
グリーンランド西部沿岸の小さな村イナーソイットに、まるで映画のワンシーンのような光景が広がっている。かつてタイタニック号が衝突したレベルの巨大氷山が接近しているのだ。
もともと沖合を漂流していたこの氷山は、一度は村から遠ざかったものの、2025年7月7日(月)に再び港の目前まで戻り、その場に停滞し続けており、衝突や崩壊のリスクが高まっている。
地元当局は警報を出し、住民に最大限の警戒を求めている。氷山がもし崩壊すれば、大量の氷塊が海へ落下し、高波が発生し、村の沿岸部に被害をもたらす恐れがあるという。
村の目前に迫る巨大な氷山
北極圏に位置するグリーンランド西部沿岸、アヴァンナータ自治体に属する小さな漁村、ナーソイット村に、再び巨大な氷山が接近している。
この氷山は数週間前から沖合をゆっくり移動していたが、いったん視界から遠ざかったのち、2025年7月7日に再び村の港近くまで戻ってきた。それ以来、ほとんど動きを見せず、港にぴたりと停滞したままだ。
当局によれば、氷山の規模は1912年にタイタニック号が衝突した氷山と同等の大きさとされている。万が一接触すれば、住宅やインフラに深刻な損害が及ぶ可能性があるという。
氷山の崩壊で「津波級の高波」を引き起こす恐れ
氷山とは、氷河や氷床から海に崩れ落ちた巨大な氷の塊のことだ。
水面下に約90%が沈んでおり、風や潮流によって数百kmにわたり漂流することがある。崩壊時には巨大な氷塊が落下する。
今回の氷山が特に警戒されている理由は高波の発生リスクにある。
もし巨大な氷塊が海面に落下すれば、その衝撃で波が発生し、港周辺や低地の建物が流されるおそれがあると専門家は指摘する。
アヴァンナータ自治体はすでに警報を出し、住民に以下のような注意を呼びかけている。
- 商店への移動は家族や集団を避け、少人数または個別で行動すること
- 高齢者や足腰の弱い人は特に慎重に行動すること
- ボートでの移動は往復とも最大限の警戒が必要であること
また、緊急対応チームが24時間体制で氷山の監視にあたっており、崩壊など万が一の事態に備えている。
魚工場と商店が一時閉鎖、生活に影響も広がる
村の主な産業である魚工場と、唯一の商店はすでに一時的に閉鎖されている。
これは住民の安全確保を最優先とする措置であり、村の経済や日常生活にも少なからぬ影響が出ている。
住民の反応は一様ではない。危険を感じて不安を抱える人が多い一方で、自然の壮大な現象を間近で見られる滅多にない機会と興奮を抑えきれない人もいるという。
北極圏で氷山と共に生きる村の現実
イナーソイットでは、過去にも同様の事態が起きている。
2018年にも巨大氷山が村の港に接近し、住民は一時的に高台へ避難を余儀なくされた。その氷山は推定11トンもの重さがあり、宇宙からも視認できるほどの規模だったという。
その時は数日間続いた強風が氷山を沖へと押し戻し、最終的に大きな被害は出ずに済んだ。
しかし、今回の氷山は風にも流されず村の近くにとどまっているため、前回とは異なる対応が求められている。
気候変動の影響で、グリーンランド周辺の氷山の動きや規模は年々変化しており、今後このような事態がさらに頻発する可能性もある。
イナーソイットの人々は、自然と隣り合わせの暮らしの中で、冷静に、しかし確実に危険に備えている。
氷山はいつ崩れるかわからないが、その存在は村の人々に静かな緊張感を与え続けている。
References: Wiadomosci.wp.pl[https://wiadomosci.wp.pl/niecodzienne-ostrzezenie-gora-lodowa-dryfuje-w-strone-przetworni-ryb-7176896096586688a] / Mammoth iceberg on collision course with Greenland village is suddenly standing still. Will it float away?[https://www.wionews.com/trending/greenland-island-village-innaarsuit-collision-with-huge-iceberg-1752298793945]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。