられてる
- アル=アハサー地方では「サハリヤ」って言うよ
- 俺たちは「ダムーサ」って呼んでるんだ。俺の最初のペットだったよ
このサンドフィッシュ、意外と簡単に捕まえられるらしく、探すと「捕まえた!」的な動画がけっこうでてくる。
下はTikTokで230万回の再生数を叩き出している動画。砂の上をダッシュしてから、思い出したようにダイブして潜って逃げて行くのが可愛い。
ちなみにこのサンドフィッシュスキンク、日本でもペットとしてひそかな人気で、ショップでは野生個体を見かけることも。
基本的にフトアゴちゃんと同じような環境で飼育できるし、砂を敷いてやれば潜ったり泳いだりもする。
でもさすがに狭いケージの中では、こんな風にダイナミックに泳ぐ姿は見られないんだよね。
アラブ首長国連邦の砂漠で暮らすユーチューバー、はなももさんもこのトカゲを捕まえる動画を投稿している。
砂漠の生き物やにゃんこや鳩も登場するので、よかったらぜひ見てみてほしい。