路上を走るUFO?1960年代に実際に製造されていた世界最小クラスの三輪自動車
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 UFOのおもちゃ風でもきちんと走る。レトロフューチャーのアイコンみたいなコンパクトカー、トライデント(Trident)をご存じだろうか?

 透明なドーム状のルーフ部分とミニマルボディが印象的なトライデントは、宇宙開発競争の初期にあたる1960年代のわずかな期間、マン島で製造された世界最小クラスの三輪自動車だ。

 全長1.85 mのフォトジェニックなデザインと最高45 km/hの走行性能で、当時の都市交通に一大ブームを巻き起こした。

 2025年は記念すべき60周年。今でも熱狂的なファンを抱えるトライデントにせまっていこう。

UFO風でコンパクトな三輪自動車トライデント

 UFOのおもちゃみたいな トライデント(Trident)は2人乗りのコンパクトカー。およそ60年前の英国王室属領マン島で誕生した。

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 1965から1966年にかけて、マン島を拠点とする自動車メーカー、ピール・エンジニアリングに製造された三輪自動車だ。

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 特に目を引く特長は、一般的な車のルーフの代わりに、透明なドーム状のバブルキャノピー(風防)があるところ。

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 今の感覚ならレトロなUFOっぽいフォルムだが、当時は有人飛行を皮切りに宇宙開発が盛んに行われた60年代。つまり当時は来たる宇宙時代を象徴する”未来の車”だったのだ。

世界最小クラス!地上を走る空飛ぶ円盤

 「地上を走る空飛ぶ円盤」の愛称をもつトライデントのスペックはざっと以下のとおり。

 製造期間:1965-1966年
 生産台数:45台(80台とも)
 乗車定員:2人乗り
 エンジン:49 cc(後に一部 99 cc)
 最高速度:45 km/h
 全長:約1.85 m
 全幅:約0.99 m
 車重:約150 kg

 ルーフを兼ねたバブルキャノピーはグラスファイバー製。さらに驚くことにドアもなく、代わりに車体の上部を跳ね上げて乗り込むというこれまた変わったものだった。

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 見ての通りの小型だが、なんと同じピール・エンジニアリング社がちょっと早くにさらに小さな車を製造していた。

 それは1962年から1965年にかけ生産されたトライデントの兄貴分「P50」で、量産車としては世界最小のギネス世界記録に認定されている。

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 ちなみにP50は全長1.37 m、全幅0.99m、車重59 kgで、”大人1人と買い物袋1つ”用という小ささ。

 形はちょっと違うけど、後で登場したトライデントはP50を少しだけ広くした進化版とのこと。

車内が暑くても根強い人気!魅力あふれる稀有な車

 すでにお気づきの人もいそうだが、トライデントにはドライバーにとって悩ましい問題点もあった。

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 実は最大の魅力であるキャノピー部分は、見た目クールでも換気のことはほとんど無視した設計だった。

 前方の小窓を開けても風の抜け道がなく、晴天時には車内がオーブンのように高温になったそう。

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 それでもこの車を愛してやまないマニアは多く、P50とともに、現存する初代の車を得意げに乗りこなすオーナーの集いもあったり。

 P50の約60周年の節目だった2024年にも愛好家たちが盛大に楽しんでいたもよう。

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 そしてトライデントの60周年にあたる2025年、「宇宙時代の夢を描く小さな車」として注目を集めている。

 なお2011年からはトライデントとP50の生産が再開し、ガソリン車だけでなくEV(電気自動車)バージョンも製造されてるそう。

 トライデントのコンパクトで個性的な設計は、60年前の人々にとって宇宙時代や未来を想起させただけでなく、現代においては、都市の悩みの種になってる渋滞や駐車問題の解消にも役立ちそうな小型コンセプトカーにも見える。

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 製造から長らく経っても、色あせない魅力と一歩先ゆく先進性の両方をキープするトライデントは世界でも稀有な車といえそうだ。

References: Designyoutrust[https://designyoutrust.com/2025/07/stunning-photos-of-peel-trident-the-tiny-car-with-a-space-age-dream/] / Lanemotormuseum[https://www.lanemotormuseum.org/collection/cars/item/peel-trident-1965/] / Vintag.es[https://www.vintag.es/2025/06/peel-trident.html]

本記事は、海外の情報を基に、日本の読者向けにわかりやすく編集しています。

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