
中国遼寧省瀋陽市に住む男性が、自家用車のボンネットに貼った2枚のフィルムの隙間に水を入れ「釣った魚を入れておく」というアイデアを思いついた。
早速実行に移した男性が、その様子を撮影してSNS上に公開したことで、インターネット上で激しい議論が巻き起こった。
動画が公開されると、斬新だという声がある一方で、違法性を指摘したり、命を軽視する行為だと批判したりする意見も多く寄せられた。
車のボンネットフィルムの間に釣った魚を入れて動画を撮影
事件は2025年7月13日に報じられた。この日、ネットユーザーの劉さんは釣りに出かけたのだが、釣った魚を入れるバケツを忘れてしまった。
そこで彼が思いついたのが、自分の愛車「Li Auto L9」のボンネットに貼っていた2種類のフィルムの間に水を入れ、魚を泳がせておくという方法だった。
Li Auto L9は、中国で人気の電気自動車のSUVで、408馬力、デュアルモーターAWDシステム、そして豪華なキャビンを誇るハイテクファミリーカーだという。
劉さんによると、彼は車の表面にカラーフィルムと保護用のTPUフィルムを貼っており、この2層の間に隙間ができていたという。
彼はこの隙間に海水をいれ、生きた魚を入れて動画を撮影。自身のSNSに投稿したのだ。
この動画は中国のSNSで大きな話題となり、世界中に拡散された。とりあえず、その車の様子を見てみよう。
ボンネットに貼ったカラーフィルムと透明なフィルムの間に挟まれる形で生きた魚が泳いでいる。フィルムを押すとぺこぺことへこむ様子から、柔らかい素材であることが見て取れる。
息も絶え絶えな魚たち。
魚だけではなかった。立派なカニたちも車のデコレーションと化している。
これを知った中国国内はもちろん、世界中のネットユーザーからは、批判の嵐が巻き起こった。
- 中国本土の人々の動物福祉に対する理解は、西洋世界より100年は遅れているように思える。彼らは動物の命や幸福を尊重することを学ばなければ。動物は飾りやモノじゃない。生きている存在なんだよ
- じゃあ、コストコが肉や卵のために鶏をどう扱ってるか見たことある? 100年だって?
- 科学的な疑問なんだけど、酸素がない中で魚はどのくらいもつの?
- もたないよ。あれは水槽じゃなくて、その日釣った魚を運ぶためのものなんだ
- こいつ本気か? エンジンの熱や日差しで魚がゆでられるリスクを考えなかったの? これは動物虐待だよ、創造性なんてどこにもない
- まあ、公的機関や中国のネットユーザーがちゃんと非難してたみたいだから、少なくとも問題であることは理解されてるんだろう
- 見た目はカッコいいけど、残酷だよ。ボンネットの下にはエンジンがあるってドライバーなら誰でも知ってるはず
- この車は電気自動車なんだよ……でもそれは関係ない。これはやっぱり動物虐待だ
- 夏に外に駐車してるだけでも危ないよ
- お前ら、魚食べないのか?
- 死んだ魚を食べるのと、生きてる魚を拷問するのはまったく違う話だろ
- 少なくとも魚を食べるのには意味がある。空腹を満たして、ほかの命のエネルギーになるっていう。
でも、この動画みたいに魚を苦しめることに意味なんてあるの? 注目を集めるため? それってさらに残酷じゃない?- 絶対にダメだ。魚はあまり手がかからないように見えるからって、適当な容器に水を入れて放り込めばいいってもんじゃない。魚はインテリアじゃない!
- 魚をそんな場所に入れる実用的な理由があるとすれば、「ここに水が入っている」ってことを写真で示すためくらいだよね。でも、それだって普通はおもちゃの魚を使うべきだし、炭鉱のカナリアみたいな意味があるわけでもないし、どちらにしても当てはまらない
- 最低だ!この男自身が同じ目に遭えばどういうことかわかるはず
- 近くの店でバケツ買うのが、そんなに難しいことなのか?
実際に公道を走ってはいないと言うものの…
劉さん自身は、この動画について次のように語っている。
私はこの車を実際に走らせてはいません。ただ、面白い動画を撮影してネットに投稿しようとしただけです。
このような行為は大変危険です。どうか真似をしないで、交通安全を最優先してください
つまり彼はこの状態で公道を走ったわけではないらしいのだが、それでもこういった改造行為は、中国でも違法改造にあたる。
現在、瀋陽市公安局瀋北新区の交通警察が捜査を開始しており、劉さんには何らかの罰則が適用されるかもしれないそうだ。
なお、この魚やカニたちのこの後の運命については、一切報道がないため不明である。
というか、2025年にはアメリカの研究機関が、漁業で捕獲された魚が死に至るまでに経験する「苦痛」に関する研究結果が報告されたし、スウェーデン・ヨーテボリ大学の2024年の研究では、カニなどの甲殻類には痛みを感じる器官があるとする結果が報告されている。
こういった研究は食べることを否定しているのではなく、なるべく痛みの伴わない方法で処理するべきだということを示している。
実際、スイス、ノルウェー、ニュージーランドなどの一部の国ではロブスターを生きたまま調理することは違法となっている。
References: 沈阳一男子在机动车引擎盖贴车衣养鱼,交警:属非法改装,不能上路行驶[https://news.sina.com.cn/s/2025-07-14/doc-inffiefr7684421.shtml?utm_source=chatgpt.com] / Man Slammed for Turning Car Bonnet into 'Aquarium' with Fish Gasping for Air: 'This is Abuse!'[https://www.ibtimes.co.uk/man-slammed-turning-car-bonnet-aquarium-fish-gasping-air-this-abuse-1738848?utm_source=chatgpt.com]
本記事は、海外の記事を参考にし、日本の読者向けに独自の考察を加えて再構成しています。