
2025年6月6月27日の午後、アメリカ・ミシガン州デトロイトの上空を飛ぶヘリコプターから、約5,000ドル(約74万円)もの現金とバラの花びらが撒かれるという、前代未聞の出来事が起きた。
通行人の頭上に突然降ってきた紙幣の雨は、この地の住人だったある男性の遺志を形にした追悼イベントだったという。
アルツハイマーと闘った故人の「最期の願い」は、街に驚きと感動、そしてちょっとした混乱をもたらすことになった。
デトロイトの街角に現金とバラの花びらの雨が降り注ぐ
この日の午後1時頃、デトロイトのグラティオット通りとコナー通りの交差点付近をホバリングしていたヘリコプターから、突然、現金約5,000ドルとバラの花びらが撒かれた。
多くの通行人が突然の「紙幣の雨」に驚き、スマートフォンで撮影する人、実際に紙幣を拾う人で通りは一時騒然となった。
近くのレストランで働くアナヤ・トニーさんは、ちょうど出勤してきたときに、空からドル紙幣が落ちてくるのを目撃した。
本当にたくさんの人がいて、その光景はちょっとクレイジーでした。この辺りではグラティオット通りは6車線あるのですが、すべての交通が数分間ストップしたんです。
みんな車から降りてきて、舞い落ちてくる紙幣に向かって走り出しました
グラティオット通りにあるオイル交換サービスairport express lube & serviceで働くリサ・ナイフさんによると、道路は30分にわたって閉鎖されたそうだ。
みんな、少しずつもらっていました。ケンカや争いは一切ありませんでした。本当に美しい光景でした
アルツハイマーで亡くなった住人の遺志を遺族が実現
これは6月中旬に58歳で亡くなった、デトロイト出身のダレル・トーマス氏の遺志によるもので、葬儀当日、息子たちによって手配されたヘリコプターが街の上空を飛び、ダレルさんの遺言を果たすことになったのだ。
ダレルさんは東デトロイトで洗車場を経営していた実業家で、レーシングドライバーでもあった。
ボランティア精神と地域貢献で高い評価を受け、地元では「プラント」という愛称で親しまれていたという。
だが彼は若年性のアルツハイマー病にかかり、亡くなるまで闘病を続けていたのだそうだ。
この出来事はニュースやSNSで広く知られるようになり、多くの人々からコメントが寄せられていた。
- とても感動的だ。最後の瞬間でさえ、周囲の人を助けようとしていた。こういう話は、本当の優しさを思い出させてくれる
- こういうの大好き! 遺志を実行した子供たちに拍手! 私だったら「遺言書の一ページが足りなくて見つからなかった」って言い訳しちゃうかも
- マジで伝説だよ。安らかに眠ってくれ
- これって法律的にはどうなんだろう? 一方で最高だと思うけど、他方でめちゃくちゃなポイ捨てじゃない?
- バラとお金だよ!あの通りなんて1時間以内にピカピカになりそう
- デトロイトでは、この夏ずっと人々がそのお金を探して集まるだろうね。文字通り、木に登ったり、1ドル残らず拾ったりするはず
- もし自分の美しく整えた庭に、誰かが金くずをばら撒き始めたら…怒るかな?
- お金はあの世に持っていけないんだから、人を喜ばせて何が悪い?
- たくさんの見知らぬ人を少しだけ幸せにするより、数人の大切な人を一生楽しく自由に過ごせるようにしたほうがいいよ
- 58歳でアルツハイマーって……。マジかよ、お気の毒すぎる
- アルツハイマーや他の神経疾患には、もっと資金が必要。あれは本当に恐ろしい病気だよ
- これぞ「レガシー」ってやつだね。単なるお別れじゃなくて、地域への最後の愛の行動。どうか安らかに……
- でも、場所を間違えたら取り合いで死人が出るかもよ
- デトロイトだし、消防車の装備まで盗まれるような街だしね
- 今まで見た中で一番クールで、同時にクレイジーな出来事かもしれない。この男性、本当に素晴らしい地域貢献をしたと思う
- 私はダレルさんに直接会ったことはないけれど、彼の姉妹と一緒に働いたことがあって、彼女から本当に素敵な話をたくさん聞かせてもらいました。もう彼が苦しんでいないことに感謝しています
- もし彼がそのお金を使って、地域の人たちの大学教育費を払っていたら、それは本当に感動的だったと思う
- でも実際のところ、5,000ドルじゃ子供1人に大学の授業を2つ受けさせることもできないよ
- あなたは誰かが亡くなった時に、何人分の大学の授業料を払わせるつもりなの? これまで生きてきて何人分払った? きっとゼロでしょ。だから黙っててくれる?
- そこにいて現金を手にした人たちの中に、少しでも自分の生活を良くするために使ってくれる人がいたらいいなと思うよ
バラの花びらの件だけは事前に警察に届け出ていた
なお、デトロイト警察はバラの花びらを撒くという届け出は受けていたが、現金も撒くという話は聞いてなかったといい、通行人と同じくらい驚いたらしい。
何もなかったからよかったものの、運転中の車が急停車したり、歩行者が車道に飛び出したりなど、一歩間違えば事故につながりかねない状況だった。
警察は今回の件で遺族を起訴することはないとしているが、航空安全の面から、FAA(連邦航空局)が当日のヘリコプターの運用について調査中だという。
References: Witnesses: Helicopter dropped thousands of dollars onto Detroit's Gratiot Avenue[https://www.detroitnews.com/story/news/local/detroit-city/2025/06/27/witnesses-helicopter-dropped-thousands-of-dollars-onto-gratiot-avenue-detroit-michigan/84391286007/]
本記事は、海外で公開された情報の中から重要なポイントを抽出し、日本の読者向けに編集したものです。