目の見えない犬を気づかい、舐めて癒そうとする片目の猫
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 オーストラリア・アデレードの一軒家。柔らかな日差しの中、目の見えないゴールデンレトリバーがうっとりと横たわって寛いでいる。

 そのすぐそばに寄り添うのは片目の見えない元保護猫だ。

 彼は静かに喉を鳴らしながら、犬の顔へと鼻先を近づけ、目のまわりを丁寧に舐めはじめた。まるで「治してあげるね」とでも言うかのように、何度も何度も。

 盲目の犬と片目の猫。視力は失われていてもお互いの存在を全身で感じ取り、寄り添い続けてきた。

 SNSで公開された短い動画には、その温もりが画面いっぱいに広がっている。

盲目のゴールデンに寄り添う片目の見えない猫

 オーストラリアのアデレードで暮らすアレクサンドラ・ガーランドさんの家は、小さな動物たちの慰安所のようだ。

 そこには、視力を持たずに生まれた4歳のゴールデンレトリバーの「デアデビル」、3歳の片目の猫「デンジャーマウス」をはじめ、さまざまな辛い過去を背負った動物たちが暮らしている。

 そんなアレクサンドラさんが自らのTikTokに投稿した、「片目の猫が盲目のゴールデンレトリバーの目を優しく舐める姿」が、現在ネット上で話題を呼んでいる。

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 デアデビルの眼を、デンジャーマウスが優しく舐める様子にアレクサンドラさんはこの動画に、次のようなキャプションをつけた。

デアデビルは生まれつき目が見えません。うちの片目の猫が、彼の目を舐めているんです…まるで治そうとしているみたいに

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デンジャーマウスは目の周りを舐め、力強く喉を鳴らしながら、鼻先を目にこすりつけるような仕草をしていました。

何人かの人は、彼がただ目を拭いているだけだと言っていましたが、私はそうは思いません。

私はデアデビルの目を定期的に掃除しているので、目やにや涙は出ていないんです。

デンジャーマウスはデアデビルの顔に身体を摺り寄せていて、触れ合いや感覚的な交流を求めている彼の気持ちを理解しているように見えます。

この猫を家に連れてきた日から、ふたりは絆を深めました。猫はデアデビルが自分を傷つけないことを、最初から理解しているようでした

 ちなみに、デアデビルという名前はマーベル・コミックスに登場する盲目のヒーローからとったもの。TVドラマ[https://disneyplus.disney.co.jp/blog/maximum-guide/daredevil]にもなっているので、知っている人も多いかも。

 そしてデンジャーマウスはイギリスのアニメに出てくる、スパイネズミのキャラクターだ。こちらは現在、Netflix[https://www.netflix.com/jp/title/80045820]で配信中。

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同じ屋根の下で支え合う保護犬・保護猫たち

 デアデビルが家族になったのは4年前の、彼が生後8週を迎えたある日のこと。アレクサンドラさんのもとへ、動物看護師をしている友人から連絡があった。

ゴールデンの子犬がいるんだけど、生まれつき目が見えないの。行き場がなくて、このままでは安楽死になってしまう。あなたのところで飼えないかしら

 彼女は迷わず、この子犬を引き取ることを決意した。デアデビルは視神経が生まれつき未発達で、光と影をぼんやりと感じられる程度の視力しかない。

 だが彼はその分音やニオイに敏感で、家族の足音やニオイを敏感に察知する。室内の家具の位置や家の間取りはすべて頭の中に入っていて、不自由なく移動できるそうだ。

 そんなデアデビルの元に現れたのが、重い感染症により片目を失った保護猫の「デンジャーマウス」だ。

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 彼は生後12週間で、左目を摘出せざるを得なかった。そして初めて家に来たその瞬間から、彼は不思議なほどデアデビルのそばを離れなくなったという。

 朝一番におはようの挨拶をし、デアデビルが部屋を移動するときは必ず先を歩き、ソファで休むときはその足元で丸くなり、庭に出れば彼の後ろをついて歩く。

 アレクサンドラさんは「どこへ行くにも一緒なの。デアデビルがいる場所には、必ずデンジャーマウスもいるんです」と話す。

 デアデビルを日々支えているのは、デンジャーマウスだけではない。彼らの家には、さらに3匹の保護猫たちが同居している。

 兄弟猫の「デューク」と「グレイスカル」は、ゴミ箱の中で暮らしているところを保護された。今は安全な家の中で遊び回り、いたずらを繰り返す元気なコンビだ。

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 尻尾がない「タートル」は、生まれてから最初の半年を路上で過ごし、その間に負ったケガで尻尾の切断を余儀なくされた。

