
アメリカ・フロリダ州のタラハシー自然史博物館で暮らすアルマジロのチップが、子ども用プールで楽しそうに遊ぶ姿がSNSで注目を集めている。
アルマジロのかわいさは前から知っていたが、無邪気にはしゃぐチップの姿は、モフモフじゃなくても動物はみなかわいいってことを思い知らさせてくれるんだ。
噴水のように降り注ぐ水を受け止めようとしたり、プールの中でごきげんなチップの様子は、何度でも再生して永遠に見てられそう。
水遊びを楽しむアルマジロのチップ
フロリダ州のタラハシーにあるタラハシー博物館[https://tallahasseemuseum.org/]は、地元の自然や文化、野生動物を保護・展示している屋外型の施設だ。
この博物館で飼育されているココノオビアルマジロの「チップ(Chip)」はこの日、子供用のプールを独り占めし、水遊びを楽しんでいた。
二足立ちになってシャワーのように降り注ぐ水を受け止めようとしたり、スイスイ泳いでみたりと、おおはしゃぎだ。
リズムをとっているように動く姿に、「まるで踊っているみたいだ」といったコメントも寄せられている。
飼育動物たちの心身の健康を保つ「エンリッチメント」
チップの姿は人間から見るとただただかわいいだけだが、実はこのプール遊びには大切な役割があるという。
動物の本来の行動を引き出し、心身の健康を保つための「エンリッチメント(Enrichment)」という取り組みの一環なのだという。
エンリッチメントとは、飼育動物に対して、野生に近い環境や刺激を与えることで、自然な行動を引き出し、退屈やストレスを軽減する手法である。
チップにとってこの水遊びは、野生下での採食行動や泥浴びなどに似た行動を再現する手段となっている。
博物館の職員によれば、この活動は動物の福祉向上に欠かせないものであり、特にチップのような好奇心旺盛な個体にとっては大きな刺激になるという。
タラハシー博物館では、フロリダ大学やフロリダ州立大などと連携し、学生のインターンプログラムを通じて実践的な動物福祉の学びを提供している。
今回のエンリッチメント活動にも、フロリダ大学農業・生命科学部のインターン、ダナ・キンタリャ氏が参加し、プログラムの実施をサポートしたそうだ。
単なる飼育展示にとどまらず、教育と保護を両立させる取り組みが日々行われているのがこの博物館の特徴だ。
ココノオビアルマジロとは?
チップはココノオビアルマジロ(学名:Dasypus novemcinctus)という種だ。
北アメリカから中南米にかけて。アルマジロ科で最も広範囲に生息している種で、フロリダやテキサスなどアメリカ南部でよく見られる。
体長は約60cm、体重は4~8kg程度。
背中には名前の由来にもなった「9つの帯状の装甲板(帯)」があり、捕食者から身を守る役目を果たしている。
夜行性で、日中は地面に掘った巣穴で休み、夜になるとミミズや昆虫、小動物、植物の根などを探して活動する。
前足の爪は非常に発達しており、地面を掘るのが得意だ。また意外にも泳ぎが得意で、水場では肺に空気をためて浮力を保ちながら移動する能力がある。
単独行動を好み、子育ても基本的に母親のみで行う。都市近郊にも順応しやすく、野生動物の中でも人間の生活環境に適応しやすい種とされている。