火星に6機のヘリを同時投下、NASAの新ミッション「スカイフォール計画」
AV Reveals Skyfall

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 火星初のヘリコプター「インジェニュイティ」の任務完了からすでに1年以上が経過した今、NASAでは新たな空の探査ミッションが着々と進んでいるようだ。

 このほど発表された「スカイフォール計画」は、防衛技術企業「エアロバイロンメント社」と共同で行われる火星飛行プロジェクトだ。

 インジェニュイティのように単機ではなく、なんと6機のロボットヘリが同時運用される。

 しかも最初のクライマックスは火星への着陸を待たずして早々にやってくる。そのヘリ6機が、カプセルに収められた状態で火星の大気圏に突入し、空中でミッション開始というSFアニメのような展開が予定されているのだ。

未来の火星有人探査を見据えたスカイフォール計画

 「スカイフォール(Skyfall)計画」は、NASAのジェット推進研究所と、バージニア州の防衛関連企業、エアロバイロンメント(AeroVironment[https://www.avinc.com/])社が共同して行う”火星の空”の新プロジェクトだ。

 火星の空といえば、2021年に地球以外の天体で初めて空を飛ぶことに成功した小型ロボットヘリコプター「インジェニュイティ」が記憶に新しい。

 だが2028年に打ち上げを予定するスカイフォール計画では、単機ではなく6機のロボットヘリが同時に展開される。

着陸装置不要、大気圏突破後のカプセルからそのまま飛行

 その革新性は、ミッション名「スカイフォール(空からの落下)」が象徴している。

 火星の大気圏に突入する1基のカプセル。その中には6機の自律型ヘリが格納されている。

 その6機が、激しい突破をやり過ごし降下中のカプセルから次々飛び立ち、そのままミッションを開始するのだ。

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 こうすることで、従来は必要とされた着陸機がなくとも、火星の探査を開始することが可能になる。

 カプセルから飛び立ったスカイフォールのヘリたちは各機が自動的に行動し、地表の高解像度画像を撮影し、レーダーで地中の状況を探りながら、資源の有無や地質の分析を行う。

 無論、6機のヘリが同時運用されるため探査範囲は広く、かつコストも抑えられる。

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 エアロバイロメント社の宇宙事業責任者ウィリアム・ポメランツ氏はこう語る。

 「スカイフォール計画では、6機のヘリコプターによって低コストで広範囲をカバーし、大量のデータと科学的知見を得ることができます。これにより、人類初となる火星への有人着陸がぐっと現実に近づくことでしょう」

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先代「インジェニュイティ」が切り開いた道

 スカイフォールの先代となるロボットヘリコプター「インジェニュイティ」は、2021年2月にNASAの探査車パーシビアランスと共に火星に着陸し、地球以外の惑星の上空を史上初めて飛行することに成功した。

 全高約48cm、重さ約1.8kgのインジェニュイティは、当初5回のみの試験飛行が予定されていたが、最終的にはなんと72回もの飛行に成功。累計飛行時間は2時間を超え、計画の14倍の距離を飛行するという快挙を成し遂げた。

 2024年1月、72回目の着地時にブレードを破損し、ひとまず任務完了となったが、その功績は大きく、火星をはじめとする惑星を上空から探査するというアプローチの有効性を証明した。

 その後継として登場するスカイフォールのヘリたちは、きっと先代に込められた「創意工夫」の名に恥じぬ活躍を見せてくれることだろう。

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