自分の死後、愛猫を可愛がってくれる人に全財産を残したいと申し出た中国の高齢男性
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 中国に住む82歳の男性が、愛猫の世話をしてくれる人に全財産を遺贈すると述べて話題になっている。

 保護猫と2人暮らしをしているこの男性は、自分が死んだあとの愛猫の行く末を心配し、きちんと世話をしてくれる人に財産を譲りたいと語っているそうだ。

 ペットの幸せを願う気持ちには多くの共感が寄せられたものの、「世の中には悪い人もいる。もし虐待されたら?」という心配の声も上がっている。

愛猫の世話をしてくれる人に全財産を譲りたい

 広東省に住む龍さんという82歳の男性は、10年前に妻を亡くして以来、子供もいない孤独な生活を送って来た。

 そんな龍さんの暮らしが一変したのは、2022年のある雨の日、4匹の野良猫を拾ったのがきっかけだった。

 野良猫は母猫とその子猫3匹で、龍さんは子猫たちはそれぞれ里子に出したが、母猫は「シャンバ」という名前をつけて自分で飼うことにした。

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 だが80歳を過ぎると、自分がいなくなった後の愛猫の行く末が心配で心配でたまらなくなった。

 そこで龍さんは、シャンバを託せる人を探すことにした。単に譲渡しようというのではない。彼は自分の全財産を、シャンバを引き取り、生涯かわいがってくれる人に譲りたいと言い出したのだ。

いまだ希望者は現れず…

 龍さんの全財産には、預金だけではなくマンションなども含まれているという。だが2025年7月現在、シャンバを引き取ろうという人は現れていないらしい。

 ネット上ではその理由について、さまざまな憶測が飛び交っている。

  • 誰も申し出を受けないのだとしたら、それは本当に猫を愛していないか、おじいさんの条件が厳しすぎるかのどちらかだろうな
  • おじいさんは財産を譲るつもりかもしれないけれど、その申し出を受けた人は、相続の権利を主張する親族から訴えられる可能性もあるよね
  • 私はお金なんかいらないから、その猫を引き取りたいわ
  • 私も引き取りたい。実は、同じことを考えたことがあるの。
    私自身も、自分の猫を安心して託せる人がいないから。だから、お金を一緒に託すのが一番いい方法だと思う。猫を負担に思ってほしくないから

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中国のペットに関する法整備

 多くの人が危惧しているのは、誰かがうまいことを言って財産だけをせしめた後、シャンバがどうなるか保証はないという点だ。

 実は中国には、ペットへの虐待を明確に禁止する、全国レベルのきちんとした法律がまだ存在していない。

 家畜や実験動物に関しては、衛生・検疫といった観点から管理する法律はあるのだが、海外や日本の動物愛護管理法に相当するような法律は、深セン市などごく一部の自治体で、条例として導入されているだけなのである。

 2025年の「中国ペット産業白書[https://www.doukecatlitter.com/news_detail/china-pet-industry-white-paper-2025.html?utm_source=chatgpt.com]」によると、都市部を中心に犬と猫の飼育頭数は1億2,411万匹と、2023年より2.1%増加している。内訳は犬が5,258万匹、猫が7,153万匹とのこと。

 近年、中国でもペットを飼う家庭が爆発的に増えており、法整備が追い付いていないのが現状だ。一応草案はあるようなので、できるだけ早く施行されてほしいものである。

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他人事じゃない、自分がいなくなった後のペットの心配

 また、遺産を譲るという点に関しては、2021年に施行された中国民法典により、不動産(土地以外)を含めた財産を、遺言によって誰かに贈与することは認められているとのこと。

 ただし、中国では猫に遺産を遺すことはできないので、個人あるいは法人や国家機関に贈与することになる。

 超高齢化・少子化が進む日本においても、自分が死んだあと、ペットが幸せに暮らせるかを心配する人はきっと多いのではないだろうか。

 一緒にペットを可愛がってきた家族や、信頼できる相手がいるならともかく、そうでなければ龍さんのように財産を譲ってでも…と思う人もいるだろう。

 だが、全財産を渡したからといって、その人が本当にきちんと愛情をかけて世話をしてくれるかどうかの保証はどこにもないわけだ。

 一方で、お金なんかいらないから、その猫が旅立つまでしっかりとお世話をして愛情を注ぎたい人だって存在する。

 今後のシャンバの引き取り先が無事に決まることを祈りたい。

 海外では、高齢者の猫を引き取って最後まで面倒を見てくれる有料の保護施設なんかも存在しており、日本も追随している。

 そういった施設か、もしくは本当に猫が好き、特に高齢の猫が好きという人が、餌代、飼育代くらいをいただいて引き取ってくれるといいのだが。

References: Cat-loving Chinese man, 82, plans to leave feline his inheritance, seeks dependable carer[https://www.scmp.com/news/people-culture/trending-china/article/3315961/cat-loving-chinese-man-82-plans-leave-feline-his-inheritance-seeks-dependable-carer?module=top_story&pgtype=section]

本記事は、海外で報じられた情報を基に、日本の読者に理解しやすい形で編集・解説しています。

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