自分でバッテリーを交換、24時間365日働くことが可能な二足歩行自律ロボット
自分でバッテリー交換する人型ロボット「Walker S2」/ image credit:youtube

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 人型ロボット界隈で世界初、自分でバッテリー交換する産業用ロボットが登場した。「ひとりでできるもん!」な新機能により、24時間365日、ほぼエンドレス稼働が可能になった。

 中国のロボット企業が発表した「Walker(ウォーカー)S2」は、デュアルバッテリーシステム搭載で、片方のバッテリー残量がわずかになると、自らバッテリー交換ステーションまで出向き、わずか数分で新しいバッテリーと交換する。

 お掃除ロボットルンバがドッグに入っていく感じかと思いきや、交換するとすぐにまた働きだすのだ。

 過労でぶっ倒れたりしないのだろうか?と心配になるが、そのメカニズムを見ていこう。

世界初!自らバッテリー交換する人型ロボ Walker S2

 中国のロボット企業UBTechロボティクス社[https://www.ubtrobot.com/en/]が、2025年7月に公開した人型ロボット「Walker(ウォーカー)S2」が、これまでの常識を覆す革新性で脚光を浴びている。

 当然ながら、従来のロボットはコンセントに接続されるか、バッテリー交換の必要があり、その都度作業を中断せざるを得なかった。

 だが、デュアルバッテリーシステム搭載の Walker S2は、自力で背面のバッテリー交換ができ、ほぼ継続的に働ける。

 この機能は人型ロボットとしては世界初のものだそう。

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背面の2つのバッテリーの片方を自分で交換

 工場で働くWalker S2は、背面にある2つのバッテリーのうち、片方の残量がわずかになると、自動的にバッテリー交換ステーションに向かい、フル充電の新バッテリーと交換できる。

 まず腕を器用に曲げながら、四角い手のひらのような部分で、背面上段のバッテリーを挟んで引き抜き、後ろの棚の上段に収納。

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 そのすぐ下の棚から今度は充電済みのバッテリーを引き出して、再び納めて完了だ。

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 関節がなにやらおかしな感じだが、交換作業はシンプルかつ迅速に行われ、わずか数分程度で済むという。

 中断がたったこれだけですぐ作業に戻れるところも画期的だ。

業界で歓迎される連続作業が可能に

 Walker S2 のバッテリー交換方式は、電動車両のバッテリー交換から着想を得たものだそう。

 ガス欠ならぬ「電欠」になった車は、長いこと充電待ちしなければならない。

 だが、複数あるバッテリーの中で、消耗したバッテリーのみを新しいものに交換すれば、すぐに移動が再開できる、というアイデアがもとになっているそう。

 こうした仕組みはホットスワップまたは活線挿抜(かっせんそうばつ)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%97]と呼ばれ、わりと前からあるものだ。

 この仕組みに対応するPCや電気機器などは、電源を切らずに稼働状態のまま部品交換が行えたりする。

 人型ロボットの中では初めて、この仕組みを備えたWalker S2 は、産業施設や生産ラインの作業に活用される見込みだ。

 バッテリー交換用の人手が不要なうえ、ほぼ24時間、365日の連続作業ができるときたら業界に大歓迎されるだろう。

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「ヨガの先生になれる」「パーフェクトな従業員」の声

 人にあらずな動きで自らバッテリー交換する Walker S2 にユーザーも興味津々。

 2025年7月17日にその様子を披露したUBTech社のYoutube 動画再生数は37万回にのぼり、視聴者が思い思いのコメントを寄せていた。

  • 警備員にぴったり!
  • 充電ステーション側にあらかじめ交換用のアームを用意しておけばもっと簡単では?ロボが背を向けるだけで交換できるよ
  • ヨガの先生の素質あるな。斬新なポーズを開発してくれそう
  • 充電ステーションを移動できるようにして、交換時期のロボットに新しいバッテリーを届けるようにしたら完璧に無休で働くだろう。ついでにステーション側がロボットたちのバッテリー充電のピーク時を把握すれば待機時間ゼロですんなりいけると思う
  • バッテリーを外してもロボットの腕が動いてるのが不思議だった。きっとそういう仕組みがあるんだろうな
  • 年中無休で働き続け、文句も言わず、昇給も求めない。企業が求めるパーフェクトな従業員だね。こちとら人間はそうはいかない
  • 人間は食事や睡眠も必要だけどロボットはバッテリーだけでいいもんね
  • やっとロボットが自立しだしたな
  • これは業界にとって革新
  • SF映画みたい
  • いずれロボットとAIが私たちに全員に取って代わるだろう。なんて不気味なんだ…

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バッテリー残量を示すライトも。
製品化に期待高まる

 いまのところUBTech社は、この新型ロボットのスペックや価格などの詳細を明かしてないが、頭部カメラがバッテリー残量や状態を示すライトの色を検知し、必要に応じて交換作業を行うものと推測される。

 サイズも不明だが、前のモデルのWalker S1を参考にすれば、高さ170cmほど。背面上のボタンは緊急停止用とみられる。

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 つながった眉毛のようなでっぱり部分はセンサー、その下につるんとした顔を兼ねたカラーディスプレイを備えており、そこで同僚の人間向けにステータス表示をするもよう。

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 今後登場するであろう製品版に期待が高まるWalker S2 。この新バッテリー交換機能がロボティクス分野とって大きな進歩となり、その普及が産業界をさらなる発展にいざなうことになりそうだ。

 とは言え、休まず働き続けるとか例えロボットとは言え心配になってしまう。

 そういえば、倉庫作業用の人型ロボットが20時間ぶっ通しで作業を続けた結果、パタっと倒れてしまった動画がかつてSNSで同情の声が多く上がったが、あれはバッテリー残量低下によるシャットダウンだった。

 このロボットはシャットダウンすることもできないとか、ちょっとかわいそうになってくるね。

 ロボットたちが反乱を起こさないよう、労働環境の法整備とかも必要になってくるのでは?

References: Newatlas[https://newatlas.com/ai-humanoids/walker-s2-humanoid-robot-swaps-batteries/] / Ubtrobot[https://www.ubtrobot.com/en/]

本記事は、海外の情報を基に、日本の読者向けにわかりやすく編集しています。

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