
これまで猫を飼ったことがなかったカップルが初めて迎え入れたのは保護施設から迎え入れたごく一般的な小さな黒い子猫、のはずだった。
ところが、成長していくと、これまで見たこともない巨大な黒猫へと変貌を遂げる。
SNSでも注目を集めるその黒猫「ウィッチャー」の成長過程を見ていこう。
保護施設で出会った黒い子猫を家族に迎え入れる
ジョアンナさんとその夫は、犬を飼っているが、これまで猫と暮らした経験がなかった。
しかし現在飼っているゴールデンドゥードル(ゴールデンレトリバーとプードルのミックス犬)の「テディ」が、他の犬との接触に不安を感じる様子を見て、新たな家族として猫の迎え入れを検討するようになった。
そんな中、保護施設の投稿で出会ったのが、当時「トースト」と呼ばれていた黒い子猫だった。
実際に保護施設に見に行くと、大きな耳とつぶらな瞳、あどけない表情にカップルは心を奪われた。そして里親になることを決意し、家に連れ帰った。
名前は、アメリカのファンタジードラマ『ウィッチャー(The Witcher)[https://www.netflix.com/title/80189685]』の主人公にちなみ、「ウィッチャー」と名付けた。冷静で孤高ながら忠誠心のあるキャラクターが、黒猫の雰囲気に重なったという。
猫ってこんなに大きくなるの?文字通り豹変
家に迎え入れた当初は手のひらサイズだったウィッチャー。しかし、日を追うごとに尋常じゃないスピードで成長していった。
耳に続いてしっぽがぐんと伸び、さらに胴体もどんどん長くなっていった。
家に来るお客さんも、ウィッチャーを見るたびに「これでまだ子猫なの?」と驚き、写真を送った保護施設のスタッフまでも「こんなに大きくなるとは思わなかった」と言葉を失ったという。
文字通り豹(ひょう)変したウィッチャー。やがて、夫婦はその成長ぶりと黒い光沢のある毛皮から、ウィッチャーを親しみを込めて“ブラックパンサー(クロヒョウ)”と呼ぶようになった。
もちろんウィッチャーは一般的な猫だが、艶やかな毛並みと引き締まった体、そして堂々たるたたずまいは、まるでクロヒョウを思わせるのだ。
ウィッチャーの体がここまで大きくなった理由については、おそらく体格の良い遺伝子を持っていたことに加え、成長期に良好な栄養環境で育ったことが影響していると考えられる。
特定の巨大猫種ではなく、保護施設から迎えたごく一般的な子猫だっただけに、その成長はまさに予想外だった。
犬との絆、家族としての成長
もともと飼っていたゴールデンドゥードルの「テディ」とは、最初のうちは体格差が目立っていた。
ウィッチャーは小さな子猫で、テディの大きさに圧倒されていたが、それでも自分の領域を主張し、しっかりとした態度で接していた。
やがて体が追いついてくると、ふたりの関係は変わっていった。成長した今では対等の関係となり、家の中を走り回ってじゃれ合う姿は、まるで本物の兄弟のようだ。
現在2歳になったウィッチャー。2匹で寄り添って眠る姿も微笑ましく、ふたりの間には確かな信頼関係が築かれていった。
巨体でも心は繊細で勇敢な紳士
ウィッチャーの魅力は、その大きな体だけではない。ジョアンナさんが「一番好き」と語るのは、その勇敢で芯のある性格だ。
見知らぬ人や他の動物、車での長距離移動など、新しい経験にも物怖じせずに挑んでいく。
猫は警戒心が強く、人見知りしやすいというイメージがあるが、ウィッチャーはその枠に収まらない。
ハーネスを付けての散歩にも前向きで、家族との信頼関係を深めながら、日々の暮らしを楽しんでいる。
犬派だった飼い主が猫に目覚めたきっかけ
もともと猫に対してあまり関心がなかったジョアンナさんだったが、今では「犬も猫も、愛情の示し方が違うだけで、同じくらい愛情深い生き物だ」と語る。
ウィッチャーが自分の意思で膝に乗ってきたり、ゴロゴロと喉を鳴らして甘える姿には、明確な“選択”があると感じるという。そこに犬とはまた違った魅力があるという。
黒猫への偏見をなくしたいという思い
アメリカではヨーロッパ諸国と同様に、「黒猫は不吉」といった迷信がいまだに根強く、黒猫の譲渡率は他の猫に比べて低い傾向にある。
ジョアンナさんは、そんな偏見を少しでも和らげたいと願っている。ウィッチャーのように勇敢で愛情深く、美しい黒猫が、もっと多くの家庭で愛される存在になってほしいというのが、彼女の願いだ。
TikTokでウィッチャーの成長記録を発信し続けているのも、その一環だという。黒猫のイメージを変える力が、1匹の“イエクロヒョウ”にはあるのかもしれない。
実際に黒猫は賢くて愛情深いというのは、猫を飼っている人なら知られている事実だよね。
追記:(2025/08/01)本文を一部訂正しました。