 保護された当初は人間を警戒し、ベッドの下に隠れて暮らしていたが、アレクサンドラさんは毎晩床に寝そべり、手から餌を与え続けた。

 信頼関係が築かれるまでに1年以上かかったが、保護してから6年が過ぎた今では、自ら膝に飛び乗り、抱っこをせがむほどの甘えん坊だ。

 タートルはデアデビルを子犬時代から見守り、他の保護猫たちの面倒もみる「ママ」として、家族に欠かせない存在となっているという。

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「猫に育てられた犬」が今や「子猫たちを育てる犬」に

 アレクサンドラさんは預かりボランティアを行っているため、家には、彼ら以外にも保護猫たちがやってくる。その多くはまだ小さな子猫たちだ。

 子猫たちにやさしく挨拶するデアデビル。彼らを怖がらせないよう、少し離れた場所から見守る様子が愛らしい。

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 デアデビルとデンジャーマウスをはじめとした猫たちとの日常を綴るアレクサンドラさんのTikTokには、多くのフォロワーが訪れてコメントを残して行く。

  • みんな本当に可愛すぎる。デアデビルは内面も外見もとても美しい。本当に優しい天使みたいな子
    • まさに伝説のコンビです(アレクサンドラさんコメ)
  • ほかの動物には感じ取れない「傷」を、この子は感じ取っているんじゃないかな。
    私も脳性まひがあるんだけど、ペットたちは症状の重い腕にこうしてくれるの
  • この愛情は本当に美しい。お互いを思いやる気持ちは、人間よりもはるかに優れていると思う
  • 私は車椅子生活なんだけど、子供の頃、似たような経験をしたよ。愛犬がよく足を舐めてくれたんだ
  • うちの犬も目が見えないけど、とても上手に歩き回ったり遊び回ったりするの。まるでスターウォーズのジェダイがフォースを使ってるみたい。あなたの犬もきっと素晴らしい活躍をして、あなたを驚かせてくれると思う。
    • うちに来て4年になるけど、この子にとって世界は宝物だらけ! ステキな犬生を歩んでいるよ(アレクサンドラさんコメ)
  • 多分この子は頭の中に見えているものを見ているんだと思う。私たちが眠りに落ちる時にそうするみたいに
  • 犬だって世界を見られるようになるべきなのに、不公平だ。
    • デアデビルは嗅覚も聴覚も触覚もフル活用してるよ! 最高の犬生を送ってるから大丈夫(アレクサンドラさんコメ)
  • このページをずっと追いかけてます。私の代わりにハグとキスをあげてください。時々、デンジャーマウスは自分を犬だと思ってるのか、あるいはデアデビルが自分を猫だと思ってるんじゃないかとも感じます
  • この可愛い子に最高の犬生を与えてくれてありがとう。あなたの毛むくじゃらの家族みんなにも感謝です
  • ゴールデンは人間にも動物にも友好的なのよね。本当に宝物みたいな存在だと思うわ
  • このコンビ、子ども向けの絵本にしたら絶対に素敵だと思う
    • 実は今年大学を卒業したら、その企画を実行する予定なんです!(アレクサンドラさんコメ)
  • 今まさに目に涙があふれてる。
    この犬のこと、本当に大好き。直接会ったこともないのに…。なでて、抱きしめて、たくさんキスしてあげたい

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 視力を持たないデアデビルにとって、猫たちはただの同居動物ではなく、生きるためのパートナーであり、家族そのものなのだろう。

 子犬の時、猫たちに育てられたデアデビルが、いまでは小さな保護猫たちの、頼りになる「保護者」になっているのだ。

 デアデビルとデンジャーマウスと保護猫たちのエブリディライフは、アレクサンドラさんのTikTok[https://www.tiktok.com/@daredevilandfriends]で日々更新されている。ぜひ遊びに行ってみてほしい。

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