
もしニュージーランドの森の中を夜に散歩していたなら、運が良ければ「自然界で最も美味しそうな見た目」をしたナメクジに出会えるかもしれない。
この軟体動物は見た目の通り、「ピクルス・スラッグ(pickle slug)と呼ばれ、表面の突起と色が、まるでキュウリのピクルスそっくりなのだ。
更に小さなタマネギのピクルスのような卵を産むという。かなりユニークなナメクジだが、その生態についてはまだわかっていないことも多い。
確かなのは、この生き物が、ニュージーランドという島の生物多様性を象徴する存在のひとつであるということだ。
ピクルスそっくりのナメクジ
このナメクジにはさまざまな呼び方があり、現地のマオリ語では「プトコ・ロピロピ(putoko ropiropi)」と呼ばれているそうだ。
体長は8cm前後だが10cm以上になる個体もいる。
英語ではピクルス・スラッグのほか、ガーキン・スラッグ(ガーキンとはピクルスに使われる小さいキュウリ)やリーフベイン・スラッグ(葉脈ナメクジ)などの愛称でも知られている。
学名に関しては Pseudaneitea papillataもしくはAthoracophorus papillatusの間で揺れているらしく、分類上はいまだ議論の余地があるようだ。
南西太平洋に固有の種で、特にニュージーランドでは広く分布している。夜行性で、コケや地表の菌類、藻類などを食べながら、森の落ち葉の中で静かに暮らしている。
葉脈ナメクジと呼ばれる所以は、体表に葉脈のような模様があるからだ。この模様と体色が、森の落ち葉の中でカモフラージュの役割を果たす。
さらに背中にはキュウリのイボイボのようにも見える乳頭突起があり、これがピクルス感を醸し出しているのだが、一部の種類ではこの突起が膨張して外見が変わって見えることもあるそうだ。
ナメクジは進化の過程でカタツムリのような殻を失ったことで、捕食者に対して無防備なカラダになってしまった。
そのために毒々しい色もしくは周囲に溶け込む色、ぬめぬめした粘液、ぶつぶつの突起などで外敵から身を守っている。
このピクルス・スラッグに関しては、その外敵から身を守るようその一つひとつが、キュウリのピクルス要素に見えてしまう…のだろうか。
卵は小さなタマネギのピクルスのよう
ナメクジの仲間は雌雄同体で、なんと1匹でも繁殖できてしまう。
とはいえ普通は普通に2匹以上で交尾する。これはより多くの卵を産んで、子孫を確保するためだろう。
下はピクルス・スラッグの卵。半透明になった玉ねぎのピクルスっぽいという声もあるみたいだが、サイズ的には数mm程度なのでちょっと無理があるかも。
野生生物専門の写真家も、予期せぬ遭遇に大興奮するレベル
オーストラリアの野生動物写真家で映像作家でもあるニック・ポルペさんは、自身のInstagramで、このピクルス・スラッグと遭遇した時の様子を紹介している。
今めっちゃ興奮してる!ウェリントンにいるんだけど、まさかこいつに会えるとは思わなかった!
見てくれよ、まるで動くピクルスそのものだ! 通常は夜行性なんだけど、ラッキーにも見つけることができたんだ
色といい質感といい、本当に動くピクルスみたい。ニックさんはこの生き物に本当に会いたかったみたいで、動画の中で大興奮している様子が伝わって来る。
こうして地面を這いまわりながら、岩に付着した菌類や藻類を食べているんだよ。いや、ガチで恋に落ちちゃったよ、本当にクールすぎる! まさかこれを見ることになるとは思わなかった!
背中の突起を見てほしい。それに呼吸孔まである。間違いなく、これまで見た中で最もクールな生き物の一つだよ。
信じられない。
思っていたよりもずっと大きくて、正直ショックを受けている。このナメクジは基本的にニュージーランドでしか見られないんだよ
はしゃぎまくりながらも、丁寧にピクルス・スラッグについて説明してくれるニックさんを、フォロワーたちは微笑ましく思ったようだ。
- 最近は何でもAIじゃないかと疑ってしまう自分が嫌だ
- 本気でAIかどうか確認したくてコメント欄に来たよ。もう何も信じられない体になってる
- 確かにAIのせいで何もかも疑ってしまうけど、グーグルが本物だって言ってたから本当らしい
- こんなにも「ピクルス」っぽい生き物は、人生で見たことがないよ
- 君の目からドーパミンがあふれてるのが見えるよ! もし自分もピクルス・スラッグを見たら、きっと同じくらいハッピーになると思う
- ニュージーランドには本当に独特な動物や生態系があるから、いつか絶対行ってみたい
- あなたの、ちょっと控えめだけどガチで喜んでる感じのリアクション、めっちゃ好きだわ
- これほどその生き物にふさわしいと思う名前を見たことがないよ
- 私はアオテアロア(ニュージーランドの)出身だけど、こんなの見たことない
- ここって別の世界線なの? 最近になって未知の生き物を次々知るのはなんでなんだろう
- どう見ても水中生物にしか見えないんだけど
- 禁断のピクルスというわけだな!
日本でもよく見かけるが、体長もサイズもそして色も、我々の想像するナメクジじゃないよね、これ。
改めて思う、ニュージーランドにはなんてクールな生き物がいるんだろう。ぜひ現地で、自分の眼で見てほしいよ
ちなみにピクルス・スラッグは、ニュージーランドのクールな虫(英語ではナメクジは虫扱い)を決めるコンテスト、「New Zealand Bug Of The Year 2025[https://bugoftheyear.ento.org.nz/]」へのノミネートを果たした。
残念ながら結果は6位。優勝はカギムシの仲間のニュージーランド・ベルベットワームにさらわれてしまったが、ピクルス・スラッグがクールな生き物だという事実は、少しだけ知ってもらえたのかもしれない。
日本にも外来種の巨大ナメクジが上陸
海外にはバナナみたいなナメクジや三角形のマークがあるナメクジ、体長が20cmを超える巨大ナメクジも存在するらしい。
日本でも最近は外来種の、「マダラコウラナメクジ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%80%E3%83%A9%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%8A%E3%83%A1%E3%82%AF%E3%82%B8]」なんていうのが入り込んできているそうだ。この種は最大で20cmくらいになるそうなので、これからは日本でも巨大ナメクジとの遭遇事案が増えそうである。
身体がでかいということは、たくさん食べるということであり、この外来種による被害は既に報告され始めているとのこと。
ピクルス・スラッグのように滅多に見かけない、森の中にしかいない種類ならまだ共存しようっていう気にもなるんだけどね。
そういえばちょっと前に話題になっていた、傘の盗難防止アイテムのコレ[https://x.com/meryryyy/status/1734794372485722332/history]。ピクルス・スラッグバージョンで作ったら、やっぱり効果は減っちゃうかな。
References: Meet The Pickle Slug, A Knobbly Wonder That Lays Little Pickled Onions For Eggs[https://www.iflscience.com/meet-the-pickle-slug-a-knobbly-wonder-that-lays-little-pickled-onions-for-eggs-80309]
本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。