
玄関前に毎日のように届く、まったく身に覚えのないAmazonのダンボール箱。それが1年も続けば、誰でも精神的にまいってしまうだろう。
アメリカ・カリフォルニア州の女性ケイさん(仮名)は、まさにそんな「ダンボール地獄」を経験した一人だ。
きっかけは1年前、Amazonから突然届いた身に覚えのない大型の荷物だ。それ以降、次々と荷物が届きその数は数百個以上。車庫や私道までダンボールがあふれることになった。
調べたところ、荷物の中身はすべて、中国業者がAmazonで販売していた車のシートカバーだった。
なぜ無関係の彼女のもとに届くのか? いくらAmazonに訴えても解決せず、絶望の日々が続いた。だが2025年7月、事態は意外なかたちで急展開を迎える。
1年以上も身に覚えのないAmazonの荷物が押し寄せる
この被害に遭ったのは、カリフォルニア州サンノゼ在住のケイさん(匿名)。
彼女は2025年7月まで、1年以上にわたり、身に覚えのないAmazonの荷物に悩まされ続けた。
この出来事は、始まってまもないころから地元メディアABC7で取り上げられ、ケイさんも取材にこう語っていた。
始まりは1つの荷物でした。「印刷されてる住所はここだけど、私のものじゃない」と思って、隣人に聞いても誰にも心当たりがなかったんです
実はそれは返品物で、ケイさんとは無関係のもの。だが恐ろしいことに返品の宛先ラベルに無断で彼女の住所が使われていた。
それが最初で最後のことだったらまだよかったのだが、ケイさんの場合はこれが「地獄の始まり」だった。
やがて荷物は毎月、時には1日に数個も大型ダンボールで届くように。受取を拒否しても配達員は再配達を繰り返すため、減ることはない。
あふれた荷物が玄関から私道も塞ぎ、地域の郵便配達員も手を焼く事態となっていた。
中身は全部同じ!中国の出品者の返品物だった
後にわかったことだが、届くのはすべて同じブランドの商品。中国製の合皮でできた車のシートカバーだった。
その品はAmazonが販売する品ではなく、中国を拠点とする販売業者が、Amazonマーケットプレイスで出品していたものだった。
その製品説明には「幅広い車種に対応」とあるものの、実際はほとんどの車に合わず、購入者が返品を余儀なくされる悪質なもの。出品者レビューには「返品費用が高い」「返金できない!」といった苦情が溢れていた。
こういうのはいざ返品となると、購入価格の半分以上も送料がかかったりして、返金もしてもらえないんですよ! (ケイさん)
この販売業者に連絡を取る手段はない。もちろんネット上にも情報などなく、購入者は自腹で返品するか、泣き寝入りするほかなかった。
Amazonに解決を迫るも具体的な回答なし
ABC7の過去の取材では、荷物が大量に積まれたケイさんの自宅前の様子など、深刻な状況もとらえていた。
さらに同局番組では、Amazonに対し、この問題の解決への取り組みや、実体がないような怪しいマーケット出品者の審査の有無まで尋ねた。
これについてAmazonは、直接の回答をはぐらかすようにこう応じていた。
この問題を報告してくださったのABC7の皆さんに感謝します。お客様には謝罪し、荷物の受け取りについても直接お客様と協力し、この問題の恒久的な解決に向けて取り組んでいます
6回も苦情を出すも荷物は止まらず
だがその返答に反し、荷物はその後も届き続けた。
無関係にもかかわらず、返品ポリシー違反と見られる海外の販売業者に苦しめられたケイさんは、この1年の間にAmazonに6回もの苦情を出した。
経緯は以下のようなものだが、他にも、Amazonへの連絡は数えきれないほどしたという。
最初の配送:およそ1年前最初の大型パッケージが配達される。当時は中身は不明のまま、謎の1箱として届く
Amazonが“自己解決”を提案:2025年の6月までの間に、担当者がケイさんに、その荷物を「寄付する・友人にあげる・USPS/FedExへ持ち込む」など、自身で処理するよう言及」(※後にAmazonはこの提案を否定)
しかしAmazonは、毎回ケイさんに「今後はお客様のところにそのような荷物は絶対に届かないようにいたします。24時間か48時間以内にまた連絡しますから…」と繰り返し応じていた。
1度だけ、100ドル(約1万5000円)のギフトカードの提案があったが、状況は変わらず。一向に届く荷物そのものをどうこうすることはなかった。
Amazonが突如動いてすべての荷物を回収
ところが膠着していた事態が、2025年7月8日を機に一変。
なんと、Amazonが動き出し、溜まっていた荷物の回収、さらに公式声明まで出したのだ。
その日の朝からAmazon社の代表およびスタッフらが、ケイさん宅を訪問。スタッフが車庫や玄関前まで積んでいたすべての荷物の回収にかかった。
山積みのダンボールがただちに片付けられ、ケイさんのもとにも「再発防止策を断行する」という再度の謝罪連絡が入ったという。
それからまもなくAmazonは「お客様に謝罪し、残る荷物の回収に直接対応、恒久的な解決策を講じます」という新たな公式声明まで発表した。
地獄の1年からついに解放され涙
一連のトラブルが突如として終息を迎え、改めての取材で、ケイさんは「1年越しにようやく救われた」と語っている。
これまで自分と母親をさいなんできた大量の荷物から解放されることとなった彼女は、過酷な1年をこう振り返っていた。
なぜ車のシートカバーが詰まった大きな箱が、何十個も自宅の玄関先に届き続けるんでしょう?しかもそれが止まらないんです
Amazonからは毎回「24~48時間以内に対応し、再発防止を約束します」という返事だけはありましたが、荷物は変わらず届き続けました
家に帰っても玄関前が荷物だらけで、高齢の母も出入りもできなくなっていました。本当にもう、地獄でした
皆さんが私たちのために訪れてくれて本当に感謝しています。私が連絡したとき、真剣に受け止めて返事をくれたことに涙が出ました。ここ1年間、誰かに話を聞いてもらおうと必死でしたから
連絡先や返品ポリシー、レビューをチェックし悪質な出品者に注意
ケイさんの件は完全な巻き込まれ型でAmazonの対応も、もっと早くなんとかしてあげて!って感じのまさに気の毒な事案だが、悪質な出品者かどうかの判断材料としては以下のようなものがあげられる。
- 所在地や連絡先の確認
- 返品ポリシー(返品手段の有無・返品条件・返送先・送料)
- レビューの中身の吟味。極端な高評価と低評価に要注意
にしても根本的な対策が欲しいところ。ネットでのお買い物が増え、実店舗が消えてゆく中、購入者が安心して買い物できる環境を整えるのが急務と思うんだけど、そのへんどうなのかな。
References: Upi.com[https://www.upi.com/Odd_News/2025/07/11/unwanted-Amazon-packages-San-Jose-California/1801752255748/] / Abc7news
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。